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RELIS  作者: 孤独
進歩編
521/634

DA-RIYA②


…………………。



深い眠りに辿り着いた時。出迎えてくれることはありがたい事か?

春藍は立っていて、黒く塗られた1人と向き合っていた。


「私の事を引き継いでおられるのですね」

「……リア?」


そして、入れ替わる。影の形は女性から男性へ


「君が背負っている者は、君が思っている以上に重たいものだ」

「……あなたは、確か……僕の、」


人間から管理人へ。


「我が最強の科学を手にしておいて、何たるザマだ」

「ポセイドン、管理人」


様々な改造と、様々な実験、様々な人生。

しかし、その全ての一つが春藍慶介という人物に繫がる。


意識の底で見ている者は、春藍に宿っている他の者達。影のように一瞬で入れ替わり、自分より背の低い者に変わる。それは確かに初めてみるものであったが、初めてではないと感じるものがあった。



「何か君に迷いがあるのかな」

「…………」

「それとも、ダーリヤが強いからかな?この惨敗は?」



リアも、ハーネットも、ポセイドンも。春藍の姿からはかけ離れており、彼等はあくまで春藍の部品や協力者という立ち位置に近い。しかし、こいつは。自分自身にもっとも近い姿と記憶だった。


「ダーリヤって人が強いね」

「うん、だろうね。しかし、彼はこんなものじゃない。彼に最強なんてまだ早い。だから、」



【今生きている、彼を語る彼を、許す気になれない……】



憎しみより、悲しみに満ちた顔であろう。そんな気がした。春藍は彼に尋ねた。


「どうすれば、彼に勝てる?熱線レーザーを浴びせても、あの体を貫けない。戦う度に強くなっていく気がする」


暗い悲しい顔は、穏やかな晴れのように消えた。


「戦闘じゃ勝った事ないけど、訂正をしよう。彼は強くなっていくのではなく、思い出していくだけなんだ」

「思い出すだけ?」

「彼には、あのダーリヤの力を手にしても、君のように、強さを手に入れた"過程"がほぼ空っぽだ。ただの才能よりもタチが悪いものさ。だから、彼を貶している」

「早く教えてくれ!どうすれば良い!?」


その者は応えてくれた。


「彼がそれでも、人であること」



◇      ◇



奥で春藍が見て来たものは夜弧の"トレパネーション"によるものも、あったかもしれない。

しかし、それでは春藍は助からない。



ガシィッ


「できるのね?あなたなら……」


夜弧は自分自身に対しての"トレパネーション"は、肉体変化や敵の魔力の除去にしか使ったことがない。今、夜弧が己にしようとしているのは、人格の変化である。

ベースとなる人格がなければ、まず成立しない。



「お願いよ。どのみち、本当に変われても20分程度」



人格とは、記憶だけではなく、体験を含めたもの。実際ある成功した経験がなければ、春藍の修理などできるはずがない。自己暗示であればアレクに成りすませて、修理モドキはできるだろう。成功する保障などないが。

しかし、夜弧にはいた。そーいう人が



バヂイイィィッッ



自分の意識を、人に。かつての自分に渡すこと。


「私にできることです」


現れたのは、夜弧……の姿ではあるが。人格は彼女ではなかった。


「春藍に助けられた事は多くて、私だって助けたい事だった」


慣れぬ体であっても、その手はしっかりと春藍の体を覚えていた。機械に触れることを恐れていない。彼女は、


「ネセリアも少しだけ、春藍の力になりたいのです」



ガシャアァッ



分裂してしまった春藍の体をネセリアは繋げていく。"掃除媒体"から、かつて自分が使っていた道具も取り出して、春藍の接合をしていく。


「もし、春藍が起きたら、驚くかもしれませんね」


でも、これは繋げたところですぐに意識は戻ってくれませんね。残念な気がする。だけど、それでもいいです。春藍が夜弧達を護ってくれるのなら、それだけで嬉しいですから。



「ふふ………必ず、起きてくださいね。春藍」



とても短い時間であった。これが夜弧の中で止まった、伊達・ネセリア・ヒルマンだとしても、春藍達はちゃんと接してくれるだろうか?

全身の接合が完了した時、ネセリアの人格はまた夜弧の中へと戻っていく。




◇        ◇




「んん………夜弧の奴……まったく」



20分以上の睡眠に入っていたライラが目を覚ました。

意識を立っていた20分。状況の把握には困難かと思えたが、


「春藍達を追いかけなきゃね」


ライラはすぐに目的のため、行動を移すことができた。また、自分自身にある巨大な魔力も実感し、しっかりと制御できる。心の部分では問題はない。平常時ならまず問題なく行ける。

周囲に誰もいるはずもない。気掛かりがあるとすれば、



「重力が弱まった?」



気絶している間に何かがあったってこと?

春藍と夜弧は無事なんでしょうね!



世界の異変。

それに続き、仲間の状況。ライラが自分自身のことをすぐに後回しにしたのは、当然とも言える。警戒を怠った故か



「……危ない危ない。近づいていたら、殺されてましたね」


新たにこの世界にやってきた人物を、発見できなかった。彼はライラの姿をしっかりと把握していた。念入りに確実に事を成すのが彼だ。


「彼等と私の目的は被ってませんよー。ダーリヤ、せめて1人か2人は、葬ってくれたら嬉しいですね」


あなたのような方と出会えた事は、とってもハッピーですよぉ。


「ふふふふ。ゆっくり行きましょうか」


そいつは間違いなく、ハイエナ。おいしいところだけ持っていく、卑怯な奴。



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