表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
別々編
529/634

JWELUNEE GEENI①


凄まじい攻撃を浴びた。生きた者がどこにいるのか。

いや、むしろ。



ガラァァッ



「……はぁっ……はぁっ……」



なぜ、生きた?

俺はどうして生きられた?



満身創痍となりながらも、起き上がってくること。それが果たして生きている、という行為なのだろうか?星が生まれるほどのパワーの直撃。ライラの一撃を避けたならともかく、直撃しての生存は本人自身も驚きを隠せないことだろう。



「冗談でしょ。まったく」



すぐさまという程ではなかった。しかし、ライラにも気付く事があった。春藍とほぼ同じ事。



「あんたねぇ。立ってくるのは良いわ」

「ふぅ……ふぅ……」

「でも、あたし以上に驚いた顔してどーするのよ?」


合わない強さ。

理解の届かない強さがあれど、納得のいかない強さもある。


「あんた。もしかして、自分がどーして強いのかを分かっていない?」


なるほど。アレクがこいつに勝てた理由が分かった。

ライラが現状、魔力がほぼ尽きた状態で、満身創痍とはいえダーリヤから戦える状態はほぼない。だが、生きる程度の余力は残している。戦い以外ならやりようがある。


「ダーリヤは……強い……」

「?……は?」

「強さ、数、勝利……貴様等に、……それらがあろうと……この俺を、超えることはできん」


傷やダメージの影響にしては、魅入られているような俯きな表情。

信念にしてはあまりに黒く。夢や執念にしては雑過ぎる理由。

にも関わらず、立ち上がる。



「戦うのだ。勝つのだ」


往生際の悪さか。一対一で見れば、ライラの全攻撃を耐え切ったダーリヤの勝利とも言える。


「たっは~……」


ライラの溜め息が、ダーリヤの目に入った。諦めという感情ではなかった。


「あたしがムカつくような戦い方して。そこはねぇ、油断でもさせなさいよ!立てる余力があるなら、死んだふりぐらいできるでしょ!?ボロボロになって頭がイカれるなんて、あんたの強さにも矜持にも、合わないと思うわ!」


指摘。

予想外の攻撃。ダーリヤはそれでも立った。立ち尽くし、拳闘の構えをとる。戦い続けるのも生きる手段の一つであるが、大きな間違いがすぐに来た。


「あとは僕がやる。今度は負けない」

「!!」

「春藍、夜弧」

「ライラ、私の魔力を渡します。春藍様、どうか気をつけて」



意外にも。ライラもダーリヤとの戦いが熱すぎて、春藍と夜弧が近くにきていた事に気付けなかった。


「無事だったのね」

「ライラがタイミングよく、ダーリヤに魔力を集中させていたから」

「それまで、巻き込まれてたんですけどね」


偶然。しかし、お互いが把握していたからこそ成せたこの加勢。理解できる強さというのも、彼等にはあって。


「ふぅー……」


ダーリヤには分からなかった。自ら、立っていた事も含め。

ただ一つ言うのなら、


「貴様等は強いのだな」


その一言でしか表せなかった。それが悔しかった。自らの強さとは違う何かを知りえた。


「まぁ、良い。構わない。俺は……」

「死ぬまで戦う」

「いや、……そうだな。俺は」


春藍の問いかけは少しだけ、ほんの少しだけ


「強くなっていくのさ」

「それはいい事だね」


ダーリヤは微笑んで、地を蹴って春藍へと向かった。同じく春藍もダーリヤに向かっていく。

蹴りと蹴りが交錯した。

ライラは溜め息をまたつき、夜弧に肩を持たれながら。2人の戦いから離れていった。


「今の春藍の顔、見た?」

「はい」

「やけに嬉しそう。男の子だねーって、顔」

「ライラは嫌でしたか?」

「可愛くないってだけよ」

「それは同意ですね」



勝敗はほぼ見えている。だが、わずかながらダーリヤにも勝算がある

暗い藍色の空を見上げれば、この世界の不気味さを感じられずにはいられない。自身が相当暴れただけに、世界が終わる速度も早まっていくのを予感する。


「あ、目的の方は?」

「無事に回収しましたよ。"深海泥"は。あとは春藍様がダーリヤを倒すだけです」

「そうなるね。あいつ等がどーやって来たか、気になるところだし。今を逃したら、マジでチャンスがないわよ」


自らの魔力を"トレパネーション"で与えながら、夜弧は少し失礼でありながら、ライラの気持ちを汲み取った。少し気になった事で、春藍とライラが彼に対して、奇妙な態度をとっているからだ。おそらく、アレクもロイも気付いたであろう。クォルヴァや水羽などでは分からないこと。それほど小さい違和感。


「ライラ。あなたとあいつ。どこか似てますか?」

「"魔術"と"超人"の違い程度でしょ。似てるとこ」

「そーいうところもありますが」



記憶では探れませんね。


「なんかコソコソしてない?ハッキリ言うけど、あいつの事はよく知らないわよ」

「……あー。そーいうことですね」

「なによ?」

「いえ、"トレパネーション"でも分からなかったのでつい。でも、分かりました」



先ほどのことも含めて、ですが



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ