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RELIS  作者: 孤独
男性編
499/634

ペニス


これは説得においてはまったくの不正解である事を先述しておく。



「俺は」


ロイは戦うことしか取り得がないと、朱里咲からは思われている。

納得するところもあるが、許せない事がある。それは勝手に自分が戦闘しか楽しめていないと思われるところだった。

ま、今。こうして、互角に戦えることを楽しむのはお互い様か。



「刈面」


朱里咲の首を撥ね飛ばす、ラリアットをかますロイであったが、

回避から伝えられる同調。


「そんな大振りな技を回避できない私ではないぞ」


ロイの腕よりも低く、しゃがみ、ロイをやり過ごし。切り替えし、ロイの背を狙う。積み重ねようとする朱里咲の技とは逆に、


宙天襲撃ちゅうてんしゅうげき


バク宙しながら、朱里咲に合わせて狙うカウンターの蹴りを繰り出す。1手、2手と派手な技をつかい、ただ無茶苦茶の戦い方をする。

その動きに苦戦も、追いつけないも、出さない朱里咲の実力。


「なんのマネだ?」


カウンターを避け、素早い突きの連打をロイに浴びせる。


「まるで、水羽の戦い方を伝えたいようなやり方だ」

「分かってるじゃねぇか!」


”超人”として、同じでも戦い方がある。水羽の強さだけの無茶苦茶な戦い方は、ロイには合っていない。一撃だけでなく、素早い連続攻撃の積み重ねで、敵を沈めるのが”紫電一閃”の利点。


「なら、お前の”軍神”も同じだろう!?」


不慣れな戦闘を講じたものだから、2発ほどクリーンヒットしてしまったロイ。しかし、自分が指摘されたように朱里咲にも指摘する。


「殴り合いで俺に勝てるわけねぇだろ!」


いかなる技術は、全て屈するべき力とは別の対抗手段。すぐに打ち込んだ朱里咲に襲い掛かった一撃の蹴りは、2発の拳と丁度同じくらいの威力であった。

殴り合いと伝えながら、蹴ってるんですけど、この人。無茶苦茶というか、支離滅裂、それがまた


「似ないが、水羽か。水羽がどうした?」

「あいつはお前と同じになる女だった。だが、変わったんだ!お前だって変われるはずだ!お前が戦闘を教えた1人だろ!」


丁度、ロイの足元に落ちていた石ころ。それを蹴り飛ばし、朱里咲に飛んでいく石ころ。


「ああ、どうして変わってしまったんだ?悪い虫でもいたからか」


”軍神”の本領だった。飛んで来る石を人差し指と中指で掴み取る。勢いは全て失われ、朱里咲の武器となる。そして、捨てられる。

互いに突進、


「悪い虫?テメェ!侮辱か!?」

「いや、的確な物の例えだ」


両者、炸裂する一打と一手がぶつかり合った。

いよいよ、朱里咲がギアを上げてきたといったところか。指が離されそうな重たい攻撃であったが、しかと掴み、ロイを武器化した。


「お前等をこのように潰したいのだ」


身体の扱いが自分以上に操作されていると、疑ってしまうほど。身体が浮き上がり、言葉通り、ぶっ潰す。地面の重さと固さを体感する投げ技が染みる。



ガギイイィィッ



ロイが叩きつけられたところを中心に、地面に生まれるいくつもの亀裂。衝撃がどれだけヤバイか、


「がっ」


さぁ、本気を出せ。何をしている?止めてくれよ。


「………」


言わなくても、少しは加減しているんだなって。そこまで大きな痛みじゃなかった。

ロイは、朱里咲の本音を掴み取った気がした。だから、


「どうあっても曲げねぇのか?」


朱里咲の首元を狙った指の貫手。一撃必殺を嫌い、朱里咲が素早くロイを放り投げたのは庇いに思えたが、


「本気出すのはテメェからだ」

「なに?」

「お前なら。俺がホントに敵なら、まず殺してたろ」

「それは過信だよ」


戦闘狂だから見せる、いくつかの隙。油断。こうして、同調して行なわれる会話が朱里咲のしたいことなのだろう。だから、強いのは事実であるが、本気じゃねぇ。


「説得は続ける。やってみろよ、止めてみろよ」

「それはお前だろう?いかんなぁ……」


楽しいさ。こうして、積み上げてきたものを発揮し、渡り合える人が近くにいることが。まだもう少し、ロイという男の本質を知りたい。人は死や恐怖に近づく事で露になるのだ。それでも、こいつは私を説得し続けるのか?

嬉しいのにな。私は私より弱い奴は嫌いだぞ。



「うおりゃあぁっ!」

「ふんっ」


少しずつ、本当に少しずつ。2人は高め合うようにレベルを引き上げていく。



「お前、俺に言ってたな!俺を自分と同じって!」

「戦闘をしているお前はイキイキしている。私もしてるだろ?」



拮抗したバトルに作っているようにも思えるが、これは素であろう。



「そりゃ楽しいさ!だがな、俺はそれだけじゃねぇ!」

「なんだと?」


楽しい事をしてれば、自然と合わせてしまう。ロイが力をセーブしているのは朱里咲に楽しさを教えていることでもあった。


「俺は女が好きだということだ!」


同調だから、デカデカな声で発せられたものではなかった。

しかし、ロイの今思っている事。今、朱里咲に伝えたい事が戦闘に関係のない事だった。こんなことを伝えられ、伝わってしまった朱里咲は表情一つ、呆れることなく。


「馬鹿か?」


まったくだ。まったく。

戦闘にまったく関係のない事。朱里咲が女であるが、そんな性別の話など、勝者と敗者、生きる者と死ぬ者を決める事には単なる材料でしかない。

しかし、ロイは朱里咲の辛辣な声に耳をかさず、今の自分にある楽しみを拳と蹴りに伝えて、訴えた。


「男はよ!女が好きに決まっている!」


朱里咲はロイの訴えが長いことだけじゃなく、彼が持っていて、自分にない。楽しみに気持ちを傾かせた。



「生きる希望は性欲にある。男は女と戯れねぇと、生きた心地しねぇ」


女と真面目に戦うことはそこまで望んではいない。確かに、これまでロイは春藍と違って女性からの扱いが不遇であったが、インティやリアといった、女性キャラと戦うことが結構ある。今回の朱里咲もそうであろう。

しかし、今回はいずれとも違い、戦う気持ちが全面に出ていると見える。


「股間についた性なる棒にして、下の口が女を欲して、食いたがる。俺は沢山、いろんな女を抱きてぇから!平和になる世の中になっても楽しんで望めるんだよ!」


……。

どことなく、犯罪の匂いがするのであるが、それがロイなりの伝え方。これからの生き方なのだろう。


「俺はこの先も!自分の女と欲のために戦ってやるよ!」


物凄く、本能に忠実だ。しかし、説得として選ぶ材料とは思えない。



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