表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
本音編
478/634

○つ○ま○○き

万が一の侵入者がいた場合の、迎撃用の魔物達があっという間に壊滅させられる。

強さだけをとれば、春藍達が彼に会えるだけの資格はあった。


その張本人は高慢と、す。



「東の方向でいいのよね?」

「かなり歩いてますけれど、ずーっと砂一面。たまに魔物。飽きが来た」


気温は過ごしやすく。歩く道が良質でも、能力を使いながら進んでいくことに消耗は隠し切れない。


「ふーぅっ」

「大丈夫か?春藍」

「あ、大丈夫です。やっぱり2時間以上になると、疲れてきますよね」


そこまで負担の掛かる生成ではないが春藍の、汗の流れ方はこの砂漠の暑さによるものではないと、誰もが理解できる。


「速い方が良い。進もう」


理解しながらも、一刻を争うという状況を考えて進んで行く。ライラの雲に乗って進むという手段もあるが、その入り口は地下という難点。

歩き続け、進んで行き、



見えてくる人影。砂漠に住んでいるとは思えないスーツ姿に、七三分け。



「あそこ、人がいる」

「!!ちょっと待って、あいつって」


見覚えのある。そして、怒り込み上げて来そうな奴が



「どうも、はじめ……」


男は挨拶をし、頭を下げた瞬間。ライラは凄まじいスピードで彼のところへ行き、拳を繰り出した。


「ぶっ殺してやっ……」

「え?」


しかし、ライラの拳は彼の身体をすり抜けた。攻撃されたことなど、意に介さず続ける。


「まして。私は、藺兆紗と申します」

「こいつは」

「映像ですね」


外見は間違いなく、あの藺兆紗であった。しかし、ライラ達の目に映るのはただの映像。そして、


「私は案内人でございます。彼に会いにきたのでしょう?」


彼の横には奇妙な黒い穴が現れていた。こんな案内人がいるとは聞いていないが、この雰囲気は正しいと4人は感じた。


「ちょっとあんた!私達の敵でしょ!出てきなさいよ!」


ライラは感情を剥き出しにし、映像の藺にキレる。


「いや、あれは映像だから……」

「そうですよ。私達と戦った藺兆紗ではないですよ」


春藍と夜弧はライラを抑える。殴っても、口論になっても、無意味。

しかし、映像の藺はライラの要望に応えてくれた。とりあえず、敵という姿は止めた。


「分かりました。では、彼のものになりましょう」


藺兆紗の映像は崩れ、次に現れた映像は。黒い長髪のポニーテール、和服姿に腰に差す刀。


「拙者の方が正しかったか」

「か、桂!?」

「桂さんに変わった!?」


いや、だから映像だ!って言いたいところだが。アレクが先に構えて、ちゃんとした質問を彼にした。


「お前、何者だ?」


その質問をより、興味を惹かせるように桂の姿も変わっていく。アレクがもっとも嫌っているような男の姿。


「我を知りたければ、会うだけだ」

「今度はポセイドン!」



最後には



「こんな辺境の地まで足を運んでもらってすまない。いずれ、君達がここに来る事は桂から聞かされていた」

「クォルヴァにまで……」

「どうなってるのよ?」

「降りれば分かるんだろ?行こうぜ」


アレクが一番に、その黒い穴の中へと入っていった。



◇     ◇




そこは"無限牢"の運営施設の一つであった。

アナログの時計が大量に並んだ通路。


「ここは存在している世界とは違います」

「あ、クォルヴァさんに結局落ち着いたんですね」

「その方が良いわよ!」


映像のクォルヴァに案内される形で通路を進んでいく4人。ここがどんな場所か、どーいったところか。まず、4人の目的の前に語ってくれた。

むしろ、そっちの方が良いとライラとアレク、夜弧は思っていただろう。


「主に全世界の監視と環境変異が役割としています」

「全世界の監視と環境変異だと?」

「管理人は人と我々が繫がるための存在に過ぎないのです」


例えば時間。

1日24時間という概念は、異世界によって異なったたりもします。また、日の出、日の入り。これらの根本の操作はこちらが担っています。

空気の濃さ、水の性質、空の環境にいたるまで。人間が住むべきところを造り出すのが役目。


「環境はおろか、生活にですら争い、嫌悪を抱き、死に至る。それが人間」

「管理人は人間のサポートやパートナーってことか?」

「それはそうでしょう。なぜなら、管理"人"なんですから」

「そうね」

「では、この場所で全世界の環境を変えられたのですか?」

「可能ですが、劇的に変わるわけでもありません。雨量の調整、日照の調整、世界を隔離している範囲の調整。やれることは大規模なことですがね」



管理の根源たる場所。そういうところに来たと、4人は感じた。



「本物のクォルヴァはフォーワールドにいるが、……桂やポセイドンは死んでしまった。じゃあ、ここは無人なのか?管理人がいるのか?」

「いえ、管理人はいません。しかし、人がただ1人います。ご安心を、詳しい昔話も彼から聞けることでしょう」

「人…………あたし達と同じ、普通の人間がこんな大事な場所を制御してるの!?」

「"普通"ではないです。あなた達もですよ?少々、気の難しい方です」



話と共に徒歩を進めれば、立ちはだかった扉。威圧感より、邪気の気配がこの奥からする。ほとんどが難しい奴と語る。


「鍵は開いています。では、中へお入りください。彼のものは座って待っております」


それを最後に映像のクォルヴァは消え失せた。アレクが代表して、その扉を開けた。

同時に4人が反応した。ソファに座る、一人の人間の顔に。



「え?」

「ああっ!?」



春藍とアレクは、いの一番に驚いた。それほどあの管理人とソックリな顔であったからだ。映像なのかとも思えたが、人間としての存在感はある。

ライラと夜弧も、驚いている。そんな中、彼は4人の顔を向けた。


「まぁ、俺をベースにした管理人がいるからな」

「!そ、そっくりだ」

「マジか」


実はお前なんじゃね?そう、思っていたりもする。それほどソックリな顔。


「就かせるために苦労したよ。ポセイドンは当然、反対したからな」

「言っておくが、俺はお前の顔が嫌いだ」

「僕もあまり……です」


そう言うな。本音から聴こえる。


彼は立ち上がって、しっかりと挨拶をした。


「自己紹介をしよう。俺の名は三矢正明みつやまさあき。管理人や無限牢を製造した、1人の男だ。管理人ナンバー328、ラッシのモデルとなった男でもある」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ