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RELIS  作者: 孤独
崩落編
512/634

LOVE SPRING①

時の研究は続けられる。

それはタイムマシンが造られたという事実があり、完成されたとしても投げ出されるわけにはいかないもの。その過程が今なお残り、主を失い、暴走を始めているとしたら。



ギュギュギュギュ……



未来が変わったことが確かにあり、一度変えた時代にはもう戻らない。

それに悲しむ現住民はいない。誰もその時代に生きていないからだ。今だ。

全員が今、生きるために抗った跡があった。しかし、ムダなこと。



ドオオオォォォォッ



マリンブルーにいた全ての生物、物質。その全ては"ある物"に踏み潰された。

海底には巨大な穴が空き、別の異世界に繫がった。渦巻きながら海水は他所へと流れていき、その中にいた生物は死にながら流れ着く。

マリンブルーの穴は広がり増え始め、メンガーのスポンジのような状態となり、崩落が迫っていた。あらゆる物を穴へ吸い込む"ある物"は無慈悲でしかなく、生物の抗いを無に帰す。



生物という枠内の限界では、この異世界での生存、生活、生息は不能となる。



そーいった事情を一切知らない者、経験則から対策を立てる者。そんな連中がもうすぐやってくるのだ。

驚きは計り知れないだろう。

しかし、そんなことが発見となり、必死さとなり、真の大切な者に気付けさせる。

ここは人が生きる場所じゃない。



ドオォォンッ



「っっ!?」

「えっ?」

「きゃぁっ!?」



この死ぬ異世界にやってきたのは、春藍、ライラ、夜弧の3人の方が早かった。空中に投げ出される形でこの異世界に到着した3人であったが、



「マリンブルーに来た時もこんな感じだったねー」

「な、何を暢気に言ってるのよ!?全然違う!」

「間違えましたか!?」


全員が感じる強い力によって、地面へ急降下していく。全員、下を見ればすぐに理解できる。


「地面よ!地面!!」

「まったく海がない!」

「水着を作ったのに意味がないなぁ」

「春藍!!暢気すぎるわよ!」


雲のクッション……。それでも無意味。貫通して、地面にぶつかって死ぬ。やってきた高度も、地面と見れる位置も随分と深い。パラシュートがまったくないスカイダイビングは死しかない。


「というか、なんですか!?このパワー!?」

「確かに!全然、抗えない!」


落下速度はさらに増していくばかり、夜弧とライラに感じる。そのパワーは身体にもう響いていた。


「!」


遅まきながら、春藍の身体にも変化が現れ始める。落ちて行く状態だから動かせる体の箇所は限られる。身体の重さがより一段と……。


「"重力"」


この世界に設定されている重力が最大出力からより壊れ、あらゆる存在を地に平伏ふれふせるものとなっていた。生物がこの重力に耐えられる状態にない。



バギイィッ



「っああっ!?」



始めに夜弧の左手の中指が、"重力"に耐え切ることが出来ずに折れる。まだ、地面にぶつかる前にこれでは



「ぜ、全員!地面に落ちる前に死ぬわよ!」


そうライラが叫んでも、何ができる?落下中に落下を防げる手段ならばとうにやっている。おそらく、メンバーを間違えていたら即全滅の、初見殺し。



「テラノス・リスダム!」



春藍。暢気なことから一転して、真剣になってこの状況打破を試みる。暢気な言動も、ある程度の自信があって出たものなのだろう。起動させた"テラノス・リスダム"は3人の周囲に、雲と似た色でありながら、確実に衝撃を吸収する代物を生み出した。


「ゴム!?」


球状となって3人をキッチリと取り囲んで守り、そこからさらに成長するように球体は膨れ上がる。"重力"を受けての落下速度は凄まじいものであったが、完全に衝撃を吸収。

二度、三度のバウンドを経て、地面に転がる。




シュウウゥゥッ



「と、止まった」

「以前来た時はまったく環境が違うね、ライラ」

「それさっきから言っていたでしょ!?つーかぁ」



ビキイィッ



"重力"とは見えず、空間の中にある。生物が生存を可能としている理由が、重力が適していたともされる。その一例が崩壊した今、ここは。

生物を拒否した世界であるということ。


ライラと夜弧の肉体が、毒を浴びているかのようにゆっくりと傷付く。手に入れた頑強さ故に、春藍の体はまだそれほどの付加でもないのだが、やがてサビのように浮かび上がるだろう。



バギイイィッ



「また地面が!」

「落ちるーーー!?」

「どこまで続くんですかーー!?永久ですかーー!?」



"無縁地底"、ニュー・クローズ。

ポセイドンが長い年月をかけて変化させ、生物の安定を生み出すことができたマリンブルーという世界の前身。管理人を失い、崩壊へとまっしぐら。全ての生命を絶命させた、この世界で


3対3。


世界と呼ぶには値しない場所にも関わらず、それでも。戦争は開演する。



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