表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

オトコエシ

作者: 浜梨 駿

高校二年の浜梨(ハマナス) 駿(ハヤオ)は恋を知らない。

しかし、友人関係とは違うものがあった。

 高校に入ってから初めて後悔したと思った。もっと勉強しておけば……彼女と一緒の高校に行って俺の今のこの喜びを、悲しみを、愛しさを分かち合いたいと今、強く思う。


男郎(おろう)さん……」

男郎おろう はなが彼女の名前だ。花の名前でオトコエシと読むらしい。彼女の名前を言葉に出したのはいつぶりだろうか……。心の中ではずっと呟いていた。最近、親同士が同じ職場になったらしい。母親いわく、彼女の家は引っ越したそうだ。


彼女との記憶をゆっくり思い出してみることにしよう。


―――小学1年の時に初めて名前を知り、話した。俺は男にしてはなよなよしかったからか女子の友達が多かった気がする。

そこから仲良くなっていった。


―――次に同じクラスになったのは、小5の時。同じ漫画雑誌を読んでることに気づいて、二人で会話することが多かった。彼女は頭がよくて、真面目で、優しかった。比べて俺は、馬鹿で提出日を守らないで、人をいじめたり、いじめられたりと悪いところばっかり目立った。そういや、小6も一緒だったっけ。俺に新しい男の親友ができた。そいつにふざけて二人であだ名をつけたら先生に怒られたり――卒業して女子の友達の家にいったりして楽しかったな……。


―――中学に入って1年生も一緒だった。

「うわー!!また一緒だ♪何年目?」

「三年目じゃないか?」「もしかして、運命かもね!!まだまだ漫画の話ができて嬉しいな!!」


この時に親友から言われた言葉が未だに残っている。あれは……そう、後に七日間の地獄の宿泊学習と呼ばれるやつに行ってるときだった。



―――「聞いてくれよ駿(はやお)、オレさ……男郎さんが好きなんだ。」


初めて知った、親友の思い人。

 何で俺にそんなに申し訳なさそうに言うのかわからなかった。


「駿、男郎さんとすごく仲良いじゃん……何か悪いなって……」

「別に、雑誌愛読者の会としか思ってないけど?」

雑誌愛読者の会とは、二人だけで語ったり考察したり、キャラの台詞を言い合ったりしかしていない友達とは違う仲間という意味で使っている。


「男郎さん……人気あるんだぜ?」


「好きなら告白すれば?」

 それから、この事は話さなかった。彼が告白したのかももうわからない。アイツは俺より頭悪いからな……違う学校に行かれちまったよ(笑)。

 そういえば、この時に二人で、リレー小説や、男郎さんがネーム、俺が作画で漫画を描いたりしてたな……。


 名前呼びがしっくりこなくって笑ってたのもここの時期だった気がする。


 中2の時にクラスが別れた。久しぶりに彼女のいない教室だった。少し物足りなかったが、昼休みには必ず会いに行って、漫画の話をした。親友も違うクラスだった。学校に行くのは楽しかった。


―――中3。最後のクラスには彼女の姿があった。親友もいた。2年でかなり仲良くなったやつもいた。それだけで大満足だった。


 俺はこの時にバカなことをして大怪我した。みんな心配してくれてたし、優しさが嬉しく思えた。


彼女と仲間たちとふざけて遊ぶのは楽しかった。

 もうすぐ卒業の時に彼女の口からとんでもないことを聞いた。

「私ね、小学校に入る前から、浜梨(はまなす)くんのことを知ってる気がするな」

「俺は知らないんだけど……」

「幼稚園の頃、おんぼろビルで遊んでたでしょ」

「確かに毎週、習い事の帰りに遊んでたな」

おんぼろビルとは、昔からあるビルで、すでに寂れていて不気味なビルだ。そこにある習い事の塾にに俺は通っていた。授業が終わってから、駐車場でよく騒いでた記憶がある。

「塾の帰りによく見かけてたんだ♪羨ましかった。」

「嘘だろ……!?」

「嘘じゃないよ」

まさかそこから始まってたとはな……運命は恐ろしい。


 学校で彼女と仲間たちとふざけて遊ぶのは楽しかった。

「中3にもなって落ち着きがないな……」って先生たちには言われまくった。

 卒業式にタイミングがずれて笑ったっけ……


 彼女の姿を最後に見たのは、公立高校の合格発表のあとに集まった中学校だ。


彼女は頭のいい近くの高校。


俺は頭の悪い遠くの高校。


俺は彼女の連絡先なんて 知らない。彼女も俺の連絡先なんてわからない。

それでも、また会えるんだろうか。まだまだ高校2年。成人式もあれば、同窓会だってあるんだ。

姿は変わったのだろうか、


まだ漫画を読んでるだろうか、


どんな友達と過ごしているのだろうか、


恋人とかいるのだろうか、


俺のこと覚えてるのかな……?話せば思い出してくれるか。積もる話がたくさんあるんだ。


今、俺にはたくさんの仲間がいることとか、漫画の話とか、ほかにもたくさん。


懐かしい記憶を思い出してるうちに腹が減ってきたな……もうすぐ夕飯か。今日はなんだろうか。

まあいい。


友人と会いたいが、連絡手段がないってのは辛いもんだな(笑)。


……って何言ってんだろ俺。






 「駿ー!ご飯よ~」

母さんの声が響く。俺は立ち上がって、飯を運ばなきゃならない。めんどくせえな。

 今日は大好物の唐揚げだ。

これは……90%くらい事実だったりする。

日記ってやつですなHAHAHA。あいつに限って、ここでこんなものを読まないだろうしな。


高校生活もたのしすぐるぜ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ