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RELIS  作者: 孤独
崩落編
518/634

LOVE SPRING⑦


上空の様子を見る事はなく、2人の男はガンガン降りながら戦っている。



バギイイィィッ


「!くっ」

「ほぅっ」


肉弾戦であれば、"機械運命"を内臓した事により外装強化された春藍の強さが出てくるはずであるが、その硬度すらダーリヤの攻撃の前ではさほど影響は出ない。春藍のほとんどの攻撃が捌かれ、こちらの防御を押してきての攻撃ばかり。

春藍が逃げながら、活路を探すもこれでは厳しいもの。



「!」


その活路はやってきた。

岩が剣山のように鋭く、形を現していた大きな地形を確認。そこに春藍は落ちながら逃げ込んでいく。


「障害物に乗じて、俺を撒く気か?」


春藍はすんなりと、剣山の間に落ちていく。一方でダーリヤは剣山を一気に、叩き潰す蹴りと打撃で破壊し、先に落ちた春藍に落石攻撃を仕掛ける。

仕掛けるならここが良いだろうと、ダーリヤが誘って来ている。自ら崩した瓦礫の上に立ち、下からでも良いと、春藍を誘っている。


「……………」


こちらの攻撃に合わせて、奴は応戦してきている。積極的に戦いには来ないか?何が媒体かは分からなかったが、様々な物を生み出したり、体内に内臓した兵器で攻撃する手段。俺の視界に入らないところなら仕掛けるかと推測したが。時間稼ぎを優先するか



一目会った瞬間の事である。気掛かりがダーリヤにはあり、春藍にも薄々ある。それはかつて、感じた違和感と同じであるが、どーにもそれは好きになれないもの。でも、尊重はすること。



逃げている。

ダーリヤがそう判断した時、足を踏みしめている地面を殴りつける。



ガゴオオォォォォッ



地面を割り、崩壊させていく。小細工をご破算する一撃を繰り返し、自分自身も落石に紛れて隠れる。呼吸がなぜか奴と合わない。だが、それもまた良いとする自分がいる。


造形製造メイカーズ

「!!」


どこにいるか分からなかったが、仕掛けてくる攻撃がより理解不能。発想やセオリーの異次元。春藍のトリッキー差をダーリヤは、良しとし。冷たく戦闘意欲ある笑みを作った。


要塞オリオン!!」


瓦礫を隠れ蓑としているのは同じであり、それを複数巨大化させて、檻というより壁に近い物に変わって、ダーリヤを一瞬に四方八方から攻め立てた。脅威の想像力からの創造力で、完全にダーリヤを押さえ込んだ。そして、出てくるだろうと分かった上。動きを封じて、確実に打ち当てるため。容赦なく、ハーネットの力も扱う。



震戒しんかい!!」



空間にヒビを叩きこみ、生み出した要塞も容易く砕き、ダーリヤの体も貫いた巨大で見えない震動の波が襲った。世界が大きく揺れ、超重力すらも狂わせる巨大な力。



ドガアアアアァァァァァッ



壊れた異世界を再び壊すかのような、攻撃であった。


「見事だ」

「!!」


血は流れたが、


「より、お前を超えたくなった。春藍といったな」



共に、さらに下にあった地面に着地する。今の春藍の攻撃をモロに受けても、ピンピンしている。この男の強さがどこか似ていて、懐かしく、憧れか。嫌悪か。いずれか。同じか。

気持ちはどーだろうか?あの時と、あの人と、少し違うか?訊いていた。


「僕、あなたとどこかで会っていませんか?ずっと前に」


春藍の言葉にダーリヤも、驚くより。だったろうなって、分かっていた表情だった。お互い、分かっていた。


「俺は、お前とどこかで会っている気がする。ずっと前だ」


戦闘における。間。観察にしては、ちょっと違っていた。堂々と向き合っていて、


「そして、こー思ってる?なんか、分かる」

「お前は、どう思っているか?当ててやる」


言葉は違えど、意味合いはほぼ同じで


「「お前、僕(俺)の事。大嫌いだろ」」


ハモってしまった。そして、愚かにも2人はまるで。ガキ同士のお笑いの琴線を弾いたように


「はははははは」

「ふふふふふふ」


笑っていた。おそらく、それはどうしてか


「なんか嫌いな気がする。嫌われている気もする」

「事実だな。どうにも貴様を見てると、人が馬鹿にされていると感じる」

「でも、こーいう感じは。初めてで良いかもって、たぶん。君には話せる気がする」

「ほぉー?俺もだ。お前という人間で、とても人間とは言えないその異形が、俺の訴えを紳士に受け止め、反論するだろうな。そして、俺が折る」

「……かも。もしかして、敵として。君と対峙できたのはすっごく嬉しい。今まで、……いや」


ライラも、アレクさんも、……リアも、パイスーも。

桂さんも、ポセイドンも。

僕にとってはほんの一時しか、僕を出せなかった気がした。仲間であったり、訴える時が終わっていたり。でも、僕はこうして対峙できる力を持って、伝えることができる相手に出会えた。好敵手とは違うね、僕が戦って、超えて、伝える者であり、聞くべき者。



「名前、もう一度良い?僕は春藍慶介」

「俺は、ダーリヤ・レジリフト=アッガイマン。行くぞ、春藍」


仕切り直しにしては、随分行儀が良かった。純粋に吼えて、純粋に戦って、純粋に血を流し、痛みを受けてもなお。




バギイイィィィッ



「……がはあぁっ」



春藍は、ダーリヤの強烈な踏み込みからの拳を浴び、吹っ飛んだ。それでも遠くはない事を信じきれた。グニャリと空間が捩れる。先ほどの春藍の震動に、ついにダーリヤもまた"魔天"を駆使して、戦場を歪めた。

崩壊する世界の中で、崩壊させる力同士の戦争が起こる。



ドオオォォォッン



"震戒"を繰り出した春藍と似ているように、空間に亀裂を作り出した。


「!っっ」


春藍は似ていても違いに気付ける。"超人"という、生物一つの力。

あれが痕だ。

遅れて伝わって来ている事は、ダーリヤはそれ以上の動きを繰り出している。



バギイイィィッッ



拳闘という間合いではなかった。

厳しい重力場の環境。今のダーリヤにとっては苦にもしておらず、平らな大地をフィールドにしてるのかと思えるほど、遠くへ殴り飛ばした春藍まで一気に詰め寄る神速。体を丸めてガードを固めても、抉ってくる一撃。そして続くは、超常現象を引き起こすパワー。



重力が弾け飛ぶ。


全ての地は割れる。


宙に浮く、2人。



「強い人は何人も知ってる」

「俺もだ」

「けど、敵としてなら、僕は今。その人と戦うんだね」

「……貴様もな」


とんでもない身体能力。パイスーや桂さん、その2人に並ぶか、超えるかの人と戦うのか。

戦えるだけの事はしてきたから、今も生きていて、立ち向かえるんだよね?僕は、


「やあぁっ!」

「ふんっ!!」


春藍の"震戒"とダーリヤの蹴りが空中で激突し、衝撃波が周囲に津波のように広がった。ただ壊すのではなく、壊し続ける空気の振動は弱者の介入を許すものではなかった。



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