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RELIS  作者: 孤独
別々編
535/634

JWELUNEE GEENI⑦


技術は発展していく。しかし、それが世に広まったのかどうか。

廃れて消し去られているか。

1人の人間ならば良かったが、全ての人間が扱うには途方もない技術もある。



「俺はかつての人間の力を埋め込まれた。ただの人間だ」



ダーリヤは春藍に語る。

記憶の接合に四苦八苦しながら、


「大昔に同じ人間を生み出す技術が存在したらしい。それは、管理人を製造した技術にも関わっているとかな」

「……やっぱり、そんな感じがした」


圧倒的な力に反して、少ない経験とバックボーンの脆さ。今こうして、ダーリヤが春藍に屈して言葉を使うのは、当人であったらありえない事だろう。



「目覚めたというより、目覚めさせられた感じだったな。あまりに強く、俺がホントに誰なのかを思い出せん。まぁ、それはどうでもいいか」

「恐ろしいのは、君がまだまだ沢山いるということかな?」

「俺以外にもいるさ。人間ならなんでもできるのかもしれない。夢のようかもしれんがな、あってはならないことだろ。報われないな」



ダーリヤという男の力を得て、この無念さを体感している。

この人物の力はこんなものではないし、鍛え抜かれた肉体をこんなに脆い精神が持ってはいけない。

それよりも過去の人間が何万人となって、現在を変えようとするのはあるまじき事だろう。



「あれは薄気味悪いオーラだった。何も見えなかったが、いたのは確かだ。神様の真似事のように、力を与えた。そして、使命を与えやがった」

「……………」

「俺がダーリヤを名乗ったのはそれからだった。琥珀博士も同じだ。気をつけろなんて言葉だけじゃ足らないが。そいつを止めない限り、殺さない限り、消さない限り。人類はそいつのものだ。管理人がいない今の時代だからこそ、大きく動いているんだろう」


ダーリヤが言っていることは、春藍にはよく伝わっていた。そいつがおそらく、三矢の言っていた存在であること。

そして、突如として、人間達に訪れた変化の正体とも言える。

出会ってきた人々の中で該当する人材はいくつもあった。でも、


「仮に僕もそれだとしたら、僕は僕で開き直るよ。ライラ達もだけど」

「ふふふ、そうだろうな。似てるようで、お前達は俺達と違うって分かった。大丈夫だ。だから、お前達が未来を作れ。こんなことで世界を壊し、作り変えるのは人間の進歩じゃない。これは俺からも、このダーリヤからも言える」



ダーリヤは笑っていた。

まだ分からなかった事であるが、



「人類は!!」



それぞれであっても、確実に人は



「進歩を止めない!!」



大きな障害、災害に見舞われようとも、最後の最後が終わるまで。諦めなければ、立ち上がる。



「お前に人を縛ることはできやしない!!」



響く叫びに大地は揺れた。



「ここにお前を倒す人間達がいるからだ!!」



ダーリヤは精一杯、天が揺れるほどに叫び、その後。ぺたりと尻を大地につけた。


「頼んだぞ。春藍」


もう戦うことの一切をしない。そう決めた。それがダーリヤに対してのけじめ。

春藍は先ほど、言い忘れたというか。伝えられなかった事をダメ元で確認した。


「ダーリヤ。君の力を貸して欲しい。君の強さは必要だよ」


傷の全てを癒せる。助けたいという反面


「馬鹿を言え。俺とお前は組めない。対立していた仲のはずだ。その意志だけは通させてくれ。こんな無念な俺にできる事がそれだけだ」

「……それもそうかな。僕もそれが終わった後で、また君と戦う事になったら嫌だな」


ここで彼と完全に別れた方がスッキリする。仮に彼のコピーがまた現れても、今度は何も思わずに残酷にやれる気がした。


「それとお前。俺より強い奴を何人も知っているな。ならば、力にもなれない」

「知っていても、いない人が多いよ。だから」

「くどい……もう、いい」



先へ行け。ラブ・スプリング。

認めないが、お前はもう人間になったんだろ?




◇        ◇




春藍達はこの異世界から去った。

当初の目的を果たし、フォーワールドに帰還した。

一方でダーリヤは重傷となりながらも、ある者が来るまでその場で待ち続けた。



人類について思う。


どんな形の生き方があったとしても、誰かに道を造られるのではなく。自分で道を作っていくものであると。

手にしていくものは誰かから全て授かるのではなく、自らも学ぶこと。自ら選択すること。

自らを研ぎ澄ますものこそ、人と思う。



「ふっ」



残忍な男だ。

人類全てを進歩に強制させ、そうでない者やそうならない者は排除する。人類とは選ばれた種という思想を持ち、人を外れたラブ・スプリングを嫌悪した。

人間という生物の改革まで考え、実行しようとする。

負ければ悪人、勝てば聖人。

そーいう意味では、平和や戦争の善悪を感じていない。これが恐ろしいところだ。それがこの肉体を生んだのかもしれない。



「さて、お前はどんな人類を思っていた?」

「やれやれ、任務失敗ですか?いやぁ、違いますね。その表情は成功したような満足感ですね」

「ふっ…………」


待っていた奴と、現れた奴は同じであった。


「あなたの表情は、どーでもいいです。しかし、私のやるべき事の成否はここで決まるので。お付き合いください。ダーリヤさん」

「藺兆紗。来ると思っていたぞ」



死を傍におけない。

あまりの強さ故に、ダーリヤは……



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