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RELIS  作者: 孤独
”和の国”吉原編
54/634

戦いを知らずに休暇をしている連中



桂がパイスーと戦っていた時間はおよそ3分。パイスーとゼオンハート達の戦いは19:32に凝縮されていた。"□■□■□"、ルービックニュートンはたった3分程度の出来事で世界の役目を失い、滅びようとしていた。



「暴れすぎだ、貴様等。我の実験室は戦場ではない」



ポセイドンは自分の世界から、"□■□■□"、ルービックニュートンが滅んでいく姿をじーぃと見ていた。ここの世界に住民や管理人がいないのは実験のためだ。主にこのような異世界はポセイドンの管理化であった。主に重力に関する実験場だった。

赤ワインをグラスに注ぎ、"□■□■□"、ルービックニュートンが崩れていく様子を濁らせたいように、自分の目の近くにワイングラスを置いて映像を見ていた。赤く染まったルービックニュートンの光景に変わった。



「こうして我々や人の手で滅ぶ世界があれば、どうしようもなく滅ぶ事もある世界もある」



ワインを一気に飲みほして、グラスを映像にぶつけて消したポセイドン。



「"RELIS"を患う者達の集まり、"黒リリスの一団"か。余計なものを残していき、我を封じる手を打ちよって。結果招いたのが、我々"管理人"の危機ではないか」



ポセイドンはその後、ソファで眠ったそうだ。

被害報告。

管理人ナンバー010.英廉君、死亡

管理人ナンバー012.ゼオンハート、死亡

管理人ナンバー013.大宇治、死亡

管理人ナンバー014.キサエル・ロンティス、死亡

管理人ナンバー018.D_メッシ、死亡

管理人ナンバー019.陶、死亡

管理人ナンバー020.ノッポ狸、死亡

"□■□■□"、ルービックニュートンが崩壊。


さらにパイスーが生存。

これは完全に"黒リリスの一団"の勝ち逃げであった。

多くの戦力を削がれたというより、逸材を失った事が"管理人"達にとっては手痛い。この大きな敗戦は瞬く間に管理人達に通達される。

"黒リリスの一団"の狙いが"管理人"の殺害にあること、どんな奴であれ、管理人ナンバーが500以下の者は戦う事を禁じられる。早々の降伏であった。

無駄に奴等と戦う事はその世界の人間が死ぬ可能性もある。"黒リリスの一団"のほとんどは"管理人"以外には興味を示さない。だからといって、邪魔や目障りなどを感じたら襲う。



後日。

今度は管理人ナンバー001~003の者が話し合うことも案に出され、管理人のトップ3による会談(仲直り)であるが、ポセイドンと桂がこれを拒否。

管理人ナンバー009~004の6名が対策を講じるべきだと案も出たが、管理人ナンバー012、ゼオンハートの戦闘力は6名と引けをとらなかった。さらには担当している異世界がそれほどに重要な異世界であるために、失ってはいけない6名でもあるのだ。簡単には討伐に参加できない、一人どころか半数以上を失う可能性があった。

最終的に行き着いた結論は。


本来、呼び出しに応じるべきはずだったのに、無視をした管理人達3名、(管理人ナンバー017、ユミサは死亡)


管理人ナンバー011、管理人ナンバー015、管理人ナンバー016。



管理人の"用心棒"である桂、管理人を纏める存在であるポセイドン。

この5名の管理人が、力を合わせる気などまるでないが、それぞれで"黒リリスの一団"を討つという仕事を課せられた。戦力ではまだ管理人側に分があるが、組織という面では"黒リリスの一団"に一歩遅れた状況であった。






そんな管理人達の状況がおよそ4日続いていて。"和の国"吉原では春藍達がのどかに過ごしていた。



パシャアァッ



「わぁ!見てください、アレクさん!僕がお魚を釣り上げましたよ!」

「おお。やるじゃないか、今晩のおかずにも並ぶわけだからどんどん釣ろうか!」

「はい!あと二匹!ライラとネセリアの分まで」

「なら、もっと大きなのを狙うんだな」



山の清流に案内してもらい、そこで親子のように釣りを楽しんでいる春藍とアレク。

最初は魚を大量に捕獲できる網型の"科学"を作ろうと思っていたが、あまりに採れ過ぎると生態系がおかしくなるとライラに言われたため、仕方なく原始的な釣りを楽しむ二人……のはずが、アレクには釣りがとても馴染み、春藍はそこまで得意ではないが、必死に頑張って釣り上げる事を大いに楽しんでいた。



「うむ、鮭が釣れた」

「アレクさん!これで10匹目ですよ!後ろのお魚ケースが満杯です!」

「2,3匹。焼き魚にしてここで食うか?俺のライターでやってやるぞ」



春藍とアレクが外で楽しんでいた頃、ライラとネセリアは着付け屋さんに行っていた。



「ネセリアって服に興味あるでしょ?春藍もそうだけどさ」

「はい。ファッションには少し興味がありました!吉原でのお洋服を体験できるんですよね!?」

「あたしはこーゆうのは動き難いから嫌いなんだけどね」



チヨダでこんな和装があったが、それは標準レベルでしかない。吉原は着物に関していえば専門的な世界だ。着付けは無料で教わる事ができ、基本的には常識として誰でも知っているような物だった。

大きな和服店にズラーリと並ぶ、色や柄、生地、形。どれも違うが上質な仕上がりの服。ネセリアは目を耀かせ、手にとっていた。


「こ、こ、こーゆうのを自由に借りていいんですか!!?ライラ!!」

「一日限りよ。お金はあたしが払うから全然好きなのを選んでいいわ」

「やったー、嬉しいなぁ!」


ネセリアは喜々としてあまり馴染みのなかった和装に触れていた。

生地や素材、着付けの仕方をライラやこのお店の店員に教わりながら着替えていた。色々な簪をつけてもらったり、髪を少し綺麗にしてくれたりで。色々な自分を鏡に映して楽しんでいた。

ネセリアの嬉しそうな様子にお店の店員さんはライラに小さな声で訊いてみた。


「ライラちゃん。この子、どこで見つけてきたの?」

「異世界で会って連れて来ちゃったのよ。でも、楽しんでいて何よりよ」

「ライラちゃんじゃ何一つ勝てないほどの女性を拾うなんてね。好敵手じゃなくて強敵よ。綺麗さに磨きをかけたら、あなたのお色気が知れるものよ」

「あ、あたしが負けてるのは胸だけよ!!その、腰付きとかネセリアに褒められたし」

「微妙」

「び、微妙言うな!い、一部の、どっかしらの、その、カッコイイ男だってそーゆうとこ、興味を持ってたりするわよ!」

「男が女を見るのは、顔、胸、体型、性格、家事が出来栄え、そしてお金ってものよ。腰を正確に目をやる御仁なんてどこにいるのやら。美しい女性を探す方が難しいかと」

「う、うっさい!!からかうな!!」


ライラも楽しんでいたが。それはネセリアがとても喜んでいて、それを分けてもらえるようだったからだ。せっかく綺麗にするべきところにいるのに眺めて、お金を出すだけなんてもったいないじゃんと、店員はさらに言った。



「ライラも一緒に借りようよ。2着借りると少し安くなるみたいだよー」

「べ、別に一着でもいいのよ。あたしのは家にあるし」

「あんな貧乏臭くて、仕来りみたいな短い時間しか着ない奴はもう辞めたら?ライラ」

「っ…………貧乏じゃないし。あたしにはこーゆうのが似合わないだけよ」

「じゃあ、似合う服を私が探すよ。絶対に合いそうなのが何着かあったから」

「ぇ?ちょっと、ネセリア!」


ネセリアに手を引っ張られて、一緒に服の選び。今夜は桂が帰ってくる事とライラが無事に帰還した事、春藍達の歓迎のために少し大きな飲み会を開くつもりだったのだ。

その席でいつも冒険で使うような恰好ではあまりにも祝いの感じがしない。

せめて、この世界らしく。良い恰好をするべきだと勧められたが、ライラにはこんな服は重くて動きにくくて暑いのは嫌い。ここでの休日では間違いなく白い清潔なTシャツで終わる。



「ライラによく合う服はーー、こーゆう柄がいいんじゃないかな?」

「こ、これ?あたしはこーゆうのは」

「和装が似合わないと思うのはライラだけだよ!!そもそもライラは一つの服に固執しちゃって、もったいないよ!」

「うーん、でも」

「服にはそれぞれの用途があるんだよ!だらけたい時のための服、作業をするための服、運動をするための服。今、ライラが求めている服はちゃんとした行事に参加するための服なんだよ!少しは色っぽく見せなきゃ!」

「わ、わ、わ、悪かったわね。あなたより小さい胸で」

「そーゆう意味じゃなくて!出来事にはちゃんとした服装で迎えようって事だよ!!」



ネセリアが選んだ和服をライラは手にとって、似合わないって顔を見せながらも慣れた手付きで着てみても。


「装飾は私がするよ」

「あ、ありがと。っていうか、ネセリア上手ね」


全身鏡を見ながら座っているライラ。最初は似合わないと、呆れた顔になっていたが。装飾やら選ばれた服を眺めて。少し恥ずかしいけれど、似合わなくはないと…………。って何を思っていると自分の心でノリツッコミが炸裂する。


「よーし!完了だよ!これでとても綺麗になったよ!」

「ほ、本当?」

「ライラってそーゆうところが鈍いよね」

「に、鈍い……?」

「少しは自分の体のことを考えてみてもいいんじゃないかなーって」

「……分かったわよ。これからは少し可愛いのを選んでみるわ」




服屋で服をレンタルするだけじゃなく、このまま綺麗になろうとする2人。髪が伸びていたライラは少しだけ切ってもらい髪型を整えた。

ネセリアは香水販売所や爪紅マニキュア、口紅などを見て素敵な物を2つ、3つ選んで纏め買いをしてしまった。あとでライラに余計な出費と少し怒られたが、一緒に使うという約束で少し許してもらった。

少し日が暮れていて、もうすぐ歓迎会が始まる。2人は綺麗な恰好のまま2人はそこへ向かう。少しライラが遅れて、ネセリアが前の方を歩いていた。


「あ、歩き難いわ」

「ライラっていつも冒険をするみたいな恰好だったの?」

「桂によく修行をさせられたから。あそこにある山とか走って登って来いとか、……精神力だけじゃなく、体力もつけるように登山とか泳ぎ、走らされる日々が続いてさ。動きやすい恰好が良いって思えるのよねー」

「な、なんか。とても女の子らしくない生活だったんだね。私も言えないけど」

「ま、まぁ。それはちょっと残念だった事だけど。共有できる友達と出会えるなら生活はどーでも良かったって思う」



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