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RELIS  作者: 孤独
劣等編
466/634

祭の後にくる、本当の祭

祭の最中であったら一大事であっただろう。


初日の後。ライラ達のような重役は、何事もなく働くという行動をとっていた。


「女連れか?いかんなぁ」

「いいだろ?あんたも女じゃねぇか」

「私は単なる見学です。今日はロイさんの姿を観にきています」

「良いお世辞だー。やっぱり、女の見守る目は温かいよな」


ロイはバードレイを連れて来ていた。まだ、魔物が現れる環境であり、農地開拓のための防衛を続けている。


「自分が守ると決めたのなら、自分で守るんだな」

「言われるまでもねぇよ、朱里咲」



まだ、この時は変わりのないことだと思っていた。



「仕入れに行くぞ」

「はい!アレクさん」

「じゃ、じゃあ!飯でも食べない!」

「水羽ちゃん。私達は買い物に行くだけだよ」



春藍、アレク、謡歌、水羽の4人はまだ祭りの中にいた。というか、ライラやクォルヴァも祭の中にいる。


「まぁ、良いだろう。そう急ぐことではないからな。荷物持ちがいるのはありがたいことだしな」

「やった!僕、行きたい飯屋があったんだ!」


意外なことにアレクが了承する形で、買い物と食事をすることまでついてきた。



ライラと夜弧はこの祭の状況を中継して、様々な特産品を紹介しているところであった。クォルヴァも2人と同行している。

ほとんどの戦力が、この祭の中にいると行って良い。


そんな時にやってきたのは



『緊急速報です!西の方でまた別の異世界と繫がりました。警戒を強めてください!何名かの侵入も報告されています』



ダーリヤ、勇浪などの14名の侵略者。


「さて、どんな異世界が待っている?」

「くきゃきゃきゃきゃきゃ」



踏み入れた世界を壊す事に躊躇いもない戦士達の襲来。



「クォルヴァと若が行ったわね」

「ロイと朱里咲にも、情報は届いている?」

「ええ。すでに情報は発信しています」


ライラ達が情報発信の仕事をしていたことで、迅速な避難と誘導が行なわれていた。

クォルヴァが敵の偵察をしている間に、住民達の警護に当たる。


「ラフツー。水羽にはここを護るように伝えて、春藍には怪我人の対応を」

「分かった!すぐに召集する!」

「アレクも侵略者の方に走り出していることね。あたしも、夜弧も行くよ」

「ええ」


敵の数、実力、目的が不明であり、踏み込まれた以上。

悠長な対応はとれない。

ライラの予想通り、アレクは侵略者がやってきたらしい、西の方へと向かっていた。同時に春藍と水羽、謡歌もだ。



『春藍様、水羽様。緊急招集です』



ラフツーの声が再びこの世界中に響いた。

もし、この情報発信が遅れていたら、敵とかみ合って春藍が万が一の救護に対応できなかっただろう。



「えーっ!?僕、アレクさんと一緒に行きたいのに……」

「ライラの判断は間違いじゃないだろ。春藍、この街を守っておけ」

「というか、僕も!?」



こうして、春藍と水羽、謡歌もこの街の中に留まる。

防衛向きかつ後方支援として優秀な春藍。この世界の地理にはまだ詳しくない水羽を残すのは最良。


「心配するな。俺は傷つきもしないさ」

「アレクさん」



一方で、侵略者と噛み合った二組がいる。



「この俺を超える事はできんぞ」


ダーリヤと


「そーなんだ?」


クォルヴァ。


その早すぎる対決の噛み合いは、侵略を迅速に進めることと、収束を進めることと同じ。両軍の王将というべき存在同士の対決。



そして、もう一組。



「おい、テメェ等!慌てて逃げんな!」

「敵が見える位置におればいいのだがな」

「防衛というのは大変ですのね」


農地の開拓を行っていた労働者達を速やかに、中心部へと避難させようとするロイと朱里咲、バードレイ。



パァァンッ



どこから飛んできたのか分からないほど、その何かがロイ達を襲ってきていた。

1人の人間が頭を撃ち抜かれて即死した。


「んな!?またかよ!」

「遮蔽物もある中、この正確な射撃。いかんなぁ、護るにしても対処が難しい」



3人と、大勢の労働者が襲われていたのは謎の狙撃手。

接近や1対1ならば絶対的な強さを持つ、ロイと朱里咲であっても。その間合いから外れた相手。



「クソ!正々堂々、姿を見せやがれ!」

「そーいう敵ではないんでしょ?」

「うむ、バードレイの言うとおりだ」



世界中に侵略者が来たという報告に、移民達の多くが不安を抱いたのは当然。自分達のように異世界が壊れて、こちらにやってきたわけではなく。意図的にこちらに向かって来たこと。

そして、なんの躊躇なく。人に殺意を向けて実行すること。



「平和的にいかないものであるな」

「ヒュールさん」



戦闘力を持たぬ者達は中心部にいる。ヒュール、広東、山佐などもそうだ。

政治に関わること、技術に関わることでもこの戦場では意味を成さない。


ヒュール達は侵略者を抑えてくれと、願うくらいことしかできない。ロイ達からの通信により、すでに被害者や死者まで出ている状況を知った。

フォーワールドの中心地にいるとはいえ、多くの戦力はその外で侵略者と戦い、防衛に力を入れているというわけでもない。数ぐらいにはなる戦力がいいところ。


「僕はここで番をしてろってことだね」

「怪我人もここに集めてください。医療チームの召集も……」


情報の発信拠点に春藍と水羽、謡歌が到着。この2人が残っていても、迎撃に出られるかは不明。



「大軍じゃなさそうね」

「けど、少数精鋭は捜すのに手間取ります」


ライラと夜弧は雲に乗り、上空から偵察を開始している。地上からはアレクが向かっている。どちらにも届く音がある。



ドオオォォッン



爆発音にも似た、痛烈な打撃音。感じ取れた3人には誰が戦っているのか、すぐに分かった。なぜなら、思う以上に短く連続で音が響いたからだ。


「クォルヴァがすでに戦闘を始めてるわね」



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