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RELIS  作者: 孤独
役割編
567/634

妥当


「未来が分かったもんじゃねぇし、でも。死ぬ必要ねぇし」



三矢にすれば観測者の一面。ある意味で、"時代の支配者"の協力者だろうか。


「生きるお前達が、過去、今、未来の。人々を思って戦う必要性はないだろ。その時が来るまでな、できてもねぇーし」


生きて欲しい人は戦力であること。

これが最低条件であり、そこから先のことは死んでいく奴等のあーだこーだも、意味がない。三矢はそーいう感じである。それでも良いとする。ただし



「とはいえ、絶対に向き合ってくれ。普通なら、生きていないお前達が生きているんだ。"時代の支配者"からすりゃ、たぶん、ビックリするし。新たな発見もある。そこに平和があるのか、ないのか。それとも一人ぼっちか」


期待感とは違う。未知故の、不安。対策のしようがない、期末テスト的な?


「僕がそれを決めて良いのかな?」

「良いだろう。代表って事に自信持ってくれよ、春藍慶介くん」



生きる奴等が決めれば良い。

三矢が人間っぽい一面とも言えるが、真っ二つにするようにクォルヴァは



「殺すのが得策だよ」

「おーい。俺の全否定かーい」

「とはいえ、殺せたらの話だけど。私をしても、次元が違う相手だ」



戦うように願う。そのための事をしてきた。

ただ


「とはいえ、倒した後の事やその場の状況が気にかかるのも納得する」

「クォルヴァさん。もし、"時代の支配者"が強大な力で、そして、強固な支配を持って世界を纏めていたら、どーですか?……悪人は良い気分がしませんけど」

「戦い辛いかな。世界が相手だ。もし、倒したらなんて事を考えて、また世界が壊れたら大変でこっちが罪になるかも」



あーだこーだを考えたふりした。


「でも、なんだろうな。私を持って言わせるほどだけど。殺すなり、倒すなりしてから、先を考えてくれ」

「憎悪で、倒せと?」

「あくまで悲願だよ。憎しみなんてものはないよ」


上手く言えんところであるが。クォルヴァではなく、あえて三矢が語り始めたのは、ちょっとした違いであろう。


「管理社会にしろ、人社会にしろ。過去も未来も、現在も引き摺ってやっていくわけだな。そりゃー、人として大切なもんが見えたり、知れたりするわけだ。だが、"時代の支配者"は間違いなく違うな。気の長い人だ」


世界が滅ぶこと。それについて、両方共に意見は同じところもある。

しかし、決定的に違うことを挙げれば。


「俺達はなんであれ生き残って、そこから始める。何人だろうと、辛いことも笑ったことも、泣いたことも、楽しかったことも。みーんな、味わって生きていく。そーいう社会にいるわけだ。生物はそーやって長い時代を過ごしたって、証明してるしな」


地続きである、人社会と管理社会。一方で、


「"時代の支配者"は、完全に0にする気だ。災害を持ってして人類全てを滅亡させ、再建するほどの異常者だ。それを知るのは俺達だけになり、あの人は何か気に食わなきゃ、そーやって0に世界や時代を終わらせる。この差は大きいんじゃねぇーか?」


どっちが正しいなんて、ありゃしないだろうけど。

三矢が内心抱いたことは春藍達も、分かったことであろう。


「……なるほど、確かに僕達がいなくなった後の世界ですか。歩んできた道の全てを切ること、人がこれからどう変わってしまうのか、はたまた違ってしまうのか。難しいところまで考えるなぁー」



あえて言うのなら、意味の。ある、なし。の二択。


「僕達が生き残ることに意味がある、としたら生き残り、場合によっては戦う必要性は十分にあるわけか。もし、僕達が倒せなかったら、全ての時代を支配されてしまうというのは人として怖いかな」


春藍はその整理を終えるも。難しい判断であるのは、変わりないと、表情から出ていた。そこにクォルヴァは悩みを打ち消そうとするかのように、


「力を本当につけられたら、勝ち目どころじゃない。春藍くん、君の力やその気持ち。大変だろうけど、そこには私達だけじゃなく。全てが詰まっている事を忘れないでくれ」

「……はい。難しいですけど、僕も。そーいう、みんながいなくなるのは違うって、思います。遅すぎる事かもしれませんけど、全力で伝えてみます!」


代表といえど、一個人でアレの意志を圧し折るのは無理だろう。

概念を曲げるなんざ。でも、圧し折ろうと行動するのは間違いではない。実験して、失敗が分かること。



「はいはーい。分かったわよ、あんた達の気持ち」

「ライラ」

「正直、あたしが思う以上に壮大な相手だからさ。春藍で聞く事にしたけど、……おかげであたしは準備万端になったわ。災害と相手じゃ。大分違うしね」


ライラも輪に入る形で話をする。"SDQ"をどうにかしたい一心だったけど、それはラスボスちゃんに任せることにして。無くなった世界から、その危険因子の排除。


「危険かどうかの判断はともかくとして、人類の歴史を勝手に消そうとするのはあるまじき行為。許せないって、気持ちは出てくる。夜弧の未来が変わっているっていうだけでも、ヤバイわけだしね」


やばい奴が、やばい性格をしている。

武力のなんだかんだよりも、それを扱う奴が問題。むしろ、そっちこそ。人という枠組みでは"強さ"よりも恐ろしく問われるところだろう。



「妥当なところ。あたしが、桂に代わって倒すのには十分過ぎる目的」


ライラの目的。その根源に桂を挙げた。


「倒した後はまた考えましょ。これって、桂みたいでしょ?」

「……まぁ、そうだね」

「ふん」



クォルヴァも三矢も、ライラの宣誓には嬉しくもあり。それを後押しはできないところである。


「ライラって、後先考えるの苦手?」

「そーいう意味じゃないの。あーだこーだ、考えられる相手じゃないから。こっちはあんまり思いやってあげないだけ。ちゃーんと、終わったら考えるわ。春藍と基本は同じ。でも、あんたみたいに悩まないでやるだけよ」




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