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RELIS  作者: 孤独
進歩編
523/634

DA-RIYA④

超えなければいけない壁だ。

ダーリヤと同じ"超人"であること。そして、その質も文句なしの逸材であろう。

ロイと水羽に敗れたとはいえ、一戦一戦で得られた経験値によって、成長は著しいものだろう。



「きゅううぅっ」



ビギイイィッ



両の大腿部を膨らませ、筋肉で固める。獣の飛び掛る姿を作った勇浪。

春藍達は、この距離ですら彼の間合いと判断し、戦闘体勢をしかととっていた。


ドオォンッ


勇浪が大地を蹴り上げた瞬間の粉塵と破壊は凄まじく、弾丸ライナーの軌道とミサイルばりの推進力で崖へと猛進した。



「ちょっ!?」

「崩れる!」


勇浪の突進によって崖が崩壊。バランスを保ちながら落下するライラと夜弧。一方で、こちらに昇ってきた事を感謝するように、春藍は落下する地面に両手を触れながら



「図面構築・要塞クリエイション・オリオン



バヂイイィィッ



自分自身と勇浪を取り囲むように、球体状の大地の檻を造る。崖への落下でライラ達は無事に下へ行き、自分は勇浪のみに集中できる戦況に変える。


「きゃーーー!」


大地の変貌に驚くも、勇浪にも春藍にも分かっている。



「君を少しでも足止めする程度だよ。ダーリヤぐらいの"超人"なら、破壊するだろうね」

「きゃきゅきゅきゃ!」

「……一番の標的は僕じゃなかったんだね?嫌な顔しないでよ」



ライラと夜弧は球状の檻を見て、即座に反応する。


「今の内に行くわよ!」

「はい!」


ポセイドンの館に入ったと思われるダーリヤを追うため、ライラは走った。そして、夜弧は素材の入手へと急ぐ。



ドゴオオォォッ



「!!」


春藍。ここで見誤る。相手の思考が予想以上に速く、さらには読めない野生である事。閉じ込めたと思った標的が、閉じ込められたとまったく感じていない事。勇浪は地面をいきなり殴り、潜りだした。地中を進む速度もハンパではなく、遠回りでも春藍の造った檻の外へ出た!



バギイイィッ



「!!」



派手な音。聴こえた瞬間に夜弧とライラは振り返る。勇浪の姿を瞬時に確認。春藍はまだ、自分が造った檻の中。勇浪は自ら掘った手で掴み取った岩を、ライラに投げつける。


「おわっ!?」


かろうじて避ける。岩はそのまま地面にめり込んだ。直撃は拳に近いものであろう。勇浪に目をつけられ、逆に進みを止めざるおえない2人。

勇浪の狙い。ダーリヤの指示により、誰一人とて。ポセイドンの館に入らせないこと。ライラを狙っている。



「うきーーーーっ!」

「来たわね」


ライラが魔術を発動させようとする。しかし、すんでのところで止めた。




グラアアァァッ


「きゃ?」


地震?にしてはその規模も、その揺れ方もまるで違っていた。

勇浪が足を踏みしめていた大地が、宙に浮く!



「"天変地異"」


春藍が即座に追いかけず、全体を揺らし、丸ごと足止めを図った。


「は、春藍様!?わ、私も無事じゃ済まないんですけど!これ!」


地上から宙へと投げ出せるのは夜弧と勇浪。ライラは"ピサロ"で、自分の足場を作って宙への落下を防ぐ。


「きゃきゃきゃ!?」


唐突で強力な魔術。勇浪が混乱したのもしょうがないだろう。


「よっ!」


ある程度、勇浪を宙へと投げ出したら解除する。天と地の入れ替わりが終わり、勇浪が投げ出されている間、ライラは移動しつつ。落ちてくる夜弧を救うべく、クッション性のある雲を生成させる。


「春藍!そいつと夜弧はあんたに任せるわよ!!」

「うんっ!」


ボフウゥンッ


「あ、危なかったー」


ドガアァァッ


「きゅ~~~」


ライラが完全にポセイドンの館へと潜入した。このことで、勇浪が春藍に集中する形となった。さらに怒りを春藍にぶつける事だろう。

勇浪は春藍の造った球体状の檻に向かい、



ドゴオオォォッ


蹴り壊して、中へと入る。その衝撃で球体の檻は崩落へと進む。


「うきゃあああぁぁっ!!」


身のこなしはダーリヤと同じくらいか。ちょっと下といったところ。ありがたい。と、春藍は感謝する。1VS1なら、まずは超えるべき存在が一つ。そして、彼からもダーリヤと似た雰囲気を感じ取れていた。



バギイイィィッ



「くっ!」

「うきいぃぃっ!」


怒りによる身体能力の向上か。

春藍の防御した腕を凹ませるほどの飛び蹴りで先制する勇浪。戦闘開始からメチャクチャな動きにして、どれもこれも成立しているスピード。単純なスピードではなく、反射速度がえげつない。思考をしていたら間に合わない。獣とは良く言うものだ。



腕を兵器に変える。一瞬過ぎることでも



「うぎゃあぁっっ!」


勇浪は隙とみて猛襲を仕掛けてくる!腕ではなく、足払い狙いのスライディング。飛び蹴りをかました後にすぐにそれを出す、メチャクチャな戦いぶり。


「くっ」


切り返すように飛んで避ける。しかし、春藍の兵器の変化もまた、遅れが出る。


『人としてでは、彼等とやり合うのは不可能だ』


聴こえる。感じるもの。


『"機械運命"も"テラノス・リスダム"も、"マグニチュード"も。僕の一つの兵器に過ぎない。人である僕は、さらに組み合わせる必要がある』


今の春藍はまだ、武器を取り付けた人にしか過ぎなかった。全てを組み合わせ、力を合わせ、生み出すべく超判断。



「うきいいぃぃっ!!」


勇浪の速さは、思考 = 本能 = 攻撃。箇所やその攻撃手段など、頭で決めず、ただ無理矢理攻撃する。脳から送られる信号、信号を流す神経、信号を受ける各部位。という反応、反射の領域とルール。それを取っ払ったような、本能と同時に体が動く超反応でとてつもない初動を生み出す。



バシイィィッ



「その感覚。今度こそ、ちゃんと掴まなきゃ」

「きゃっ!」


手が少しもげたが、すぐにテラノス・リスダムで再生。修復。

そのスピードに驚いたが、何より驚くべきは。勇浪の攻撃に反応し、完全な対応で拳を掌で受け止めた春藍の防御。



「悪いけど、君を。ダーリヤとの踏み台にさせてもらう!」


春藍の次の発展。それは勇浪からであった。


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