ザラマ VS ガイゲルガー・フェル(表)
勇気や自信、怒気などの感情の方向を捻じ曲げる。それが"THE・BRAVEⅡ・DLD"の"生"の目が出たときの効果である。ガイゲルガー・フェルは知っている。ぶっちゃけ、"生"の目しか出ない。"死"の目が出るのはよっぽどのことである。
こんな詐欺、こんな理不尽。勝者の賭け事というのはどちらが出ようとやったもんから負けなのである。弱者ってのは理解できない。頭がまわんねぇ、楽しければそれでいいからだ。
「……………そーこられると、こちらも打つ手が限られる」
ライラ、アレク、ラッシ、梁河が一瞬で全滅するほどの力がある"THE・BRAVEⅡ・DLD"、ザラマほどの実力者が喰らわないわけがない。だが、意識をハッキリと保っているのには理由がある。
「覚悟とはそーあるべきだ」
マジでやってきた相手は今までいない。
「強烈な毒薬を自ら飲んで向き合っているか」
ライラとラッシは"THE・BRAVEⅡ・DLD"の影響で、月本を壊滅させるほどの大暴れをしてしまったが、地面に落下したアレクの体は大きく損傷し、強さがわずかに落ちた。そして、なにより死ぬ覚悟というのは勇気と似ている。こんな気持ちを捻じ曲げると死にたくなるのではなく、生きたくなる気持ちになる。
正しいが反対になるのなら、反対が正しいになる。
気持ちの強さをそのままにして向き合える。
「死ね」
「!」
あくまで"THE・BRAVEⅡ・DLD"から逃れる手段でしかない。ザラマは激しい痛みと、死の直前までいくところでこのガイゲルガー・フェルと対峙しなければならない。これまで殺害してきた管理人から敵の情報を仕入れても、打てる手がこれくらいしかないという厄介な相手だ。
長期戦は明らかにザラマが不利。ザラマはライラとラッシが魔力を使い切るほどの力でいく。
40年以上も使いこなし、鍛え続けた魔術。本人はもう全盛期が終わり、強さが消え失せたと謙遜するが。長く生きて戦ったからこそ、見えたり、理解したり、感じたりする事ができる。
「"王族墓地を守護する熱"」
逃げ場なし。周囲の物体の熱を増加させ、発火させるザラマの"リアルヒート"は躊躇なく、ガイゲルガー・フェルの足元、および周辺を灼熱へと変えた。
ロボットタイプの彼が溶け出し始め、熱くてもがく。それはまるで自分が多くの弱者を作り出した時と同じ様だった。
「ぐおおおおおおおぉぉぉぉっっ!!!??」
全てが蒸発しそうな痛さ。火傷などには縁がなかったが、熱すぎると脳内が破裂しそうになる。
苦しい。辛い。
ガイゲルガー・フェルは弱い。危険さを秘めているが、強さが足りない。熱のせいか、作られた物語を読めてしまった。自分の取捨選択が行える心の在りかを体験した。
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無へと変わりそうだ。何もないところへ、連れて行かれそうだ。
私は私は私は私は私は私は私は私は私はここにいる。
私は私は私は私は私は私は私は私は私はここで叫んでいる。
私は私は私は私は私は私は私は私は私は苦しんでいる。
私は私は私は私は私は私は私は私は私は楽になりたい?
私は私は私は私は私は私は私は私は私は生きたいの?
わ・た・し・は。・・・オカシな方でしょうか?
見捨てられることが怖くも思わなかった。けれども、私も。周囲の人も。偉い人も。優しい人も。怒る人も。弱い人も。強い人も。
パズルのように組まれなければ生きられない。どれも、誰も、全員が。必要なんだ。
そーやって幻想を紡いで。ホントは壊れたわたしは、わたしは……………。
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「あげげげがごげ…………」
「!」
「弱い……………」
I、弱いんだ。
I、強い者が憎かった。I、何も持てなかった。I、求めていたんだ。
I、こんなME、生きられる人生を
I、弱い。弱い。弱い。だが、捻じ曲がった何かを背負い込んでも、I、……Iだと。
「見たのだ………」
どいつもこいつも弱さを甘んじて考えている。弱さの屈辱を噛み締めながら、
I MAKE THE LIFE (私が人生を作る)
「I、弱さを抱えても、生きられる権利を…………」
所有する"科学"が強さという一線にいないことと相まって、ガイゲルガー・フェルの全身を支える魂は多くの苦労と弱さを持ち合わせながらも、生きてやるという美しい地点にある。
ブサイク男にはバレンタインチョコが12年連続0個だとしても動じず、クリスマスイブが1人だとしても当たり前の一日だとして働き、自分のバースデーにケーキを買わなくなったのも歳をとったのだと感じ。夏には浴衣、水着、遊びにも縁がなくても。真夜中のだいたいはオナニーで過ごしていても
一人だけでも、寂しいと思われる日にちを味わっても生きている……のだ。ホントはその。……悔しいです。はい。
「求めて……生きているのだ」
弱さを理解しつつも生きる。生きてやろうという精神は強さとは無縁であることを再認識する。弱いからといって、死んで良いわけがない。クソ虫も賢明に足で支えて生存する。
ブジュウウゥゥッ
「ぶふふふふぉふぁ」
「!!………………」
弱者でも生きる権利はある。だが、選択はあまりにも狭い。ガイゲルガー・フェルは我慢の一托、ザラマが燃え尽き、自ら飲み込んだ毒での自滅まで持ちこたえる狙い。ガイゲルガー・フェルではなく、ザラマ自身に身を委ねていた。