アーライア、人間生存記録
大昔の実験があった。
「強き人材をアーライアに放り込んでどれだけの時間生存できるのだろうか?」
多くの異世界から選別された50名ほどの人間達を連れて、管理人達は放り込んだ。人間達は抗った。襲い掛かる変哲もない白くて小さな落下物を避けたり、吹き飛ばしたり、消したりもしたが……結局行き着いたのは死。魔力切れ、体力切れ、動力切れ。
無限に降り積もり、終わりなき災害に人間達が全滅するまでに10日と掛からなかった。
元々、食料なんて物もない。休息場所もない。
管理人達にとっては実験に過ぎなかったことだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
再び、アーライアは揺らぎ、他の異世界に侵食した事によって変動した。ライラとアレク、朴の地面が動き、再びの巨大な落とし穴ができた。
「!!春藍!!」
「!ネセリア!!」
穴ができた事によって、その下に埋もれていた春藍とネセリアを発見したライラとアレクであったが、2人の落下速度が少し速い!
「くっ、間に合って!!」
ライラは危険と分かっていても、朴の"カスタネット・ギバン"の立方体の領域から出ようとしている春藍とネセリアの下に雲を作り出そうとするが、
ギュルギュルゥ
「!!」
"ピサロ"を制御できない。力が安定せずに暴発する。ライラが作り出した雲は春藍とネセリアを支えきれないが、ライラの意志があったとしても消滅することなく落下していく。
「ネセリア!!」
「や、止めろライラ!!朴の結界から出たら死ぬぞ!!」
アレクも悔いを出した顔をしている。しかし、それでも。ライラを止めたし、自分も止めた。朴の結界から離れていく春藍とネセリア。そこに降りかかっていく"SDQ"
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ライラ達は完全に春藍とネセリアから離れ離れとなってしまった。
ドボオォォンッ
「冷静になれ!!お前は最初、どー思っていた!?」
「!!それと、……これとは違うでしょ!!」
「あーあ。春藍慶介と、伊達・ネセリア・ヒルマンは完全に結界の外に出てしまったし、埋まってしまったようだ…………」
3人が着地した時、周りはもう大量の"SDQ"で埋め尽くされていた。もうどこに春藍とネセリアが埋まったのか分からないほどだ。
アーライアで春藍とネセリアは遭難してしまった。死を認めない、死体がないから認めないとするただの願望である。表現である…………。否定である………………。大嘘である…………。