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RELIS  作者: 孤独
人災編
584/634

無謀


「無謀だ」



それはアレクからの言葉であり、藺兆紗がどう受け取ったであろうか?

アレクのライターの火が点灯する。


「そーですか」


藺兆紗の興味はアレクにもあるが、それ以上に。アレクが今。整備をしている物に興味が湧いた。同時にそれが、なんであれ。"SDQ"から逃れる事が出来る、唯一の手段であろうと核心する。

あれさえ奪えばいい。数で押し切ってやる。

戦うアレクには、護るという足枷がつけられ。藺兆紗には、奪い取るという効果覿面な理由。


「なら」



ドガアアァァァッッ



わずかにしては、あまりにも歴然としていた……。


「え?」


"なら、多数決で横取りします"


そう言ってやろうと思っていたが、


"え?"


に変更した。

藺兆紗の驚きは護衛として出していた人間が爆発した事ではなく、護る戦いを強いられるはずのアレクが、メッチャクチャな攻めをした事。戦闘員ではない藺兆紗でも、戦闘には詳しい方だった。

護るもんがあるって、とても弱いこと。本来の力を出し切れず、護るもんのために身を削る。ただのハンデでしかならない。にも関わらず、そっちから攻めてくるなんて。思わなかった。


「ちょ」



ドオオォォッッ



見えなかった!いきなり、手元で爆炎が起こった!?

あのライターが"科学"か。でも、そんなことよりも、速過ぎる、熱過ぎる、強過ぎる!!

なんだこいつ!?こんなのが、クォルヴァ以外にいたんですか!?


「一時退却!」


藺兆紗は一気に逃げる。

アレクは護る分、追っては来れない。射程範囲から抜け出せればこっちのもの。

確かにそうであるが、どうして。アレクが迎え撃つ体勢すらとらずに、藺兆紗と遭遇したか。



「俺と会った時点で、お前に勝機はない」



"紅蓮燃-℃"が最も活きる射程範囲に、藺兆紗を誘導できるからだ。

春藍、ライラ、ロイ。この3人と同等とされる強さではあるが、アレクだけが突出しているのは、強さを存分にその場で発揮するからである。

経験的なもの、心理的なもの、分析力というもの。

そーいうものが誰よりも突き抜けているから、見える強さがとんでもなく大きく見えてしまう。


だから、どんな敵でも弱くされてしまうという、作中での扱い辛さが光ってしまうキャラの1人。



ドバアアァァァッ



「!炎の龍!?」



そんな爆炎を使えば、さっきの装置にも影響が出るはず!?なんでこうも、攻めてくる!というか、速いし!避けきれない!防ぎ切れるものかな!



「…………」


あいにくこいつは、時を越えるなんて事をやる科学だ。

俺の炎でお釈迦にされるような、脆い構造じゃねぇんだ。少しは防御に回るかと思ったか?

甘いな。


「!」

「とはいえ、こんなこともあろうかと」


藺兆紗は逃げたままであるが、アレクに届いている彼からの殺意。


「不測の事態に備え、最高の切り札を残しておくものなんですよ」


"黄金人海"の強み。

人の数という利点。そこに加えて、人の質をいれれば。アレクとの、能力という差は如実に現われているのが事実。


直接戦闘が不得手である藺兆紗が、堂々と正面で敵と対峙するわけがない。

そもそも、偽物を使いアレクと邂逅するのであった。アレクが放った炎龍も直撃したのが、本体ではないよくできた偽物だとしたら怖くはない。

姿を見せるわけがないだろう。そーいう人を扱った戦争ができる藺兆紗と、己が戦うしかできない戦争のアレク。



土俵の違いが物を言うと、藺兆紗は答える。



あなた方の強さとは、自分が戦うこと。

ですが、私はコーヒーとパンケーキを頂きながら、あなた方を殺せるという強さ。

その差は明らかというものです。



「!む」

「ひ、ひ、ひ」

「し、指示を、くれ」



アレクの目の前に現れた、藺兆紗にとっては虚ろな雰囲気を出す兵隊達。それに見覚えがあり、ちょっとした感情が沸いてきた。


「テメェ。こいつ等はなんなんだ?」



怒り。侮辱。


「知りたいですか?んー。そうですか。知りたいって感情。ほうほう、いいでしょう。彼等は慈朱里咲を利用して生産された、失敗作達です。とはいえ、全員の身体能力は"超人"。数はざっと、400人かな?」


これに加えて、ダーリヤを使って、生み出した兵隊は100人ほど。

そして、完全な洗脳をし、配下となった慈朱里咲とダーリヤを控えている私に、あなたが勝てる可能性など0。


「詳しく知りたかったら、すぐ倒される事を勧めますよ。殺せ(できれば捕まえたいですが、私の安全が第一)」


幾重にも持つ、藺兆紗の人材の宝庫という切り札。

数においても、抱える質においても、アレクの不利は一目瞭然。単純な身体能力ですら高く、藺兆紗によって成長と集団戦法も練られた、朱里咲の兵隊達は相当な武力である。

一気に囲んで、群れで襲う。一溜まりもないことだ



「そーか。許せねぇって、気持ちだ」



アレクは



「あいつの血と心を汚すんじゃねぇーよ」



剛炎が噴く。ずば抜けた相手の身体能力を、熱と炎で焼き払う。そんな単純なもので力の差を見せる。


「ふざけてんのも大概にしやがれ!!」


あいつはただ戦いってだけじゃないんだよ。ただの兵隊なんかが、その血をもらうなんて許せねぇって、



「ゴミ野郎!!」



怒りに反して、余力を十分に残し。

集団戦法をたった一人で焼き滅ぼす。



「へ」


1人で敵わないなら、2人で挑もう。そーいった、存在はしないけど、協力プレイという物がある。使用者にそーいった気持ちなどないのが残念であるが、数という純粋な力に。

アレクの炎はその全てを焼き払っていく。映る全てを、焼き払う。

元々、アレクは強さのバランスが良い。

ライラのように広範囲で強力。ロイのように長く速く。1対1だけでなく、対集団戦にも適した科学は藺兆紗の"黄金人海"との相性が極めて良かった。




ドオオオォォォッッ



噴火とは違う炎。自然の美しさではなく、技術の美しさがあった。

兵隊1人1人に灯った、白い炎が立ち上っていく。


白火那しろひな


正確に兵隊達に着火され、倒れ、さらに燃え上がっていく。喰らっても立ち上がろうという気力を、絶対の強さとこの状況で圧し折る。その肉体とその血を全て、焼くと伝わる高温の白い炎。


一瞬にして、一度。アレクが場を支配したが、まだまだ後ろに控える兵隊達。アレクの連射も速度も、攻撃も相当であっても、届きうる兵隊達の力と意地、その数。アレクの左腹を狙い、間合いに辿り着く者がいた。



ガギイイィッ


「!!」

「おい、こんなもんか?」



兵隊の拳を、左のエルボーブロックで止めるアレク。"超人"の拳をその肘のみで



メギイィッ



相手の拳の骨を壊す。

左手にライター、"焔具象機器"。右手にバズーカ、"紅蓮燃-℃"。口には咥えタバコ。それらを持っていながら、そこから格闘をする天性な強さ。アレクからしたら自分の接近戦の分の悪さを、これでもかってくらい、相手に差を見せつける。


「そんな奴等が朱里咲の血を持ってんじゃねぇ!!」



殴るまでの間合いに入った者に、飛び蹴りで突き放し、追い討ちで焼き払ってみせる。



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