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RELIS  作者: 孤独
”滅びた大地”アーライア編
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黒リリスの一団VS問題管理人軍団、準備編



アーライアに春藍達がやってきた頃。"黒リリスの一団"のアジトでは戦闘準備を始めていた。

本格的なブッコミであった。だが、それは2名。準備している様子をやや不安そうに見ているインティは尋ねた。



「ウチとパイスーも手伝おうか?今回の相手はやばいんでしょ?」


この場にはいないパイスーの名前を出したのはやはり全員が精神的に彼の強さに頼っているからだ。管理人は皆殺しにしようとする彼等だが、今回の獲物は大物。そして、パイスーに頼らずに倒したい。彼の力になるためでもあり、自分のためにもだ。



「要らん。梁河と俺で十分だ、インティ」

「へっ、……パイスーの野郎は桂とポセイドンを相手にヘマをしたんだ。あんな奴はアテになんねぇーよ。俺とザラマで余裕だ」



"不信な森"イビリィアでアレクと共に魔物を葬っていたザラマと梁河。2人が狙っている"管理人"は、多くの異世界で賭博や人間売買などを行っている。ゲスな管理人の1人に連ねるほど、悪名な奴。

ガイゲルガー・フェルの首であった。

管理する異世界を持たない彼であるが、"商業市場街"月本は彼が活動している異世界の一つだ。ひっそりとそこで待ち伏せするためやや荷物は多かった。



「うーん…………だけどさ。やっぱり不安だよ」

「俺達の腕を疑っているのか?おいおい……」

「うん」



正直にインティは頷いた。



「あいつ等は強いよ。これからは本気でウチ達を狙いに行くんだ」

「今までみてぇな雑魚とは思わねぇーよ、心配すんなインティ。慢心が過ぎる俺でも、相手を判断するくらいの余裕はあるっつーの」

「……覚悟する相手だというのは分かる。だが、俺の倒す相手だ。パイスーやリア、お前の力は借りたくはない。警戒は十分する」



ガイゲルガー・フェルは非常に特殊な管理人。ポセイドンも土地こそ貸すが、手を組もうとは思わない。桂もまた同じである。ガイゲルガー・フェルよりもゲスである粕珠や、インビジブルというもう1人のゲスな管理人と手を組んだ方が良いのはガイゲルガー・フェルという者が協調性に最も欠けていて、周りに部下がいる事や縛られる事を嫌う傾向にあるからか。とにかく、自分の指示が聞けない奴が嫌いなのである。最後に能力的にも手を組む事は不可能。

子供が描くような不細工なロボットに見える、ふざけている姿をしたガイゲルガー・フェルであるが、その他の強い管理人と手を組む事が無くてもメチャクチャな強さ(なのかな?)があるのは2人共知っている。

今まで殺しているカスな管理人とは違う。



実際のところ、100番台以下の管理人を倒しているのはパイスー、リアの二名のみ。強い管理人をも殺しているザラマと梁河でもあるが、本当に強い奴を倒しているのはやはりこの2人だけだ。

本当の強敵を相手にいつまでも。特にパイスーに頼ってばかりではいられない。



「行くぞ、梁河」

「おうよ。どっちが先に倒すか勝負だな」



若の"ディスカバリーM"を用いて、ザラマと梁河は"商業市場街"へと向かった。しばらくは戻って来ない。必ず、2人共帰って来て欲しい。

少し不安を持っているインティに出かけたところを確認してインティに歩み寄ったパイスー。桂との戦いで身体がボロボロであり、療養中の恰好だ。



「インティ、邪魔には行くなよ」

「わ、分かってるよ。パイスー…………ただ、ウチは仲間がいなくなるのは嫌だなーって、思っているだけ。大丈夫なのかな、梁河とザラマの2人だけで」

「敵に会った事ねぇがザラマの奴がケリをつけたい野郎だと言ってんだ。大丈夫かじゃなく、信じるんだよ。ザラマが本気を出せば早々負けねーよ」



しかし、パイスーはこの負傷した身体でも、ザラマが認めるほどの相手と戦ってみたいという気持ちが沸いていた。インティには分かる。彼は戦いに飢えすぎている。身体をブラブラと動かしていると、休息が退屈というサインだ。



「あー、…………ちっきしょー。戦いてぇな。あいつ等、羨ましいぜ」

「ウチよりパイスーの方が飛び出して行きそうだね」



そんなパイスーをインティは"韋駄天"で優しく速く、痛んでいるところを叩いてあげた。戦いの飢えを鎮めるツボ突きとも言える。



「ぐおおぉっ…………」

「まぁまぁ、パイスーはもっと無茶が良くないよ」



パイスーが負傷しているから大人しくしているのも、ウチ達らしくないか。それにパイスーが大丈夫と言えば、きっと大丈夫なんだろう。パイスーはザラマと梁河とは昔からの付き合いがあるから。



「パイスーの次の相手は決めてるんでしょ。なら今は大人しく療養しなよ」

「ん、……あー、当然な。インティが最強と認めている"管理人"を倒してやろうって思ってるんだよ。本当に俺がもらっていいか?」



インティの目の前で何を言っているんだと思う。

最強の管理人は間違いなく、桂とポセイドンの二強だろう。だが、二人を入れても強さという一点ではインティが感じるに最強と言っても間違いない管理人。



「ウチが戦いたい奴は他にいるんだ。"無敵艦隊"インビジブルさんはパイスーが倒して欲しいな。そうすれば、パイスーの事をもっと認める」

「……自分の師匠を殺して欲しいって弟子を見るのは初めてだし、そんな依頼は今までなかったな」

「普通は弟子が師匠を超えるために決闘をするものだけどね。けど、ウチにはそれは無理。強さっていうかねー、その。もがぁっ」



インビジブルの"無敵艦隊"の性能をまたうっかりと話しそうになったところをパイスーは口止めした。その口の軽さに桂から逃れられたが、楽しさが半減である。



「実際に戦って判断してやる。喋らなくていいぜ」

「んんー…………分かったよ。信じるよ、パイスー」



パイスーは管理人ナンバー:015。インビジブルを狙い。インティがそれを補佐する。



コトンッ



「若。そろそろワタクシ達も動きませんか?コーヒーが温くなりましたわ」

「か、勘弁してくれよー、リア……(なんでくじ引きでリアと……)」



別室で静かに音楽を流し、2人一組となってターゲットを始末する作戦を話している最後の2人。リアと若の狙っている管理人。


「粕珠とかいう人間を処刑する事が目的としている管理人はワタクシが直々に、処刑すると言っているのですわ!!グズグズしていたらザラマやパイスーにも先を越されるわ!!」



戦闘狂とは違う、殺人鬼寄りのリアには若もたじたじであった。戦闘力という点では頼りになるが、自分とリアとは性格があっていない。

まだ調査を続けてからの方が良いという若と、今すぐでも特攻したいリアで揉めていた。



「お、落ち着いてくれ!粕珠は管理人一の邪悪な奴だ!秘密主義のポセイドンよりも情報がなく、その姿すらも未だに分かっていない。第一、粕珠に捕まったら生きて帰った人間は誰一人もいない!ぶっちゃけ、こいつほど危険な管理人はいないって!!」

「危険だからワタクシが掃除して始末して焼き尽くすわよ!!!準備をするわよ!!」

「わーー!止めてくれーー!!パイスー!!お前とのタッグが良かったーー!!」



リア+若の2人組は管理人ナンバー:016。粕珠の首を狙っていた。



桂とポセイドンの読み通り、"黒リリスの一団"が問題がある管理人3人に狙っていた。それをまだ向こうは知らないが、来るだろうとは予想できていた。

全員で来るのか、それともタイマンなのか。……細かな部分までは"黒リリスの一団"側も把握しきれていない。

だが、待ち受ける3人はドッシリと横綱気分でいる。自分の力量に絶対の自信を持っていた。同じクラスの者達が討たれたと知っても、特別に悲しみを持たず。そして滾らずに自分を支配する圧倒的な自己を保っている。



「来てみろ、人間共。管理人に歯向かう勇気があるならな」

「○○するほど熱くなってくる、女性は良いものだ」

「ぎゃははははは!!そろそろ来るべかって!?ちげーべ!!死ぬんだべ!!」



それぞれの異世界で堂々と待ち構える3人の管理人…………。戦闘は目前であった……。





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