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RELIS  作者: 孤独
役割編
562/634

日常


"SDQ"の煙が濃く、量も膨れ上がる。

噴出孔の箇所もクォルヴァ達が知らない間に作られていく。



抑制するという対応がほぼなく、避難という形を余儀なくされている。人間は知恵と技術を駆使して、自らに対する有害を緩和させることができたが、それ以外にあるかは不明。

フォーワールドの外側はもう包まれたと同然であり、単純な量が凄まじく、打開など望めない。

それを知らない人間が多くいることが、わずかに平和ボケという言葉で表すが、まだ平和的な環境を作っているのだろう。

陽が昇れば、活動を始める人々だった。

壊れているみやこの復興、与えられた職務の全う。



「おはよー」

「今日も仕事だーー。復興だなぁ」

「何があるか、分からないが」

「仕事だけは山積みだ」



明日を知らないから、今日を頑張れる。

前向きに人は活動していく。



「むしろ、していなければ落ち着けないととれる」



ラフツーは、住民達の様子を見ながら思った事を述べた。

薄々感づいている者達だっていようが、声を荒げて叫んだところで変わらないことは分かっている。

でも、それでも。

まだ知らないふりをしながら、まったく気付いてなく。生きていく、住民達がいる。ヒュールと三矢が行なったやり方は正解だったろう。



社会に混乱は少なく。

ラフツーだって、それなりに眠れたし、食事もとれた。トイレだって使えた。


たったそれだけでも、幸せに思える。無数にある当たり前の事に感謝する……。


"SDQ"の出現箇所。それらによって、立ち入り禁止区域の設営。

住民を安全に避難させ、住む安心を守るためのマニュアル作り。ラフツーがこれから作りあげる事は人々の安全の、教科書。その指導者である。

住民達の一生懸命さを見れば、終わりが近い事を忘れさせ、諦めをなくしてくれる。それが嬉しいというか、生きる希望というか。



「ちょっと、やる気になるか」



明日、急に死ぬとしたら。

せめてその時は足とか腕、やりたい事をやれる時に死にたいものだ。



「待たせたな」

「いえ、私達も来たばかりです」



広東達と合流し、住民達の指示の原本を作成。

最近多発する起こる地震の対処、謎の病原菌への対処。生活リズムの制定。避難時の誘導。食料の確保と配給の設定。

地区を狭めて、人々が固まって生活するように、住居の整理に入る。


食料や資源などの管理も、山佐と共にチェックする。

作り出せるものもあれば、もう手に入らない資源だってある。無駄遣いは本当にマズイことである。


金銭の価値についても、また見直されるべきところであった。ICカードによって、住民一人一人に金銭や情報のプログラムをされているが、人間の喪失や金という存在に今の人類が価値を見出せていない。交換の対象には最適とは良い難いもの。

ヒュールは考えた末、金銭という価値を人の根底から考えなおし。

1人1人の器量を、価値として計り、己を高める事を価値とした。

労働の種類、質、時間。それらによって価値という意味を生み出す社会改革を踏み出す。


「給与と変わらないですね」


褒美。報酬。

それを金銭というのを介さず、すぐに与えることができる制度。交換条件といった形で、人々は職で食を手にし、安全なども買い込める。

食事付き、寝泊り場所を確保した労働基準。子供を安全に預けられる設備など。

娯楽部分が大きく減ったものの、生活を支えるためのサポートを充実させて、社会を回す。混乱は少なくないが、今生きている人達が感謝しながら、こんな状況でも楽しく生きている社会にしていく。




「今日は童話でも読もうね」

「はーーい」



こんな状況下で、子供という小さい力であっても、見過ごさない。

無邪気な表情のまま。その癒される顔のまま、本を読み。絵を書き。ボールを蹴って遊び。歌を歌う。時には、大人達が仕事をする風景を見て、学び、手伝いもする。

陽が落ちるまで、親が戻ってくるまで、退屈というものも知りながら、楽しく。生活の中で成長してくれたことだろう。

子供を預かる仕事につく大人達も、子供の無邪気な姿に不安を忘れられて、安らぎを得ていた。




ゴゴゴゴゴゴゴゴ




「!………」

「また地震か」



もう慣れた。飽きた。はいはい、知ってます。

その程度にいくほどの地震を感じ。不安は増さない。


「……でも、私達は生きていくよ」


謡歌は陽の沈みを眺めながら、自分達の生を語りかけた。

人生、楽しいもので。

こんな状況だって、今日も明日も分からないから、ちょっとは楽しく生きてなきゃ、生きちゃいない。



「謡歌ー。見つけたー!」

「水羽ちゃん、起きたんだ」


仕事を終え、家に戻ろうとする謡歌の前に飛んできて現れたのは、まだ勇浪によって目を抉られて修復中の水羽であった。医療用の眼帯をつけている。


「ロイさんから聞いたけど。まだ眼が治ってないのに、警護って大丈夫?」

「うん。大丈夫!体は目以外は万全だから、バシーッと敵なんか倒せるよ」


水羽は類い稀な戦力であるが故に、後の事を話されている。

それは謡歌に話すものではないと、クギを刺されていても、


「あはは、……。なんだけれど、謡歌に、話したいことがあるんだ」

「うん」


水羽は不安だったから話がしたかった。




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