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RELIS  作者: 孤独
別々編
531/634

JWELUNEE GEENI③


何をするにも、力が、強さが、必要であった。

その場にあった事がなく、気付かされて身につけようとする。そっか。

そーいう必要や願望、……ううん、行動も含めて、必要なんだな。




バヂイイィッ



人間が造り出す兵器を持ってして戦う春藍。

それでもダーリヤの耐久力の前では、かすんでしまうものであったが。ついにその限界は来ていた。

肉体の痺れ、亀裂、流血。



「ぐぅっ」



ダーリヤは堪え、なおも己の肉体を動かし、春藍を殴り飛ばした。

そして、硬い身体を殴っての反動も感じた。


「"無限世界"」


距離をとった事で春藍は、ダーリヤを空間に隔絶する。ダーリヤの強さは能力を知っていたとしても、対処が非常に困難な脅威の身体能力にある。一方で、春藍の能力は多種多様であるが、知っていれば対処が打てる。


「!」


なにか来る。


今までの兵器攻撃でも、震動による攻撃でもない。ダーリヤが直感して抱いたことは、読めない事であった。アレクやライラ、そこに春藍もいるが。読みきれる攻撃はあった。

一度見れば分かるもの。対応すること。

それができない。



ガシイィッ



「!!」


一瞬で背後をとられるだけでなく、下から掴まれる。精神的に追い込ませるには十分な攻撃プラン。


「俺の影……?」


春藍という敵を見ながら、突如現れたもう一体に気を向ける。

ダーリヤの影は、ダーリヤ本体を殴りつけた。


「っ!」


自分の影に殴られるという初めての経験。それでも、ダーリヤは春藍への意識を切らなかった。混乱し、嵌められたらおしまいだ。

下を見て、自分の影が無くなっている事に少し驚く。だが、もっと驚くべきは



「"光影色人"」



グニョ~~~ン



春藍の創造力の高さ。及び、想像力の高さ。影という黒い形であるが、それぞれ細かい造形人形がダーリヤ達の周囲に造られていく。

ライラ、夜弧、アレク、ロイ、リア、水羽、朱里咲などの人間だけでなく。桂、ポセイドン、クォルヴァなどの管理人までも創造し、ダーリヤに攻撃させる。単純な人間としての攻撃ではなく、一人一人が持っている能力を駆使してだ。



ドガアアアァァァッ



ダーリヤへの一斉攻撃によって、強烈な光が発生。

影を媒体としている彼等は、その光で消し飛んでしまう。しかし、影ができる環境と標的がまだ生きていれば、生み出されていく。



「ぐふうぅっ」



一度に様々な攻撃を喰らった。が、一人一人の質は軽い。俺に多人数での戦闘手段が乏しいと見ての攻撃か。やってくれる。


単純な強さだけでは超えられないもので、春藍はダーリヤを削る狙い。

影がまた人の形になろうとする。ダーリヤは瞬間、空気を掴んだ。



キュウゥゥッ



「はあぁぁっ!!」


空気を擦る拳。風よりも、熱を周囲に生んで発光させる。"魔天"の肉体を持ってして、作り上げた火球は周囲に閃光と熱気を与えた。

生まれてこようとする影も、一瞬で焼き消される。攻撃はないという確信を得た瞬間、ダーリヤは春藍との距離を縮めず。むしろ、離れた。



「!」


火球を生んだ技を続けて放ち、春藍に仕掛ける目暗まし。距離をとれば、優位と思っていた自信を逆手にとり、姿と気配を消す。



バギイイィィッ



地面をぶん殴り、粉塵の巻上げも含めて、大規模な目暗まし。



「…………」


春藍との接近だけでなく、奇襲を狙ってのこと。ダーリヤの行動は悪くない。だが、その上を行く。巻き上げられた粉塵の中。春藍の目の前に現れるダーリヤはすでに、蹴りを放っていた。

完璧なタイミング。


バギイイィッ


「!!」


蹴った感触は確かに鋼鉄であったが、体に穴が空いても血も肉も出ない。贋作。

目暗ましで嵌めたかに見えたが、対応する術を瞬時に実行する春藍。読み合いとなると、差が如実に出てくる。

どこからくるか。姿を探してしまう一瞬、春藍を探してしまう。煙の中から鋼鉄の巨大ハンマーが現れてきたのに、数コンマ遅れる。



ベギイィィッ



「くっ!」


やってきた攻撃の後、短い間隔で次の攻撃が来れば、固まって動けなくなる。

肉体的な接触を避け、ダーリヤのカウンターを封じる。四方八方から今度は銃撃。多彩な攻撃を用いるが、距離をとりつつ、見えないところから攻撃する。このパターンが軸。

真っ当に戦ってない。

苛立ちもあるが、戦いの変化、仕方だ。

男の戦いじゃあない。だが、強さの上限に向かえば向かうほど。自分も距離を選ばずに戦える術を持つわけで、ダーリヤは一つずつ強くなっていった。



バギイイィィッ



やられるだけ、やられている。

俺の強さはここまでか?俺のような人間ではダメか?人は、あのようなものになるのか?



精神がくたばる寸前。そのダメ押しがまだ足りない。



生きている限り、戦え。

まだ俺はやれるだろ?堪えていっ



ガクゥッ



膝が折れるか。足を狙われていたんだな。動きを封じられれば勝ち目が薄い。あまりの強さに忘れていたな。一つ一つ細かい差で勝利を手繰り寄せるか。戦略という面で数段劣れば、こうなってしまうのか。

強さだけに囚われ過ぎていた。


俺は……



ここで終わりか……。



戦えないなら、人として……。


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