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RELIS  作者: 孤独
現滅編
511/634

CHANGE

「世界は滅びる」


時間とは残酷だ。できそうな希望を見せてくれて、不可能な現実を見せてくる。

やってくる未来は一年、二年、いや、10年、100年、加速をし始める。運命を見て来た者、運命を抗う者、運命を振り回す者。それらが揃えば、時代は揺れる。

悠長にやっている場合ではない。


「なるべく、秘密にな」

「大勢が乗れるわけでもねぇ」


アレクはこれより大切な役割はないと、確信した。


「投げるぞ。俺はな」


未来の滅びた時代からやってきたこの贈り物を、グレードアップすること。

こーゆう役割の方が自分にはしっかりと来る。


「どのみち分かっていたけどな」


必要な物は残り2つ。


「悪いが、俺は三矢の意見に乗る気だ。ライラ、春藍。そーいうわけだ」

「勝手ね。アレクらしいから良いけど」

「でも、未来を懸けている科学に携わるのでしたら!僕もアレクさんに協力しますよ!例え、世界が混乱の最中になっていても……」


それを崩してでも戻すべきなのがライラの務めであるが、


「三矢!本当に、本当に!信じていいのね?」

「間違いはねぇよ」


ライラ達もフォーワールドに戻る必要がある。今、どんな事が起こったのかも、ここから眺める事ができた。大分、時間が掛かってしまい、遅いくらいだが。


「とうに遅い」


そこへ向かうべきと、救えと、良心は言っている。しかし、時代の答えは違っている。その世界は終わりに近づくから、捨てろと言う未来からの声。


「置き忘れもある。俺と三矢はフォーワールドに戻る。やはり、このタイムマシンもフォーワールドでメンテナンスしたいしな」

「俺も行くのか?」

「信頼しても信用はしねぇ。お前も危険な男だと認識している。光栄にな」


危機を救うのではなく、別の意味を持って帰還する事を伝えるアレク。三矢という重要な人間とタイムマシンという最重要の科学も抱えての帰還。


「どっちに行く?3人で固まって行って欲しいが」


アレクが求めていた残りの資源は2つ。

"雲城"ホワイト・ジャスティスという異世界にある、"クローム・エクストス"と呼ばれる資源。

もう一つが


「私と春藍が行った事があるマリンブルーにするわ」

「!そうだね、少しだけ知っている世界の方が早いかも」



"遊園海底"マリンブルー、"深海泥"


かつて、ポセイドンが管理していた異世界の一つである。

この選択はまったくの偶然であった。ホワイト・ジャスティスはすでに"SDQ"によって、崩落しており、マリンブルーはその姿が激変しながら世界は残っていた。

さらにはそこの出身者が偶然にも、フォーワールドに訪れていた事も。アレクがフォーワールドに戻ることも含めて、重なってきた。



「三矢。ここから行けるかしら、マリンブルー」

「ライラ、夜弧。マリンブルーは海中の異世界だよ。今から水着を作るね」

「春藍様だから許される言葉です……」



マリンブルーに向かうのは、春藍、ライラ、夜弧の3人。



「外に出ないとそーいった物は使えねぇぞ」

「運び屋がいるな。若だけじゃなく、クォルヴァの協力もいるな」



タイムマシンのグレードアップ、フォーワールドの一時的な救済にアレクと三矢。

二手に別れての行動であった。




◇    ◇



「ふふひははぁぁぁ」



身体と精神が合致しない。辿り着いた満足感は少なく、自我を保つことに苦にする。


「ああぁぁっ」


藺兆紗は酷く苦しみのたうち回る。床を這いずって、ムシケラのように動く。それで生きるのなら良いと、時折見せる安堵の表情。死ぬか生きるかの境界線がハッキリしてきて、眩暈がする。


「ワシはアンリマンユのパワーアップに忙しくなるのぅ。ようやっと手に入った"アルテマ鉱石"でよりデカくして見せるわい」


琥珀博士は王のおかげで手にした、"アルテマ鉱石"でアンリマンユの巨大化に当たるつもりだった。王震源、レモン・サウザンド、山羊波 春狩を失っても、新加入した琥珀博士、ダーリヤ、勇浪の影響は非常に大きい。



『藺は死ぬか?死ねばもう解散だな。我は勝手にさせてもらおう。大体は満足できた』



藺と一緒の最古参となってしまったメテオ・ホール。



「あれが精神攻撃で死ぬか?俺達が手を動かさなきゃ、生き残るだろう」

「きゃはははは」


王の意志を託されたダーリヤは藺の回復を待つのみであった。ダーリヤを慕う勇浪はダーリヤに従うまで。



「……………」



そして、ロイとの死闘に敗れ、勇浪によって捕獲され遊ばれた朱里咲が惨く転がっていた。メテオ・ホールの仕返しも重なって、再起不能に近いダメージを浴び、ここから離脱することは不可能となった。彼女の倒れ方は彼女が選んだ道の末路に相応しいものであろう。

血に生きたロクでもない地点だ。


『待つのは退屈だ』

「そうか」

「きゃきゃきゃきゃ」


ただ待っている3人。それがいつまで続くか読めない事に、痺れを切らしそうなのはメテオ・ホールだけであった。人間と魔物の差であろう。

あの男には命を賭ける以上の物が確かにあると……



ダァンッ



「!」

『お』


床を強く音は這いずりから起き上がった音に思えなかったが、世界に等しき深みと混沌があふれ出す魔力を出す藺兆紗は、



「すまない」



どこか見下した気持ちを抱いていたメテオ・ホールも、言葉と事実が正しい疑いをわずかに持っていたダーリヤも、完全に自分と同列に値するに秘める基礎であった。

這いずっていたせいで、乱れたスーツはしっかりと元に戻そうとする、藺兆紗の両脇にいる使用人達。疲れ目な表情は本調子でない事が確かであった。



「ダーリヤさん、勇浪さんでしたか」



そんな状態で自分と対等かい。



「あなた方のような優れた人材が、私にご協力して頂けるなんて光栄ですよ」


まだ完全に物になっていない。そう自覚するのは藺兆紗だけ。


「早速で悪いんですが、私。今、満足に動けない……っていうか、”黄金人海”をより極めたい。私の代わりに動いてくれませんか?」

「何をしろというのだ?」

『早く言え』


時間が必要であるが、世界の時間はあまり待ってくれない。フォーワールドから連れて来た人々の声や記憶を知り、得られた情報は非常に膨大であり、自身の予感とも一致はしていた。

だから、自分が世界を支配する必要がある。


「マリンブルーという異世界で……」




その意図まで辿り着くのに、彼は多くの人からの声を聞いたから。



「”深海泥”と”ポセイドンの館”を一つ残らず、消してください」


操る者は操られる自覚がない。



『そうすれば、私が無事に生まれる時代になれる』



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