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RELIS  作者: 孤独
現滅編
508/634

ある時代より③

未来から託された科学。


スタイル:科学

スタイル名:RELOAD


タイムマシン型の科学。

時代と空間を移動する能力を持つ。二人乗り。誰でも操縦できるが、燃料が必要である。



「実際に調べてーな、夜弧。その中に入って良いか?」

「なら僕もいいですか!?」


未来の科学だというのだから、興味がないなんてあり得ない。


「大丈夫です。三矢さんはどうですか?」

「俺?興味ねぇし、邪魔をしちゃうだろ」

「あたしはどーでも良いし」


三矢とライラは居残って、春藍とアレクはCDの中へと入っていく。

2人が戻ってくるまで、ただ黙っているわけにもいかないから。


「ともかく、未来からご苦労さん」

「そんな言い方ですか、三矢正明」


軽い労い。ここまで来るのにどれほどの苦労があったか、分かってないような言葉。


「ねぇねぇ、夜弧。未来ってどーなっていたの?」


一方でライラは分かっていながらも、期待をしているような言葉で夜弧に尋ねた。


「そ、それはですね」


こほんっと、咳払いをしてから


「分かるかと思いますが、私が来た時点で私のいた未来なんてありません。ですが、私がいた場所には人は住んでいました」


三矢がいた事は明かさなかった。正直、彼については夜弧も分からなかったからだ。今いる彼が未来とは別であるのも事実。


「私は訓練ばかりでしたけど、終わりが近づいていても、秩序は保たれていたと思います。"RELOAD"は多くの人々の手によって造られた物ですかし、私が行く少し前までもメンテナンスされてましたから」

「そうなの。ふふ、きっと大変だったはずなのに、人は強く生きてたのね」

「ええ」


未来人が過去に来るほどの出来事は、聞かなくても分かる。だから、今の人は夜弧と同じく変わる必要がある。その時、人々全員が変われる意思が持てるのか、気になってもいた。


「話しを逸らさずとも、夜弧の時代は死んだんだろ?」

「!」

「三矢!そんな言い方はないでしょ!」

「未来に俺が居ても関係がねぇこと。大事なのは今だろ」


夜弧がこの時代にやって来られた立役者の1人でもあるが、この態度。なんと腹立つ奴だろうか。春藍とアレクが居ないという状況だからか、ビシビシと今を伝えた。


「ともかく今の、"RELOAD"は単純に過去と未来を行き来するだけしかできねぇはずだ」

「なによあんた、あの科学をまるで知っているみたいね」

「"無限牢"を造って、"管理人"を造って、"時代の支配者"を止めるためにいる人間だぞ。ただ造ってポイする者じゃねぇさ」

「大物ぶってるけど、」



ドガアアッッ



「ぐおっ……」

「私だって怒らせたら、素手でもあんたを殺せるのよ。今のは夜弧の人生を批難した一発!」

「ありがとね、ライラ」



あんまりスッキリしない奴を殴って、さっさと全部話すよう。睨みつけ、シャドーボクシングを始めるライラ。三矢は唇から流れる血を拭ってから、


「まぁ、事情は色々ある。タイムマシンは人類にとっては唯一、誕生しない"時代の支配者"にとって有効な手段さ。ポセイドンが、かつての人類の研究を引き継いでいた。俺達は理論と道具を揃えた」


時代を捻じ曲げてでも、造られるべき代物。重ねるようにな。


「こうして、無くなった未来から使者が来るという奇跡の前提でできている計画さ」


もっとも、その奇跡はまだ楽な部類であったが。


「"時代の支配者"が誕生しないと、どうして私達が死ぬの?」

「対処がねぇんだ。アーライアの"SDQ"を身を持って知ってるだろ?あれは未来でも解決しねぇ」

「ええ、確かに私の時代はそれが原因で滅びました」

「しかし、その中で生き残ることができる奴がいる。それが"時代の支配者"だ。奴はその手段を持ちながら、ひた隠し、果てには生まれてこねぇほどだ」


ある意味、人類の救世主でもあるんだがな。


「それでも、奴は生まれてきたいんだろう。何がしてぇかは読めないが、こうして人類を自発的に、未来人を過去に送らせ、時代を変えさせる始末だ。本当に生まれたら何を試みか、まったく読めちゃいねぇ」

「それは言えてるわね」


昔話をするよりも、有意義な今と未来を語ること。


「”RELOAD”を改造し、俺達は”時代の支配者”と戦う未来に行かなきゃいけない」




◇    ◇




「これはとんでもない科学力だな」


アレクも目を丸くしながら、”RELOAD”の構造をチェックしていた。


「もう手に入らないような、素材のオンパレードだ」

「知らない物も沢山ありますね」


動作のチェックを行なうアレク。起動はするが、能力を使うための燃料が残っていない。空間の移動すらできない状況であった。


「燃料は”例”のあれか」


時代と空間の移動に耐える機体のボディは、”クローム・エクストス”が、動力の補助に”アルテマ鉱石”も備えられている。しかしながら、予備燃料の”深海泥”が尽きてしまっている。


「ふむ」


完成された土台がこうして手に入ったのはありがたかったな。いくら理論があっても、資源があっても、技術があっても、完成させるためには何十と時代が進まなきゃできない物がタイムマシンだろう。

夢の構図がこうして、できるとな……



未来からなら仕方ないが、どうしてか。嬉しくもある顔をしているアレクに、春藍はちょっとらしく見えなかった。


「アレクさん。こんな科学を造った人が、未来にいたんですよ!」

「ああ」

「なんていうか、対抗心を燃やしながら研究しそうな気がしたんですけど」

「なんでだろうな」


思ったよりもしっくり来すぎてな。




◇    ◇



「こ、このタイムマシンを造ったのは、あなたの時代のアレクと春藍なの!?」

「お2人には内緒ですよ。考案はそこにいらっしゃる、三矢さんとポセイドン管理人だったそうですが」


タイムマシンの仕組みを発見し、理論を確立させ、現実に呼び起こす。


「土台や基盤の製作は間違いなく、お2人でした。2人が亡くなった後、その作業を何百年と引き継いでここまでの物となりました」


夢もあったろうが、目標とし、使命とならなければ、これは造られぬ物であろう。向こうの自分達も今の自分達と変わらない。




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