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RELIS  作者: 孤独
”滅びた大地”アーライア編
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アレク、キレる。朴と対峙する。ライラ、捜索する。



「春藍!!」

「ネセリアーー!!」



ライラとアレクはその後も賢明に声を出した。朴の結界の中で出せるだけの声を出した。


「分かっているんだろ?止めときなさい」

「!!」

「アレクくんも。どーして必死になるのか…………少々期待はずれだ」



朴は"SDQ"の上で座り、空を見ていた。ライラとアレクは朴の方へ強く振り向き、


「テメェには関係ねぇ!!!焼き尽くすぞ!!!」


ライラが驚き、ビビルほどのアレクの顔つきは半端ではなかった。仲間であると同時に部下でもあるからこそ、言葉の重みが違った。


「春藍も、ネセリアも!!生きている!!」

「…………君達と出会えればいいけどね」



"SDQ"の下で埋まった春藍とネセリアを掘り起こすなんて無理だろう。触れれば無事じゃ済まない。ライラが落ちるとき、アレクは止めた。無理だと…………。自分達がやられる。

理を出した。感情は防いだはずだ。

だが、どうしてだ?



アレクはどうしたい?



やるべき事と感情が求める事の間だ。



「……冷静になったが無理だ」

「ほっ?」

「何してんだ。畜生め…………」



自分を一度責めた。朴に当たったところで意味は変わらない。また、春藍とネセリアを呼ぶ事じゃない。二人を信じる事でもない。

俺が動く。科学者な上に技術者だ。


「ライラ。少し、ここはお前に頼む…………」

「!分かったわ…………。心配しないで」


アレクの顔は決断だった。付き合いがまだ短く、疑いもしていたライラにもアレクの感情は分かった。捨てたといえば捨てたである。だが、進んだ。前を見た…………。



「必ず、見つけるから」


ライラは拳を握ってアレクに向けた。アレクもそれに目掛けて軽く拳を


「おぅ」


コツンッとぶつける。なんとなくやった二人のタッチ。



「で?私は何をすればいいんだ?」


少しの疎外感を覚える朴。アーライアの観測は1人でいる事が多いため、かなりストレスが溜まっていたが、このような疎外感はより腹が立つをことを知った。仲間外れは寂しいものだ。



「俺を先にアーライアの資料が置かれている世界に行かせてくれ」

「ライラは?」

「あたしはまだここにいる。春藍とネセリアを救出するから」



なるほど。よく選べる。そうでなくてはね。



「良いね。捜索に3人も要らない。それにライラにはここで少しは生き残れないとお話にならない」

「そんなの分かってるから!!早く、アレクを連れて行きなさい!!」



ライラは溜め込んでいる魔力を全て放出した。先ほど"ピサロ"を発動したが、コントロールできずに操作から離れて"SDQ"となってしまった。この世界で自分の"魔術"を使うにはタフな魔力が必要だと理解した。朴の"カスタネット・ギバン"には"SDQ"とも相性が良いこともあるが、素の魔力もライラとは桁外れの差がある。

朴に対して魔力の容量では敵わないが、魔力を放出する量を増やすことで強い操作力を持った魔術を使おうとするライラ。短期決戦に持ち込むほどの魔力の使い方。



「じゃあ、健闘を祈るよ」

「……………」



朴は懐から取り出したのは"折り畳み傘"であった。これがポセイドンが開発してくれた瞬間的に異世界に移動できる"科学"である。丁寧に広げて、



「アレクくんが持ってくれないかな?君、大きいね」

「こうか?」



男2人で何してんだと思うが、……一つの傘に二人が入る。かたや大男、かたや一般人のような身長の管理人だ。



「おっと、ライラ。もし運良く見つかったら使うといいよ。ここのスイッチを押せば使えるから」

「まだそれがあるのね」


朴は移動前に今から使う"折り畳み傘"を投げてライラに渡した。そして、アレクが持つ広げた傘はゆっくりと回り始めた。"SDQ"とは違う薄い白い色の光が朴とアレクを包んだ。



「私が移動した瞬間に"カスタネット・ギバン"は解かれる。準備は良いね?」

「ええ」

「頼むぞ」

「うん」



パアアァァァンンンッ



弾けるようにアレクと朴の2人は別の世界へと移動した。そこからライラの戦いが今始まったと言える。この世界を放り出したままでは全世界が危ない。それをクリアするのが最終目標だ。ただ最初からそれを目指せばいいわけじゃない。寄り道と思われるかもしれない、小さい事の積み重ね。



「春藍とネセリアを救えなきゃ」



仲間を救えないのになんでここにやってきた。



モクモクモクモク



ライラは"ピサロ"を全開にし、雲を拡散するよりも圧縮する。短時間で集中豪雨などを起こすような雲を自分の足場として形成した。また、上から降ってくる"SDQ"を防ぐためにも自分の頭上に厚い雲を発生させる。雲を貝殻のような形にして、自身を中に入れた。

雲に"SDQ"が降りかかっても、短時間なら形も崩れない。



「全部…………全部、風で振り払う」



小さくライラは汗を流した。体内が熱くなっている。自分の中の魔力は0だ。防御に回す魔力と活動に回す配分を上手く見極めているのはライラの魔力を使い分ける力が高く、降りかかる"SDQ"がどれだけ危険かどうかを分かっている事だ。

また、この大地全てが"SDQ"であることから自分がどれだけ高いところにいるかは分かった。気温、気圧が低いことは"ピサロ"の効果は抜群に使え、あとはライラが"ピサロ"を制御できるかがポイントとなっている。



シューーーーー



貝殻状の雲から小さな灰色の雲が蒔かれ始めた。雲からは風が発生させていた。それはまだ微風に等しいが、数分後に自分をも巻き込む巨大な風を呼ぶ。"SDQ"でさらに巨大になる可能性もある。ライラは制御する事だけを集中している。




バヂイイィッ  ビギイイィッ




シンシンと降っていく"SDQ"に貝殻状の雲にヒビが入っていく。それでも制御は渡さない。決して自分の力は壊されても、誰にも譲らない。



「"山彦風"」



長い数分だった。周囲の風を集める間はただ放った雲の手綱を握る。色んな箇所から引っ張られたり、消されたりしそうな自分の魔力を踏ん張って形を保たせる。

視界が白くモヤモヤしていく。熱が上がっていく。汗が止まらない…………。




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