宙天
水羽がアンリマンユという個体を解体。消滅ではなく、解体である。
故に破片があり、あの巨体の破片では危険であるのも変わりなく、消滅させるも難しい。
上空という状態での処置、完全に破壊するのは無理難題といったところか。
「へっ」
色々と見て来たぜ。
戦うことにしかできねぇもんにも、やれることがあるし、まだ知らなかった技術を学んでいく事は久しく、
ドゴオオォッ
「どりゃあああぁぁっ!」
楽しんでいたぜ!!
ロイはアルルエラの助力を得て、上空にいた。水羽が砕いたアンリマンユの、その破片と接近するや蹴り飛ばしてみせる。デカくはあったが、破片であり、重量もロイが十分にぶっ飛ばせるもの。しかし、それだけではない。
アクロバットに彼の動きは、一閃であり、雷鳴の反響のように。
タァァンッ
「!!」
空中にある破片をただ蹴り飛ばすだけでなく、吹っ飛ぶその前に足場として、一瞬。刹那。
次に弾き飛ばす破片にまで、狙いを決め、飛ぶ。その反動で足場の破片を吹っ飛ばす。常に最短で最善の動き、無駄もなく空中にして縦横無尽の動きは
「"雷光業火"に近い!空中でもそれを再現してる!」
「破壊力はないし、スピードもないけど」
地上からロイの後始末姿を見て、驚く夜弧と辛辣なライラのコメント。
「小回りとテクニックが図抜けている。でも、桂を見立ててのことだけど」
元々、"超人"として。ロイの"紫電一閃"は一点の特化型の身体能力ではなく、万遍なく能力を持つ万能型。
一つ一つの分野で1位をとれるかと言えば、確実にNOであるが、どれにでも上位に食い込む。
「インティのスピード、桂の破壊力」
全てが高水準であるならば、特化した連中の技術の模倣や再現。
「朱里咲のテクニック、水羽の打たれ強さ、自分自身のセンス」
おそらく、この残骸の落下を止められるとしたら、ロイと桂の"雷光業火"ぐらいだろうが。ロイのそれは全員の模倣というより、合成に近い。他者の"超人"の特徴を引き出し、合わせて、繰り出す技術は。
ロイをさらに強くさせ、まだ強くさせる可能性をみせていた。
バギイイィィッ
「残骸の全部、蹴り飛ばしていきゃあ、町には落ちねぇだろうが!!」
空中に留まり、弾きも足場利用も一瞬でやってのけるテクニックは、極上。
遥か彼方へ弾き飛ばすパワーは、甚大。
反射と最高速の2つが合わさる理想のスピードは、閃光。
全力を出し続ける体力と持久力、精神力は、怪物。
判断能力と格闘センスは、天性。
住民達にとっては、水羽の行なうアンリマンユの破壊の方が、目に見えて恐ろしく凄いものだと感じたが。総合的な難度と貢献度はロイの方が上である。
数多く落ちてくる残骸を、ロイは身体能力の一つのみで蹴散らしていく。
いつ終わるんだ?という、途方も無いところを思う。そんな一念すらなく、ひたすらにロイは続けていく。それは水羽も同じである。
ガゴオオォォッ
「す、すげぇっ……」
「たった2人でやっているのか!?あの残骸の塊を、……」
"超人"。圧倒的な力を持ってして、食い止めていくが。やっている2人にも分かっている事であるが、どーにもならないとんでもない偉業がある。異形って書くとしっくりするか。
「でも、落ちてくる物が大きすぎる!!」
「水羽ちゃんの破壊よりも先に、あれがここに落ちてくる!!」
水羽がアンリマンユを駆け上るように破壊していくが、それよりも落下速度の方が速い。"超人"の持久力と落下という法則に差があり、止まらずに落ちるアンリマンユが上。でも、落下中のことだから、下の方が正しいのか?
「くっ!」
どんだけデカイんだ!?この機械!!破壊しながら昇っているのに、全然先が見えて来ない。打撃で伝わる衝撃がこいつの全身全てに響いていかない。
壊しても壊しても、こいつの一部。ホントに破片程度のサイズ!
技量やパワーが、水羽とロイを上回ろうと人間という形状。
無限大とも言えるサイズを持つ、アンリマンユの脅威は人間にはない点。開発者の意地というか、狂気がその形を生み。人の成長を押し潰すものになっていく。
「!やべぇぞ!水羽ちゃん!!速く壊せ!!」
ロイが瓦礫を弾き飛ばしながら、聴こえないだろうが、水羽に激を飛ばす。しかし、自分達の身体能力よりもその上を行く、アンリマンユの根本的なサイズには人間という形状ではまったく太刀打ちできない。そこにある眩い才能であろうと、押し潰すサイズだ。
空中に留まりながら瓦礫を蹴散らすロイにも、もうすぐ。アンリマンユの本体が接触する。その下から、水羽の姿も見えそうであった。
これは時間の問題。
そこに挙がった煙があった。土煙や粉塵、あるいは"SDQ"……いずれでもない。こいつはタバコの煙、
スパ~~……
「お前等にとっては、それで結構だ。タバコの一服もできた。……だが、」
ガシャンッ
「こちらの準備もバッチリです。あとは成功させるだけです」
アンリマンユが地上に落下していく。その状況となっては、いよいよ出てくる者達。踏み潰されて、はいおしまいなんて笑えないし、ふざけんなってところ。だいたいだ。
「俺の研究の邪魔をするんじゃねぇって!!毎度、言ってるだろうが!!」
「キレ過ぎです、アレクさん」




