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RELIS  作者: 孤独
人災編
578/634

動力


生物が活動に必要なエネルギーは、奇跡と伝えたいほどに省エネである。

自らの肉体を支えること、激しい運動を耐え切ること、休息と食事によって細胞を再生させること、器用さ知恵も精神も記憶も、自分達の生産だってすら兼ね備えるのに。とっても、これっぽちでできる。



破壊と震動が生み。生物の命を狩った。

その爆発はアンリマンユが、生物の真似事をするためのものと、規格外を越えるほどのサイズを手に入れた事によるもの。生物では不可能と言える全長と質量に、動けるという機能を兼ね備えた科学兵器は、あくまでそこまでの機能美を完璧に手に入れた反面、内側の制御システムや緊急時、エラーが起こった際の能力がかなり欠如していた。

水羽の肉体のみで、内からアンリマンユをいとも簡単に破壊できたのにはそーいう意味もある。

そして、彼等でもその全長の先まで、見えていないほどのサイズ。フォーワールドに落ちてきたものはその一辺に過ぎず、一辺ですら途方もないサイズ。

いったい1人で、どれだけ馬鹿デカくしたのか。分からないことであるが、やっちまったもんはしょーがねぇだろうがと。あの世で琥珀博士は思う事であろう。


そのデカさを生物として扱うとしたら、どれだけのエネルギーが必要で、エネルギーを生み出す箇所がいくつ内臓されていただろうか。



「動力炉の爆発か。奴はまだ、死んでいないのか。性質悪いぞ」



アレクだって、アンリマンユの全てを熔かしきれておらず。屋根に突き刺さる形でその本体の残骸がそこら中に転がる。"SDQ"にも侵食、破壊されながら、しかし。その巨大さをまだ粉砕できず。

それどころか、点在していたアンリマンユの動力炉がこの世界の屋根に散り散りになって、地雷のようになっていた。広東やアルルエラ達に襲い掛かった大爆発は、アンリマンユが数多く抱える動力炉が壊れたことによるもの。

造られた安全と思われても、未だに不安ある危機的状況。現在進行形。



「逃げろーーー!」

「あの殺人雪も入ってくる!!」



住民の混乱は必然であり、まだ冷静さを保っている方がどうかしている。


「離れないで!!落ち着いて!」

「バラバラになってはいけないぞ!!」



指示の方に正気を疑うほどの状況。身を助けたいと思う一念。住民達と言っても、各々バラバラ。人間という奴。



「逃げた先にも、安全などないであるぞ!!」



藺兆紗の能力を知れば、住民達の安全と保護が大切。三矢の能力で感知こそできるが、根本的な解決は倒すこと。ヒュールの一声が、逃げる場所などないのに逃げようとする人達の足を止めた。その一瞬の足止めの後、止めるように地を這う白い霧が襲った。



「うわあぁっ!」

「ひいぃっ!!」


足を奪われる。そんな恐怖に失神する者もいた。人々は霧を避け、高いところへ逃げる。その判断や行動が逃げる人の8割はいただろう。実質の足止め、目的の索敵。

しっかりと目を凝らせば、"SDQ"とは別物。そもそも霧じゃねぇーか!

混乱を解くきっかけともなった、ライラの霧。



「行くわよ、ロイ。夜弧」

「おーー!」

「はい」



ライラ達が行き、謡歌達が見送る。

人々の混乱を不安に急ぐ3人。謡歌やラフツー、山佐などはしっかりと誘導作業に移る。


「生活エリアを移します!」

「広がらず、固まって行動してください」

「救助作業は周囲の避難が済んだ後に開始します!今は、自分達の安全を確保してください!」


非情なことではあるが、瓦礫に埋まった人などの救助が困難な場合。すぐに助けに行くことは愚。2次災害を発生させるだけ。みんながみんなそうであるから、順番なんて求めてなるものではない。


「この地点から近いところを順に救助を頼むのである」

「うんっ!」

「自分達と、周囲の安全を第一に、住民達の救助に当たる!」

「医療班は重傷者の手当て。調査班は患者達を収容できる施設の確保!かなり、広めのとこ!無茶だけど、探せ!」



救助班は、水羽と生き残っている"超人"の人達。医療班は、広東が不在のため。一時的に謡歌が指揮系統をとる。ヒュールは総合的な位置で現場を操る。土地の管理も握っていた広東の代役も務めつつ、生活ラインの改善を図る。患者もそうであるが、食料的なもの。また、安全となる場所も見つけなければならない。

そんな中でそこに加わるべき人が、2人ほどいない。



「なるほど、先ほどの爆発はあのデカブツが積んでいた動力が原因なんですね」

「ああ。知ってるもんだ」



春藍と三矢は、頭上の存在の対処に当たっていた。一時的に春藍を借りて、アンリマンユの胴体を変型させて、太い柱として地上に突き刺す。地上から手で触れられる状態にした。

三矢は確かにアンリマンユに触れ、いけるかどうかを委ねる。



ガシャァッ



「ゴーグルですか」

「助けを求めるのも、なんだかんだ。因果なんだなって思うけどよ」

「?」


"科学"のゴーグル内に仕込まれた能力。

他人の力を借りられる能力であり、ポセイドンがライラや英廉君の能力を仮想という形で作り出した科学とタイプは似ている。製作した者は三矢がかつていた仲間の1人。というか、みんな?



「原本だ」


三矢正明

スタイル名:人生体験バーチャル・アイ

スタイル:科学


スタイル詳細:

ゴーグルと記憶媒体の科学。記憶媒体にデータ化された能力をゴーグルに差し込んで実行し、使用者の脳や肉体に働きかけて、データ化された能力を再現する事ができる。能力をデータ化するにはかなりのリスクや時間を要する。データ化された能力は最大で同時に、3つ発動できる。"科学"、"超人"、"魔術"のいずれだろうと実行する事ができるが、使用者に影響する部分がある。


三矢はこのゴーグルを使用し、安西弥生の力を一時的に使用している。




ピィーーーッ   ガシャァァンッ



「!あ」


ゴーグルをつけた三矢がアンリマンユの装甲に触れると、そこから現れたのはまず間違いなく、アンリマンユには搭載されていないだろう。キーボードとディスプレイ、机が現れた。興味津々で春藍も三矢とアンリマンユのやり取りを見ていた。一方で集中しているためか、春藍の方には顔すら向けずに三矢はアンリマンユに現れるディスプレイを見つめ、手はキーボードを叩いていた。

ブラインドタッチは意外と綺麗で正確であった。



「俺はこいつの動力炉を停止させる」

「できるんですか?というか、その"科学"も気になります。三矢さんはライラと夜弧と同じじゃ?」

「細かい事は良いだろ」

「画面に出ているのは?」

「これを動かしているプログラミングだ。俺が書き換えてやる。住民の誘導と保護はヒュール達に任せて、春藍は周囲を防壁にしろ。物理的に住民達を外に出すな」



防御つったって、春藍のできる手段が多くても、数が多すぎる。

それでもだ。



「藺兆紗に洗脳された人間が入ってくる方が、今の俺達にとっては猛毒だぜ」



災害の中。内側から崩されたら一溜まりもない。奴はそれを突いてくる。


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