勇気とかゲロるほど気持ち悪い戯言だ
人間の管理を行うのが管理人の役目だ。その中でも特別に、人間を直接的に管理している管理人といえばこの人物であった。
「あれが黒リリスの一団の梁河か」
「支配人、……我々の商業施設はもう修復できないほどメタメタに…………」
「管理人も200人以上は死亡したと…………」
「………………うむ」
管理人ナンバー:011、ガイゲルガー・フェル。そして、彼の部下である管理人が今、梁河が見える位置まで近づいた。彼等は月本の"人"のコーナーの下締めである。櫛永と同等の権力を持っている。だが、そんな力などただの見えず、使えない力であると理解できている。
現状。梁河の戦闘力を止めるのは権力では倒せない。
「それよりもだ。周囲がオカシイな」
子供が描く、ロボットの落書きのような風貌を持つガイゲルガー・フェルであるが、梁河よりも面倒な奴等と相手にしなければいけないと理解した。
桂とポセイドンの決闘を除き、おそらく、問題管理人軍団でなければ起こりえない異常な事態。下の連中からこれほどの敵意を向けられるのは彼は初めてではない。
「ガイゲルガー・フェル…………貴様の思想は狂っている!!」
「我々が管理するべき人間達を、物のように扱う貴様は多くの人類と管理人から敵と見なされている!!」
「"黒リリスの一団"に降伏する気はない。だが、管理人の害悪は消すのも仕事であり、勤めなのだ!!貴様を管理人の敵と見なす!!」
梁河が管理人を葬った数が200ならば…………。今、ガイゲルガー・フェル達を囲んでいる数はその4倍の1000人は超えていた。
しかも、その中には量産型じゃない管理人もいる。戦闘を行うタイプではないガイゲルガー・フェル達には強さも数も、覚悟も違う。
マキート・SS
管理人ナンバー:399
スタイル:魔術
スタイル名:ジェシィー
詳細:魔力を冷やす事ができ、凍結させる能力。
藤川
管理人ナンバー:314
スタイル:超人
スタイル名:火の玉ストレート
詳細:藤川が投げる物は全て発火する。
アリエッテ・フォンマグヌス
管理人ナンバー:363
スタイル:魔術
スタイル名:ヒガシエ
詳細:アリエッテが決めた方角に不吉な出来事が起こる。
翻
管理人ナンバー:275
スタイル:科学
スタイル名:ディシュ・FF
詳細:無数に散らしている球体型の科学。飛ばしている球体からは電撃が飛ぶ。
その他にも人間を従えるほどの単純な力を持つ猛者、管理人達がずらりとガイゲルガー・フェル達を囲んでいた。
「支配人。…………」
「ここは我々が身を挺します」
「お逃げになってください」
人間を飼っていやがる。賭けを行う重要な道具として使っている奴だとしても、それを慕っているのか、恐れているのか、信頼しているのか分からないが。ガイゲルガー・フェルの部下達は彼を護ろうとしていた。
「いや」
「支配人?」
「I、やろう」
ガオオオオォォォンンッ
部下達を押しのけるではなく…………。たまたま、ガイゲルガー・フェルの眼前を阻むように立っていたアラム・マァードとJ_DATを、自身の右手首を取り上げて。ロボットであることを証明するかのように内部に積まれた火炎放射器で焼き尽くす。
管理人をあっさりとなんとも思わず、……つーか、部下を殺した。意味がない。……だろ?そのありえない精神性は誰もが納得してしまう。
「やはり貴様は管理人ではない」
「Oh~~~、YES,YES…………I AM NOT YOU(私はあなた方じゃない)」
ガイゲルガー・フェル。管理人ナンバー011。それは管理人の中で必要とされているだけの物を兼ね備えているからだ。問題を起こしても桂やポセイドンなどが見過ごすほどの、……そーゆう力がある。
ジャラララァァン
「!!?なんだ!?」
「し、支配人!!?まさか……」
「起動させるのですか!!?」
マキート達と、ガイゲルガー・フェルの部下達の反応は違った。警戒と、恐怖よりもえげつねぇそいつを投げ捨てたい気持ち。
「"THE・BRAVEⅡ・DLD"(「勇勇・死生死)を使わないでください!!」
「や、や、止めてください!!我々まで巻き込まれます!!!」
瞬時に泣きまくる、ガイゲルガー・フェルの部下達。絶対に覚悟ができない能力。
強さという一線にいる能力ではない。この能力は最強ではない。そして、無敵でもない。最後に勝つ能力でもない。それらは絶対に認めるわけにはいかない。しいて例えを挙げるなら、恐ろしい能力というのはこのような事を言うのではないかと、…………考える。
ゴイイィィィィンッ
"THE・BRAVEⅡ・DLD"(「勇勇・死生死)
スロット型の科学。ガイゲルガー・フェルの科学は体に内臓されている。本体と同居しているが、起動した瞬間に対象者達には目の前に現れるモニターとゲームが科学と思うだろう。
「な、なんだ!?」
「みんなに現われているぞ!!」
「"死"と"生"の文字だ…………」
「ス、スロット……か?」
ゲームはほとんどの者が自動的に起動した事だろう。スロットと同じ、目が回り始めた。目を止めるボタンはない。このスロットが出る目は"死"と"生"しかない。
ダラララララララ
「結構なことだ。I、貴様等に恨まれて構わない」
"THE・BRAVEⅡ・DLD"
出る目は"生"と"死"の二つしか存在しない。"死"の目が出た場合、勇気を支払うことでもう一度スロットを行うことができる。二回目も"死"の目が出た場合、対象者は死亡する。
ただし、生きる事が幸福かどうかはガイゲルガー・フェル自身にも分からない。
ピイィンッ
「理解は…………届くかい?」
ガイゲルガー・フェルのスロットが結果を弾き出すよりも先にほとんどの者は攻撃を行った。
「何か分からんがやれーーーー!!」
「逃げられる前に倒すんだ!!」
賢明な判断。スロットがまだ回っている間に仕留めようとするのは当然。出た瞬間に能力が発動するのは分かっていた。
だが、スロットの目はあるスイッチによって止まるのであった。多くの者が持っている、
ピィッ
ガイゲルガー・フェルの周囲にいる者達のスロットの目は今、出た。その瞬間。商業市場街"月本"の終わりを意味する。




