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RELIS  作者: 孤独
人災編
582/634

数値


完全な洗脳や生産というわけではなく、現実世界で産ませた存在なわけですから、私が抱える人材とは違って思う存分に力を発揮できる。

それでも、1VS3はキツイですし、時間稼ぎもできるか分かったもんじゃないですね。



「ちょっと残念です」


藺兆紗は退き始める。別の経路でライラ達の先へ行こうとする。



「待ちなさい!」



それを阻止しようと、少ない魔力で藺兆紗を攻撃しようとする。そこにある戦意に発動したかのように、好奇心という原動力が攻撃の決め手となった。



バジイィィッ



「あーっ」

「あ、赤子のくせに力あるんじゃねぇか?」



藺兆紗が置いていった赤子。ロケットみたいにライラと夜弧に飛んでいき、ロイが右足で止める。赤子という小さき存在のため、ロイもその格闘能力が適していない。技はなく、ただの力比べ。おまけにやり辛い外見。


「!」


俺の足にぶつかっても、吹っ飛ばないどころか掴んでやがる。だがそのまま、地面にぶつかれ!



ロイの振り下ろす蹴り。それにしがみ付いている赤子は、まず間違いなく叩きつけられ、死ぬだろう。さっきとは違って手加減はしてねぇ。一瞬で終わらせる。



ドゴオオォォッ



「!!」



足を掴まれている感覚が残っている。ロイは素早く、近くの壁を赤子が握る右足で壊しながら、連続して行動する。いくつもの壁が破壊される。なのに、壊しきれない。

"魔術"か"超人"の類いなのだろうが、いずれのソレとはこの時点で違っている。握った物を離さない能力なら、どうしてこの赤子は無傷でいられる。



パッ



「!」


離れたんじゃねぇ、自分から離れやがった。



コンマのロス。ロイは確かに、観ていた。机のコインが床に落ちるってー、ぐらいの。まばたきはできるだろう、その猶予。

膝も、腰も、動かなかった。それは攻撃も防御も、回避も、質の半減を意味する。赤子という人間であっても、サイズが小動物。読みが利かず、対応が自分で決めているものより、鈍い。


赤子の足が着地する。


ロイは眼を開いたまま、



ドゴオオオオォォォッッ



ロイが赤子に、爽快にぶっ飛ばされる。

殴られた、蹴られた、そーいった攻撃手段をすぐには見切れずにもらう。



「は?」

「え?」



ガラアアァァッ



ライラと夜弧が視認できなかったのは、ロイとは違って、無自覚な怠りはなく。万全であった。それでも追えなかったのは、ぶっ飛ばされたロイと。何をしたか分からなかったが、その場で消えたとしか言いようのない赤子の、なんか。

2人が、ロイが吹っ飛ばされたであろうと方へ振り向く時。



死を



「あーっ、うーっ」



その健気で無邪気な、ロイの血で染まった赤子から感じ取った。




◇         ◇



単純な強さを。


『強さを力と捉える者もいる。あるいは、スピードこそ強さと捉える者もいる。スタミナ、タフ、テクニックでもそう』


色々な分野に必ずと言っていい、強度きょうどがある。

頭の良い天才だろうと、アホで馬鹿にもある。過去というものであろうが、今という最悪の中だろうが、遥か未来の事であろうと。何事にも強さがある。

互いに互いがぶつけ合って、強さの格ができる。しかし、力では超えられない物、スピードでは抜けない物、タフなだけでは耐えられないこと。スタミナだけでは持続できない事、テクニックに完成や終点がある事。

どれにも上限がある。故に



『強さにも上限がある。あって当たり前なんだが……』


現われて来る数値と同じように、強さを科学的な解釈で測ることができる。



『奴にはなかった、と言える。人間とか生命体とかが、観測できん領域にいたのだろう』


それは限界を超えたという、熱いものか。極地についた、溜め息交じりの冷たいものか。

本人しか分からないことか。


『雷に打たれても、その体が痺れることも、焼けることもなかった』


一例にしてはちょっと分かり辛いか。

それじゃあただ、打たれ強いとか、耐性があったとか。本体に何かがあったというべきだろうか。

少しを考えて伝えるのなら、



『パワーという点で言えば、奴はその町やその島を腕力だけで投げ飛ばす。それを投げれば地球の外、宇宙まで到達させるのだ。投擲物が先に焼け飛ぶ』



"超人"という、人を超えたという定義。しかし、奴は人でありながら、万物の全てを物理的にして、原始的にやれる。己の勝手でやってのける。それは強さをぶち壊した、強さである。

何かを達成するために強さがいる。物凄く分かりやすく、単純なことをやってのけるが、彼の強さ。それ故、規格外の強さと呼ばれること。



『スピードは、最高速という分野で光よりも速く走れただろう。テクニックにおいては、あらゆる事を原始的にこなすという意味で完璧だ。あらゆる攻撃を受けても、肉体に傷がつくことはない上に、己のパワーの反動でも壊れない体のタフさ。1日や2日なんて、時の問題に収まらん高い運動力を持続させるスタミナ』



パワー、スピード、タフ、スタミナ、テクニック。

いくつもある肉体の強さを、


『強さを数値パラメータ化するならば、その最強は"我道がどう"の慈我だろう』


いにしえ強者の1人。

過去、現在、未来。時代の全てを通しても、その強さにおいては紛れもなく最強の男。

藺兆紗の手によって、慈朱里咲とダーリヤ・レジリフト=アッガイマンの素体から、この時代に産み落とされてしまった、時代に決められた最強を持つ男。



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