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RELIS  作者: 孤独
崩落編
516/634

LOVE SPRING⑤


2人の戦闘からいって、そう広くはない足場。向かい合って対峙するのは、春藍とダーリヤであった。

内臓される"機械運命"、春藍はその一部であるバズーカで地面を一気に大爆発させた。


「!!」


ダーリヤが目暗ましかと思ったが、それ以上に来たのは崩落した足場を使っての混乱。選択を狭めるもの。

この世界の重力によって、崩落の進みが速い。ダーリヤも、その瓦礫も吹っ飛ぶよりも落ちて行く。少しでもダーリヤが防御に向くことのみを想定して放っている春藍。

タイマンとなるならば、お互い、仕切りでも張られていてくれるとありがたい。

春藍が自分の相手であるダーリヤを、少しでも足止めしてでも、戦局を戻したかったのは夜弧の方。



「くっ!」



勇浪の奇襲を受け、ダメージを多くもらっている。そこに勇浪が飛び込んでくる。

正々堂々の対決ではないところ。それを春藍は戻すための援護。注意の引きつけをしてから、ダーリヤと対峙する。即座に浮かんだ戦闘思考は、高いものであろう。機関銃でところ構わず、勇浪に連射しまくる。



ドババアアァァッ



「き~ぃ!?」


重力の影響か。思ったより弾が伸びていかず、勇浪に一発も当たりはしない。しかし、足は止まった。それを確認し、彼との距離をとる。さらに下へと飛び降りていく。これぐらいが春藍の限度であり、相手を判断してのもの。ダーリヤの足止めはもう消え、攻撃と防御が成されたこと。



バギイイィィッ



「!!!」


痛いというものではあるが、初めてだという感覚が強い。防御をしていても感じてしまう、壊されたという錯覚。

拳で成せる破壊力なのかと疑う。


「仲間を守ったつもりか!」

「……あなたを倒してから守るしかなさそうですね!」


ダーリヤの目的は春藍を倒す、殺害するという過程が必要なのに対し。春藍はその過程を後に持っていきたかった。戦いながらポセイドンの館を目指そうと、立ち止まらずに降りながら、ダーリヤと戦っていく。仲間と距離をとり過ぎるのは危険であるが、戦いの場を離すことで連携がとれるという事もある。飛ばせる情報もある。



「助かりましたよ、春藍様!」


"トレパネーション"により、一時的にダメージを解消した夜弧。

彼女の臨戦態勢も整い、ダーリヤ達のみせる仲間意識の薄さも春藍のおかげで感じ取れた。


彼等はそれぞれ1VS1を望んでいる。集中力や個の強さは必見ですが、上下の遣り繰りでの連携を私達はできます。卑怯とか言っている場合でもないですが、タイマンは望まない!3勝0敗として、それがどーいう戦い方でも構わない。

しばしの1VS1。計り合いは必要でしょうが、誰を先に倒すか。話をしましょうね。



パァァンッ



「うきゃきゃきゃ!」

「すばしっこいですね。この重力場の中で……」



春藍とダーリヤのように、下へ落ちながら戦うのではなく、その場に合わせて戦闘を繰り広げる夜弧。上から下を覗くのは難しいが、下から見上げるのは簡単だ。中間に位置するところでの戦闘は、司令塔のようなもの。状況判断が問われる。ライラとメテオ・ホールが戦っているのを戦闘中にハッキリと確認する。



モクモクモク……



厚く膨れ上がる白い雲。チカチカと中で光を発しながら、その先を見透かすようにはしてくれない。こちらからも見えないのなら相手からも見えないということ。そもそも私がライラの元に辿り着くのは無理。

ライラから来てくれないと、ダメ。

雲から霧が降って来る。ライラがやっているって事は、私や春藍様の状況を把握しようってわけね。しばし、こいつの相手をして、ライラからの合図を待つ。




◇       ◇




『我に勝てると思っているのか?』



ライラの厚い雲はメテオ・ホールの足を止めていた。それはライラもまた同じである事だじs。

"元素"の魔術を持つ、メテオ・ホールには物理的な攻撃も、魔術的な攻撃も、あまり高い効果は見込めない。脅威的な回避能力と適応力によって、攻撃を無力化させる。

加えて多様な攻撃で相手を苦しませる。



ドゴオオオォォッッ



「くっ、爆撃もありとはね」

『貴様が氷や風、雷、水……人にしては幾多も使えようが、我にとってはどうとでもない。あらゆる"元素"を操作し、自然すら抗う我だぞ!』


魔物。本人的には、神の表現が正しいと思っている。

珍しい流体的な存在であることも含め、メテオ・ホールを単純な力で押し潰すのも難しく。個人が持つ魔力の膨大さもまた、ライラを上回っている。

だが、ライラが時間稼ぎだけをしているわけでもない。確かに強い敵。だが、それが初めてではないことと、何人も出会った強者を見てくれば、メテオ・ホールがその強さに達していない事も実感できている。たまたま今回、1人での相手となったこと。



今は…………。




『動きが鈍いな。ここの重力場のせいか!?』



かつて、ライラとアレクによって、身をボロボロにされたメテオ・ホール。多彩な攻撃を持ちながら、爆撃に拘っているのはそーいう経緯を相手に知らしめるためか。

目の前の敵に集中せんとする姿勢は素晴らしい事であるが、ライラの狙いを悟れないのは問題がある。明らかにライラの魔力の使用ポイントが、まったくメテオ・ホールには向けられていない。



「ま、好きに言いなさい」



観察からである。

メテオ・ホールを効果的に倒す算段。及び、仲間の援護。




ピシィィッ



「きゃっ?」


ライラ VS メテオ・ホール。に見せかけていた。厚い雲の上からでは、メテオ・ホールは察知できず、ダーリヤも春藍を追っている状況では勇浪を助けに行くこともできない。

雲から降って来る霧は、夜弧と勇浪の位置を把握。勇浪の周囲に霧を発生させ、視界を奪い始めた。

目を奪われても、彼の持つ脅威の嗅覚を持ってすれば、夜弧の匂いを辿って戦闘を止める事はないだろう。



ここがまともな地上であれば、の話である。




「流氷群!!」



地面を叩き潰す氷の塊を厚い雲から降らせる。狙いは勇浪ではなく、彼等の使う足場である。




ドガアアアアァァァァッッ




「!へぇっ」


夜弧もまた霧によって視界を奪われていたが、足場に救われる。

超遠隔であったが、ライラが上に乗れる雲を作り上げ、その場に夜弧を留まらせる。一方で深い霧に足場を壊され、重力場によって落下に巻き込まれ、戦闘を中断させられた勇浪。



「きーーーーっ!?」


落ちてもなお、嗅覚を頼って夜弧を探すが見つからない。霧が晴れなければ、自分がどれくらい落とされてしまったかを気付けない。

彼の高く、奇天烈な声だけが響く。それがメテオ・ホールに届けたかった言葉だったかもしれない。



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