表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
別々編
537/634

JWELUNEE GEENI⑨


世界の時間はゆっくりと進み、崩壊へと向かう。



ゴゴゴゴゴゴゴゴ



人類なんてちっぽけに思える。しかし、その全てが。

この世界中全てが、人類が歩み、生み出してきたもの。現在までにやってきた全てに人がいた証。崩壊も、人が最後に味わう結末でも、悪くないかもしれない。死の先を考えても分からない事だから。


春藍達がフォーワールドに帰還したと同じタイミングで、一部の人間が9割の崩壊を確認。核心した。




ゴゴゴゴゴゴゴゴ




「地震?」

「最近、揺れが起きてますよね」



多くの人達にはそーいう感覚で、そーいう答えをする。しかし、事実を知る者達には地震なんて生ぬるいものではないと。


「"SDQ"で近くの異世界が崩れた衝撃が、この異世界まで伝わってくる」

「なんとかならないのか?管理人」


アレクとクォルヴァ。


「無理だろ。あれは俺達の代から残る災害だ。どこぞの魔王を倒す、ぽっとで勇者様でもできねぇーよ」


三矢正明。


「そ、そんなことを言わないでほしいのである。住民達が気付き、不安を抱くのは遠くないのである!」


ヒュール・バルト。

彼等のいる場所は、一部の人間しか許可されない研究施設。

その外では


「ったく……。人を牢獄なり、研究所なりの護衛に回しやがって。水羽ちゃんもやってられんねぇーだろ」

「…………そーいうわけないです」

「……朱里咲の事はしゃーねぇよ。あいつは戦いてぇ、貪欲な戦闘狂だよ。いずれ、俺かアレクであーなったさ。大事なもん色々無くしちまったって、落ち込んでいたらまた何かを失うぜ?」

「ロイさん。僕を監視しているんじゃないんですか?」

「そんなわけあるか。アレクには言われたが、あいつが神経質なだけで俺にそれはねぇ。あいつも用心程度のはずだぜ」



施設に入るためには電子ロックの解除と、さらにロイと水羽の認証がなければ入れない。

アレクが来るべきの時のため、自分で用意していた研究所の中の研究所。

夜弧が終わった未来から届けに来た科学、"REROAD"がアレク達に整備されている。これが全ての人類の希望であり、現在のいる人類にとっては、希望すらない無価値な物。


当たり前であるが、存在すら住民達には公表されていない。


動揺しているのは、現実の事実だけでなく、彼等の行動も含まれていた。ヒュールがアレク達に説明の協力を願っているのも、仕方ないこと。


「20万人以上の人間が突如消え、これまで作ってあげた社会の構築計画がほぼ頓挫である!!また一からのスタートになったのであるぞ!」


未来を観ている彼等に対して、現実を見なければいけないのが、人間達みんなのリーダー。今ともっとも向き合っている人間。


「ヒュール。お前に任せる」

「アレク!!」

「悪い。お前しかいない。今はホントにお前しかいねぇ」

「……ごめんね。ヒュール。私も、管理人としての立場があっても、こちらの方が優先事項。管理人全ての願いだから」


アレクとクォルヴァが外れ、信頼というものが壊れそうであった。

そして、もっともこの中でそれを言っていわけがない人物が、


「遅かれ早かれ、人間共は死ぬぜ。俺は何千とモニター越しで見て来た」

「!!」

「人間同士で殺し合うか、災害で死ぬか。ここはどっちが早ぇかな?」


怒りが、全てに、こいつが悪いって、社会的な怒りを向けさせる。アレクとクォルヴァを護っていた事は、ヒュールには分からないこと。お互いに戦闘力が皆無であり、傍に止められるだけのものがいる事。


「あなたのせいである!!」

「そうだな」

「死ね!!」

「悪いが、そいつはできねぇな。けどよ」


笑える余裕。そして、誰であっても堪える感情を吐き出され、流すこと。

できねぇことを向けられても、三矢は


「落ち着いたか?」

「!……」

「盛大に怒った後は、冷静になれるもんだぜ。現実は変わりはしねぇって、受け入れも始まる」

「何を冷静に私共の怒りを受けるのであるか!?」

「俺とお前も、そーならなきゃいけねぇ。ど偉い立場だ」


ヒュールの頭をぽんぽんと叩く。それは失礼であるが、慰めとしてする。三矢なりの行動。


気持ちを分かっているなんて事。知りたくもない事だ。

今と……未来。夢。希望。ゴチャゴチャとした人類共にあるもの。


「一から?アレクとクォルヴァが協力できない?しょーがねぇだろ。地道に行こうぜ。俺は何度でも、あの人でも、そーやって進んできた。辛いのを共有するしかねぇ時だ」

「力になれるのであるか?」

「俺が連れて来られたのはそのためだ。実のところ、俺の仕事は時間稼ぎだけだ。整備についても、戦略についても、力になれねぇ」


信憑性をもっとも気にしていた、ヒュール。

その姿がラッシに似ているところもあったんだろう。しかし、こーやって会話すればまったく違う人物。しょうがないとか、俺だって嫌だって言いたいながら、そうでもない自信が感じる。不思議であるが、腹立たしいものだ。

それと


「これが俺の役目だ。まったく、お前等も覚悟決めてやれよ」

「偉そうだな」

「相変わらずですね、三矢さん」


その不満。不快感。気にしたのはヒュールだけでなく、アレク達も同じだろう。


「………私の方も覚悟が必要ですね。本当の覚悟を……」


特にクォルヴァは何かを思っていた。

桂、ポセイドン。自分すらも繋ぎの一つ。"人類存亡の切り札"と、異名をとるのはその実力だけでなく、役割も課されているという点もあるだろう。



ガーーーーーッ



「戻りましたー」

「随分と厳重にされているのね」


そして、ダーリヤ達との死闘を経て、"深海泥"を回収し、帰還を果たした春藍達がここにやってきた。


「戻ってきたか。つーか、ロイと水羽も来るのか」

「良いだろうが。言っておくが、ライラの提案だぞ?」

「僕達にも分かっている事があるよ」

「あんたもそーでしょ?アレク」


そう遠くはないもんがある。

これがおそらく、最後かもしれないと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ