表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
本音編
479/634

○つ○ま○あき

三矢正明みつやまさあき

スタイル:魔術

スタイル名:本音


スタイル詳細:

対象者の心の中にある"本音"を聞き取ることができる能力。知りたい事を尋ねる、あるいは三矢が心の中で抱いた疑問の際、対象者の返答に関わらず、"本音"を知れるため、欺く事は不可能。三矢の能力の前では嘘は成立しない。

ただし、"記憶"を引き出すのではなく、あくまで"本音"であるため、事実と感情が異なる事もある。



「飲み物や食い物はねぇーんだ。椅子ぐらいしか用意ができねぇ」

「ホントにラッシと顔がソックリだ」

「だが、喋る方とか雰囲気は、あいつとは違うな」


この中で一番、ラッシと付き合いが長かったアレクにはそれがよく感じ取れた。


「三矢さん。あたし達、あなたを迎えに来たというか、誘拐しに来たんだけど?」

「凄いストレートね、ライラ」

「クォルヴァからの依頼だろう?俺まで出向かせるとはな」


随分、偉そう。

しかし、この男。ラッシとちょっと違って



「俺は偉くもねぇし、強くもねぇぞ」

「え、えばるんですか?」

「……今、誰も口にしてねぇが」

「自覚するなんて」

「俺には強力な読唇術があってな。言わなくても、俺にはその時何が知りたいかが分かる」



クォルヴァをもってして、凄く気の難しい人だという理由も分かる気がする。こちらの感情を知れるという能力とは。

だから、


「まぁ、行ってやるさ」

「案外早い」

「能力だけか?その気難しさ?」

「変に疑いをしてくれちゃ、臍を曲げるぞ?それに」


そう笑いながら、自分の捻くれ具合をアピールした三矢はすぐに現状を理解し、答えを出した。そっちは時間を欲している、ならばと。三矢は



「俺がここからどう、逃げ切れば良いんだ?ポセイドンの弟子に、桂の弟子に、その2人と同等近い強者がさらに2人。どうやって、俺が臍曲げたくらいで逃れられると思っている?」

「来る気はないのね?」

「あいにくな。今はまだ、協力なんてしたくねぇ」



話を条件に、少しでもこの場所から離れないことを選択する。今、力ずくで来られるのは双方共に不利益である。

自分の読唇術に絶対の自信を持つ。戦闘ではなく、話術でのやり取りとなれば三矢の本領。自分が、相手の要求を呑む代わりにとった選択。

気が難しいってのは、確かなものである。



「話だけでも聞いてくれや」


特に、気が難しい?と、理解するのに時間を擁するほどの相手。クォルヴァのファインプレイもあろう。三矢の情報をライラ達が逆に持っていたら、ややこしくごね始める。それができる人間なんだ。


「気になるだろ?こんな重大施設にいる人間で、クォルヴァ直々に、連れて来て欲しい人間がいるなんてな」



管理人と三矢正明の関係は、彼が口にした通りだ。



「あんたが、ポセイドンや桂さん、クォルヴァ。そういった管理人達を造り上げた人間なのか?」


喰いつく。

アレクだからこそ、質問したと言える。重大機密に等しい場所で、人類への深い関係者と思われる三矢と、なんら困ることなく対話できるのはこの時とこの場所以外ないだろう。同様に、ライラも、夜弧も、春藍も。そういう気持ちになったと、三矢は感じ取った。


「さすがに俺1人じゃねぇ。事実、その時の俺はとうに死んでる」


巧い。質問に対して、ただ答えるだけじゃなく。もったいぶるように、質問をさらに重ねられるように答える三矢。


「人間なのよね……?さっきの、映像もそうだけど。あんた、どーやってここで暮らしていたのよ?遠い昔の事まで知っているわけ?」

「色々、ゴチャゴチャ聞くなや。一つずつ行こう。そうやっていった方が、分かりやすくて、質問も解消していくだろう」



手短に話すとこっちも、時間稼ぎができないからな。



「俺は人間だが、複製クローン人間に分類される。ラッシのモデルが俺であるように、今の俺にもモデルがいる。同じ名の、三矢正明って男の遺伝子と記憶、その能力を完全継承している」



三矢とクォルヴァ達、管理人の立場は完全な主従関係になっていない。むしろ、互いに疑いすらある。ポセイドンは三矢に対し、強い警戒を抱いたままこの世から去り、桂もこの世から去る瞬間、絶対の信頼を考えるならクォルヴァを推しており、クォルヴァも三矢については、人類にとっての秘め事にしておきたかった。

黒い賭けでもある。


おかしい事だろう?


人類を管理するために造られた管理人。その造りあげた人間が、管理の外どころか関わりができる状態で生きていることに。しかも、彼だけが生きている。



「ここには食うものも、飲み物もねぇ。人間だが、今はロボットと変わりのねぇ生物に変わっちまった。外見だけは保ってるがな」

「あなたは人間に入るんですか?」

「春藍様が聞いちゃいけない気がします?」



この男が抱えていること。興味を持つとはいえ、警戒心を高くしているのが2人。



「人間さ。種類は人間だ」



アレクとライラは、クォルヴァ達のように警戒を強くしている。聞けることを聞く、そんな考え。だからこそ、三矢の深い読みは分からないだろう。

当然、春藍も。夜弧でさえも……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ