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RELIS  作者: 孤独
進歩編
527/634

DA-RIYA⑧


プチッ   プチッ



"アブソピサロ"の圧倒的な自然の力を扱い、ダーリヤを攻撃しているライラ。津波に海中への引き摺り、突風、雷撃、爆破。本人にもその余波がやってくると思われるが、



「まだ生きているか」


ライラを中心とした、半径3,4mほどの範囲では。圧倒的な自然現象はライラの魔力に還元されるものとなっている。よって、この範囲だけはライラの攻撃はライラも相手も攻撃を喰らわない。

身を守るためでもあるが、現状の弱点とも言えるところはそこだろうか。

もっとも、一度ギアを上げたライラに対しては、近づくことが難しい。おまけに全ての攻撃で索敵も可能としているのだから、複数相手だろうと自然に呑まれてくたばる。



ある程度、予想していたけれど。

こいつの"超人"としての能力。あたしと似てるし、あたし以上に発展途上なところもある。




「……ふんっ。緩急をつけての事か?それでは温いもんだ」



俺とお前の戦いは、酷く単純な事だろう。

よーするに生物の抗い。自然という猛威。



パキパキィィッ



ダーリヤの周囲を覆っているライラの魔力が冷たく、そして固まっていく。氷河期にタイムスリップしたような、凍てつく空気にダーリヤの体も固まる。生物を拒絶する寒さの中でも、ダーリヤは平静で。肉体のみで



バギイィィッ



凍った周辺を割って、這い出てくる。

適応能力と元々のずば抜けた強さで、自然から生き残る。


ライラもダーリヤも、お互いの土俵で戦う姿勢であった。

圧倒的な魔力とその広範囲で強力な魔術を用い、自分の距離で戦うライラ。一方で、自らの肉体に自信を持ち、ライラの攻撃を受け続けるダーリヤ。

その差があってこそ、一方的なライラのターンと思えるが、広範囲かつ強力な力を出し続けなければ、ダーリヤはくたばらず。接近を試みるだろう。それはダーリヤも同じ。通常ならば、自然のあまりの厳しさ故に、心から削られる攻撃の数々。耐え忍ぶだけでは生ぬるい。



バヂイイィッッ



抗い続ける。終わりが見えぬ、事が自然の猛威。

けれどもそこで生物は、絶えずに育んだ。これに屈するとは



「進歩を止める事だ……」



激しい雷に体を貫かれようと、膝は折れず。

驚異的な耐久力でライラの攻撃を受け続ける。



ボコボコボコ……



「!!」



氷の極地を味わった後に来たのは、熱の極地。地面をぶち割り、吹き上がる大量のマグマ。



ドバアアァァッッ



「っ!くっ……」


皮膚を焼き剥がすマグマの量は甚大で、ダーリヤの足元をすぐさまマグマのみで埋めてしまう。立ち上る黒煙と灰が、体内に入っていく。



「はああぁっっ!!」



しかし、ダーリヤは振り払う。マグマに埋まった足を、強引に蹴り飛ばす。灰も吐き、それでも胎内に残るものは己の度量と再生力、適応力でエネルギーに変えてしまう。

確実にダーリヤがダメージを負っていく状況であるが、ライラの一つ一つの攻撃に対応していくのも事実。対応ができるという事は、受けるものも減って行くこと。



「負けは、……もう、ない」



実践の場で、アレクに負けたからこそ。ダーリヤは今まで以上に負けることを嫌悪し、絶望を知るからこそ、心から折れることがなかった。生物の体の根本を支えているのは、魂や心なのだろうと思わせる。ダーリヤの闘争心が一番、ライラの攻撃に耐性を持っていた。



「二度とあっては、ならない」




◇      ◇




「とんでもない力。ホントにライラなのですか?」



敵を取り込んだ事を知るだけに、ライラの力を不安に抱く夜弧。それと同時に、


「凄いね。ライラって、こんなに強かったっけ?」

「春藍様」

「でも、これだけ強い力を放ち続けているという事は、ダーリヤはまだ死んでいないこと。だよね?夜弧」

「……分かっておられますね。そうです」


春藍と夜弧の2人は、ポセイドンの館の外で待機していた。"アブソピサロ"の余波は当然の如く、外にも広がっている。

もし、ライラが外でこの力を使っていたら、今頃。全員やられていたであろう。それとは別ではあったが、春藍には胸中。自分達の目的を果たしたい事と、今の自分達がするべき事の葛藤があった。


「……夜弧は戻ってもいいよ。素材の入手は終わったんだ。アレクさん達が待っている」

「いえ、そーいうわけにはいきません!春藍様の気持ち、お考えもご理解できます」

「なら、どうして?」

「あのダーリヤという男。倒しておかねば、ならないと。春藍様は強く考えているんでしょ?共倒れしたら、意味がないと。私はそーなりたくないから、まだ残りますよ」

「……ありがとう」



実際に、ダーリヤの強さを負けを含めて実感した春藍。それ以上のことも捉えていた。知りすぎている事だろうけど、まだ足りない気もしていた。


「強いんだけど。なんだろ?夜弧は知らないと思うけど、パイスーとは違う感じで。未だに最強に立っていないのが、ダーリヤなんだと思う。むしろ、立たないというか」

「ライラがあれほどの魔力の使い方を見れば、奴の強さは分かります」

「僕達がやられるかもしれない」



弱気になった。表情がどこか



「でも、負けちゃいない。ダーリヤには負けてはいけないって、何かを感じる」


失望を含んだ。落胆。

のように思えた。春藍はそんな、


「ごめん。夜弧。やっぱり、良いかな?」

「構いません。春藍様も、ライラも仲間ですから。ライラの攻撃というのが癪ですけれど」


ライラとダーリヤの強さもそうであるが、ポセイドンの館の頑丈さもハンパではない。崩れるという心配はほぼないだろう。

春藍と夜弧は一度避難をしたが、ライラへの助太刀とダーリヤを討伐するため、再び潜入を試みる。



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