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RELIS  作者: 孤独
残骸編
568/634

塵芥


戦う理由?考えることもあるけれど、その時、知れることもある。


「…………」

「なにか、ヤバイ感じがしますね」

「夜弧も感じる?」



その先のことは、そっちにいったら考える。

ライラの思考の大半は今にある。


クォルヴァなどの、管理人達の希望を受け取っても、今を乗り切りないとどうにもならない。

春藍達へのための時間稼ぎが成立しなきゃ、できるわけがない。


そんなある日だ。

彼女達の勘が言っている。そして、外で活動している戦士達にもそれを感じた。



ゴゴゴゴゴゴゴゴ



地震の質が変わってきた。縦揺れが多くあったが、近頃感じるのは横の動き。

水溜りに落ちる水滴の波紋に近い、震動。破片の余波で世界の一つが揺れてしまう、とんでもない状況。とっても小さい事がスケールをでかくし、脅かすこと。



ズズズズズズ


「ん」


昼間のことだ。

ロイと水羽の2人は休息中。クォルヴァはどこかにフラリ。ライラが空の異変を察知し、自らの魔力を上空に向ける。隣にいる夜弧も、異変が空からのものであると理解。


その異変とは別に、明らかにやっているライラの魔力の、"質"の濃さ。メテオ・ホールの魔力を我が物とし、進化を遂げた"アブソピサロ"は、住民達にも刺激が伝わるほど強いものであった。

自然とそれが警報の役目となり、多くの者達は体の緩みを解いた。地震などの災害を経て、緊張に敏感となっている彼等はよくできていた。異変が空だと、子供だって気付くほどだ。



「………………」



地震は、ない。違う。



ライラの勘。夜弧の勘。

これらは2人共、戦士としても、修羅場の数といい。特別な猛者が持ち合わせて、感じる経験のもの。死地に触れていると、10秒前からその先に把握する。イメージと重なる。

だが、それは勘が伝えた瞬間だけである。


上空に魔力を飛ばし、睨みつける空に。勘という警報は、ライラにハッキリと伝わる。でも、それは危機とは違っている。



「…………やばい」

「え」


ライラの冷や汗を見た、夜弧。


いち早く気付いたライラはさらに、その出力を増す。なぜ、その勘が働いたか?辿れば分かる事である。壁一枚、空間と空間を隔てる強力な代物の、奥からする威圧感。

力関係を決定させるほどの強さの、差。その差を空間のこちら側から感じる。

ただの、それであり。


そのもの



「始まるわ!!」




バギイイイィィィッ




空間のヒビはまさに一瞬のこと。しかし、見上げる者達にはヒビの形をしっかりと捉えるほど、大きく、印象的なもの。


「こ、これは」

「もう!」

「今日か!!」



大勢が瞬間に声を出す。悲鳴もあれば、終わりに覚悟をする声も挙がった。



バリイイィィィンッ


ヒビが壊れて、降り落ちるもの。白き悪魔、絶望の雪。それは降っているというより、雪崩込んでくる表現にして量。白という色が、災害の色にしては綺麗過ぎるか。

粉塵ばかりを捉えるが、その奥にある巨大な残骸が、残念や嘘という。絶望感を増させるように見えてしまった。



「なっ」

「なんです!?あの馬鹿デカイ、代物!?」


無論、ライラにも見えてしまう。その巨大過ぎる代物、琥珀博士の"アンリマンユ"の残骸。否、その巨大故、あの"SDQ"の絶対量の全てにまだ呑まれておらず、巨大のまま。フォーワールドに墜落しようとするのであった。

その倒れてくるという一発のみで、フォーワールドの全てが壊れてしまう。誰も想像していない、物理的に踏み潰されて死ぬというEND。



「ふーーっ」



ライラの魔力。雲へと変わり、生み出すのは衝撃波という風か。しかし、風でどうするというか。アンリマンユを完全に破壊できるとは思えない。


人類 VS 災害


その序章は派手に始まっていく。



◇      ◇



シンシン………



「ここも追い込まれましたが」


一方で、この男はまだ生き延びていた。


「まだ無事な世界はどこにあるんでしょうか?難しいんですよねー、移動して速攻、巻き込まれるとか、対応できないんで。ご勘弁」



"SDQ"が降り注ぐ異世界ばかり、壊れた異世界ばかり。そんな中、かつての管理人から奪取した、異世界への移動を可能とする科学を駆使し、生き延びている藺兆紗。


「フォーワールドに逃げましょうか。嫌なんですけど」


最後の逃げる異世界として、フォーワールドを選んでいた。そこだけはクォルヴァという管理人がおり、様々な人類が集まっている、避難所というものであると藺兆紗は想像する。

彼にとっては、敵だらけの危険なところであるが。生きるために危険を冒すなど、生きている事らしいギャンブル。


「好きじゃないんですよね」


だからって選り好みできる立ち位置ではない。それに、あそこに行けば、また別の手段を発見できるかもしれない。

藺兆紗がフォーワールドに入り込むという危険な賭け。王震源やダーリヤなどの暴れぶりに、自分が人間を攫った事も含めて、第一級で警戒、攻撃される対象であるのだ。


常時での潜入であれば、間違いなく、藺兆紗の詰みは確定しているだろう。


偶然が助けるか。あるいは、別のなにかの仕業か。

集うのである。

災害と同じく、人間を持った勢力という人災という鬼畜までもが、フォーワールドに流れ込んでくる。


春藍達はこの2つを同時に相手どり、生き残れるだろうか?

いや、誰が生き残るだろうか?

であろう。



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