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RELIS  作者: 孤独
人災編
577/634

爆弾


放送局にて、揃った者達。


「……もう、待ってもしょうがないかもね」



春藍、ライラ、ロイ、夜弧、水羽。



「むむっ。アレクと広東については分かったのであるが、あのクォルヴァ殿の姿どころか目撃情報もないとは……」



ヒュール、山佐、謡歌、ラフツー、三矢。

丁度、10人。切りの良い人数であるが、肝心要となるクォルヴァがいない事に、心配が出てくるのもしょうがない。



「おそらく、たぶん」


そーいう言葉を使って、春藍は言った。


「クォルヴァさんは負けた。死んだとは思えないけれど、ここに来られないという事はそれに近いこと」


その事は誰だって分かっていた事。でも、ここ一番で、口にして伝えたのは春藍。

悔しそうな顔か、辛いか。ライラは怒りの言葉とは違って


「藺兆紗が来ているのは事実だとしたら、私が殺す」


現状、それができない事に憤り。


「落ち着けや。クォルヴァはともかくよ。俺達でこれからをどうするか、だ」


三矢が代理として、この場を纏め上げる。

彼だけが全てではなく、この戦力と状況でどーいう割り振り、行動をしなければいけないか。


「単純に考えれば、住民達を護る戦力。藺兆紗を探し、倒す戦力の二手に別れるのがベターか。どれだけ護る戦力が必要だ?ヒュール」

「侵略者となれば集団で行動するのを基本としていますぞ。ライラさん達の中で、3,4人は残っていただきたいですぞ」

「ライラ、藺兆紗を探して倒すのにどれだけの戦力がいる?」

「相手を洗脳できたり、色んな人間を出したりする能力だから、ただ強いより厄介ね。でも、まともに戦えれば勝算は十分ある」

「んじゃあ、どうやって見つけるかがポイントになるな」



通常の状況なら専守防衛である。

しかし、春藍の屋根で空の景色は塞がれ、その上には"SDQ"がゆっくりと落ちてきている状況。時間の問題というものだ。侵入者という敵意を持つ相手がいるというだけ、不安があるのも事実。

ここにいる者達だって、そーいうものを考える。



「……俺なら、通常の人間と洗脳されちまった人間の区別がつく。"本音"で心理状態を読みきれるからな。洗脳は解けんがな」



三矢は藺兆紗対策の能力を持っている。試したことはないが、なんてことを言えば、意味がないが。ただ、多少のできる範囲を伝えておく。



「俺と水羽ちゃんはいつだっていけるぜ。戦うのが本職だからな。夜弧は?」

「私もいけます。ただ、私の"トレパネーション"なら、藺兆紗の洗脳を解除できると思います。これを護るか、戦うか。私には難しいです」

「……状況的にムズイな。そこらへんを決めることだし」


"本音"で悟れる三矢は、夜弧が藺兆紗との戦いを避けている事を聞き取れた。それが分かってしまう不安もだ。

ロイと水羽が藺兆紗の打倒に名乗り挙げる時点で、お互いの言い分には丁度良い配置か。


「春藍くんにも残って欲しい。この構造がどうできているか、住民のみんなはこの屋根が潰れないか、心配もある」

「大丈夫です。アレクさんにもその事を伝えられているので、僕は残るつもりでした」


敵はなんだかんだで、藺兆紗1人。戦闘員であるロイと水羽が、相手をするのは当然となる。

ただ索敵要因にさらに2人。


「夜弧が私に魔力を貸してくれれば、索敵くらいは余裕でいけるわ」

「確かにそうですね」

「それにクォルヴァと戦って、無傷で済んでるとは思えない。私の魔力が回復しないように、あいつだって大きく消耗しているはず。あーいう能力は早いとこ、潰さないとヤバイ」


ライラと夜弧を配置する。アレクが春藍を回してくれた事で戦力と人材が浮く。ライラの読み、自分自身の事も含めて、藺兆紗の状況と対策を完璧に言っていた。夜弧もその言葉で自分が、戦うべきであると決心。



「5人のうち、4人もですか。相手が脅威であるのは分かりますが、春藍くん1人で……」

「大丈夫です!僕にもやれます!」

「しかし、これだけの創造をした後だぞ。私達は君に負担をかけてしまう」



山佐が心配するのも当然か。春藍はきっと、無理をしているのが分かる。アレクの助手として研究に付き合い、自分達を護ること。


「水羽ちゃん、残ってくれるかな?」

「謡歌」

「お兄ちゃんばっかり、負担をかけちゃうから。水羽ちゃんが残っていれば、お兄ちゃんの代わりに私達を護ってくれるし。その方がお兄ちゃんも気負わなくても良いと思う」



謡歌の提案にみんなが少し考え、それが確かに。藺兆紗から護ることも、藺兆紗を倒すことにも良い配分か。


「一瞬、俺がハーレム化する展開だと思ったが、水羽ちゃんを謡歌ちゃんに取られたーーー!」

「そーいう展開ないし。でも、頼むわよ、ロイ」

「春藍様も気をつけてくださいね」



藺兆紗を索敵、討伐編成。

ライラ、ロイ、夜弧。



「夜弧もライラも無事に帰ってきてね」

「本当なら僕がぶっ飛ばしたいけど、ロイの拳に預けるよ」

「住民達は私達に任せてくれなのである」



住民達の保護、防衛、迎撃。

春藍、水羽、ヒュール、山佐、謡歌、ラフツー、三矢。




◇      ◇



「アルルエラさんは出なくて良かったの?」

「広東さんの治療でしたら、こちらが優先です。そもそも、私の戦力はロイ様達と比べたら、とても低いです」


アルルエラが広東の治療に付き合っていた。

一般人が"SDQ"に少しでも触れただけで、体を持ってかれる。それが本当に終わりを予感させていても、


「まだ終わりではないでしょう、最後まで頑張りましょう」

「……できるかな。でも、嬉しい」



左腕が完全に使いものにならず、それに慣れようとする。ちょっと前なら苦痛にも感じなかったが、悔しく、辛い広東だった。


「足引っ張っちゃうのに」

「腕がないんです」

「いや。……まぁ、そっか」



怪我をしても、助けられる人って、それが人だからなんだろうな。普段からそーしてれば人なんだろうって。広東は日頃の自分に、感謝をする。

助け合いとはこーいう、人と人で成立するもの。



チッ……チッ……チッ……



危機的な状況は変わらずも、それがどれだけ心を支えることか。2人や、それだけではなく。怪我した住民達も助ける住民達はそれを大切に強い力と思った。

しかし、それを上回って来ようとするのが、災害や人災。

突然、身に降りかかることに、これだけ恐怖ことはなかった。




ドガアアアアアアアアァァァァッッ



上空からというにはあまりにも低かった。ハッキリと見えていた者にとっては、春藍が造った屋根が突如として大爆発を起こしたと、安全とされていた物からのトラブル。

光線と火炎、風圧、破片、塵が下にいる住民達や建物に衝撃を与え、精神の動きを待たずにその命を多く刈り取る。

そして、それだけでも足らず。爆発によって生まれた大穴から、"SDQ"が降り始めていく。



ガラァンッ



アルルエラ、広東。死亡。

この謎の大爆発を直下で晒され、その体と命を奪われてしまう。



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