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RELIS  作者: 孤独
劣等編
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アレクが作中で一番扱い辛い理由に、あまりにも強い設定と汎用性の高さと欠点の少なさに優れた能力故。どんな強者も、雑魚になっちまうから。

放たれ、向かってくる、灼熱の炎を目撃したダーリヤ。

それよりも何を馬鹿なと、アレクの言葉に遺憾する。それに言葉を告げようとしたら、炎に飲まれるだろう。



「たかが炎だ」


マグマを喰らい、それを吐き出して攻撃する魔物、鳳凰の攻撃を素手で弾き飛ばせるほどの力量を持つダーリヤからすれば、アレクの炎を肉体のみで弾くのは容易いこと。



前蹴り一発で、炎を拡散。分散させていく。


この時点でアレクからの攻撃の全てが、ダーリヤには通じないと思える一時かもしれない。

事実、侮辱と軽蔑を言われたダーリヤにとっては、その差を見せ付ける行動だった。



「!」


だが、すでにアレクはもう。ダーリヤの能力と性格、傾向を予想していた。

確かに肉体の強さと動きには眼を見張るものがあった。

卑怯とか、一切の感情は抱かず。アレクの炎は最初からあるタイミングを狙い済ましていた。



ピタァッ



それはダーリヤの、攻撃の打ち終わりであった。

蹴り散らした炎を再び炎上させ、大爆発を引き起こす。再燃、再発火も行なえる炎。つーか、


自分で造り出した炎なのだから、手加減の操作など離れていても行なえるが普通だと、アレクはレベルの高いことを平然と抱いている。




初動、威力、そして凡庸であること。

人は嫌う。凡庸という劣等の一種を。ダーリヤも同じくだ。しかし、今、戦っている男はそれに分類され、分類しちゃいけない物までがそうあっている。


「くっ」


アレクが数多く戦ってきたように、ダーリヤもまた数多くの戦いをしてきている。しかし、確実な差がある。

それは自分と対等以上の敵との対戦回数。及び、敗北の経験数。

人は成功で得られることより、失敗。そして、痛みと苦しみの中で逃れる手段を知恵に描くものだ。

確かにダーリヤの肉体の強さを持ってすれば、アレクの炎を何度でも耐えうるだろう。それが、防御態勢や回避を除いた状態での被弾であろうと生きられる。しかし、ゴリ押し。痛みを伴えば勝てるという、勝利だけの強さ。




ドオォォンッ




ダーリヤはアレクの炎をすぐに払う。また、多少のダメージ。虚を突かれての攻撃を受けても戦えることは正解ではあるが、勝てるという保障にはなっていない。

それを理解できていないダーリヤ。理解しているアレク。


空気を蹴り、縦横無尽に駆け回れるダーリヤの身体能力は異質、異常。すでに才気の塊であるのは事実。



「アホ」


しかし、いかなる肉体を持ってしても、どこからでも発火と爆発はアレクが起こせること。その範囲と大きさ。接近だろうが、中距離だろうが、遠距離だろうが、アレクの攻撃は速く、遠く、正確であり、ダーリヤの攻撃機会を確実に奪い、ダメージを与えていた。


「くっ」


初めての感覚。ダーリヤにとっては、この肉体を持ってしても攻撃ができない相手。

攻撃速度、その範囲。炎が煙幕の代わりもなし、アレクの姿を捕捉出来ない。



「はあぁぁっ」



炎の全てを吹っ飛ばそうと蹴りで、一掃を計るが。ダメ!!

アレクの"紅蓮燃-℃"がそれよりも早く、多く炎を撒き散らし続けるからだ。加えて、ダーリヤのそういった対処法を潰す、あるいは妨害する爆発。焦らず、じっくりといっている。


「拳で雨を呼べるって?」


凄いことだな。

面倒だから、俺は炎で雲を蒸発させることにしよう。



アレクの炎は地上のみならず、ダーリヤと同じく天空にまで昇る。アレクのフィールドに入ってしまったダーリヤに勝てる理由などなかった。

耐久戦にもならないほどの差。



「むうっ」


戦闘が始まって5分経過。

いくつも炎を浴び、身体に火傷を作りながら。ようやく、アレクの姿を捉え、突っ走るダーリヤ。効かないと強がるのにもそろそろ限界が来たか。拳が真に届かない距離ではかなりの不利だった。

接近すれば、炎の威力を抑える必要がある。巻き込まれるから……。



ドンッ


「うおおぉっ」


ある一定以上。並でないから、このくらいの出来は想定の範囲内。むしろ、最低限?

ダーリヤの接近を許しながら、その自信と余裕は消えていなかった。結果を見せつける。



「あぶねぇな」



とても容易く、ダーリヤの初撃を捌いてみせるアレクの防御。確かにダーリヤの間合いかもしれないが、アレクにとっても別の意味の間合い。

"超人"が遅れをとるほどの、格闘戦。それもまた、ダーリヤを素早く降ろすための手段。



メギイィッ



足で、足を踏む。拳の回避からの攻撃が早い。

格闘では中々決められない、足技の封じに移動の封じ。ものの見事に決めてしまうセンス。

ダーリヤは屈辱を感じる前に踏まれた足を上げ、膝蹴りまで持ち込もうとしたが。先にそれを決めたのはアレクの方、



「くっ」


スピードもパワーも俺の方が上。テクニックで劣るか?それくらいか?


ダーリヤはやや忘我していた。初めての感覚に精神が激しく揺れる。焦りを知ると、人はそうは抜け出せない。ダーリヤも例に漏れない。

最速の掌打、空間に亀裂が入るほどの震動を生み出せる一撃。



「っっ!!」



アレクはダーリヤが掌打をする位置を正確に読んで、先回りでの防御をとっていた。"紅蓮燃-℃"を盾にし、初めて拳を受ける。踏ん張りもせず、身体に伝われるダメージを最小にしてみせる。


「しまっ」


絶大な威力で放った突きだ。アレクの巨漢も浮いて、後方へと飛ぶのだ。ダーリヤ、自ら詰め寄ることを決めながら、その状態を閉じてしまった。

しまったの表情。声にも出ている。

どんな罰がくるか、空から振りし炎の鳥がダーリヤに教える。



「"六紅鳥"」


地面へ押し潰すような炎の熱量。精神的なショックと相まって、肉体にかかったダメージ量は相当なものとなった。

すでに勝敗を決する一発であり、生死を賭けているのならまだ続きがある。




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