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RELIS  作者: 孤独
自惚編
465/634

お前等もだったのかよ!?(驚愕)


時の流れは誰にでもやってくる。

少々、日が高く上がっているけれど。



「ま、良いよね?」


この中で一番早く起きたのはライラだった。バスローブを借りて、部屋のカーテンを空けて、窓から外の様子を伺う。

バスローブから中は何も着ていない。


みんなで大きな一つの布団の中に入っていた。とても温かくて、気持ちよかった夜だった。



「ん~……まだ、早いです~……」


三日月の仮面を外し、布団の中でまだ眠っている夜弧は隣にいる人を掴んでいたままだった。

部屋の壁にかかった、ハンガーにはドレスが2着。浴衣が1着。猫耳のパーカーが1着。ダッフルコートが1着。その服の下には皆が着ていた衣類が綺麗に畳まれて置かれていた。



「みんなの服、用意してあげよっか。バスローブだけど」


そういって、ライラはまだ眠っている4人の前を通り過ぎる。

和の国"吉原"の住民が始めた、温泉宿で1夜を文字通り過ごした春藍達であった。


「女性用のバスローブをあと4つ貸してください」

「毎度ー!ライラちゃん、昨日できたのー?」

「……まー、ほどほどじゃない?交代交代っていうか……」



できるだけ静かにしていたつもりだったけど、聴こえてたかな?


「フォーワールドには監視カメラとやらがあってねぇ」

「ちょっと!そんなもの、部屋に仕込んでなかったでしょうね!?」

「はははは、冗談冗談。ないない。そんなのはないよ。あれは高級だし」

「脅かさないでよ。まったく……」

「はい、バスローブ4つね。?あれ、男の子の分は?」

「あいつはこれでいいのよ。女物が憎たらしいほど、身体に合っちゃうの」


バスローブを借りて、部屋に戻れば目を覚ましていたのは水羽だった。隣にはまだ眠っている謡歌がいた。

ドアを空けて、堂々とライラが来たことが分かりきっているのに、水羽は気付かなかった。目の前には強く愛でた獲物がいるのだ。毛布を剥がせば、その身体をしかと確認できる。昨日は暗かったから



「謡歌の、謡歌のおっぱい、揉む。揉むチャンス」

「水羽、何してんの?」

「うひゃあぁっ!?」


その危ない息と声を出す水羽に質問するライラ。ドキッと、まるで可愛い男のように飛び上がって、ライラの方へ振り向いた水羽。彼女も彼女で、謡歌と同じく何も着ていない状態。


「お、脅かさないでよ!僕は裸で寒そうな謡歌を、胸から温めようと!」

「いや、あんたも裸じゃない。というか、夜は散々謡歌にもイチャツイていたのに、飽き足らなかったの?」


ライラにバスローブを渡されてから、水羽は訴える。


「だって、謡歌が一番この中で可愛いんだもん!僕はずっと離れたくない!!」



怖いことを平然と叫ぶから、当然。眠っている人も起きてくる。何を言っていたか分からなかったが、


「ん~、何?」

「もう朝……?」


春藍と、謡歌が目を覚ます。


「水羽ちゃん?」


寝ぼけて起き上がった謡歌の姿は、窓から差し込む日の光によって輝いていた。暗いところにあってはならないような美しい姿だと、水羽のレズ脳内は決定していた。


「満足です!謡歌ちゃぁんっ!」


鼻血を出しながら、ちょっと小さな胸をしかと脳内に永久保存をして倒れ込む水羽。

もうこの子なんなの?と言いたげな、ライラの顔……。


「おはようございます。水羽ちゃん、どうしたんです?」

「ともかく。謡歌が服を着ないと、水羽は起きてこないかも」

「へ?」

「はい、バスローブ」


謡歌も、水羽も、バスローブに着た。あと起きていないのは夜弧。そして、起き上がれないのが春藍。緊張と表現するには縁のない言い方。


「ライラ、夜弧を先に起こしてくれない?」


毛布の中で何が行われているか分からないが、春藍は起き上がることが難しかった。その状況をなんら自慢するようなことをもらさず、


「夜弧が僕に抱きついてるんだけど?離してくれないと、夜弧もビックリするでしょ?」

「……分かったわ」


ライラは夜弧が起きていることを知った。目を開けないでまだ楽しもうとしている。夜弧の背中を思い切って踏んでやる。


「もう朝だから、エロいことはおしまい!!」

「ひぎゃあぁっ!?」

「その胸!もっと潰すわよ!」

「ああぁっ!ごめんなさい!ごめんなさい!調子に乗りました!」



こうして、春藍達の夜は終わったのであった。



◇   ◇



1日罰ゲームみたいに、着せられている黒と赤のドレス。妹に化粧をされ、鏡で見てしまうと


「ホントに女の子になったみたいだ……」

「似合ってる、似合ってる」

「なんで男のお前が、ドレスなんかが似合うんだ!?」



髪にリボンまでつけて、可愛さもアップ。

そのお似合いぶりに愕然としてしまう春藍を、可愛がってあげる女性4人。


「ちょっと残念。もうすぐ、女装してる春藍様とお別れなんて」

「お兄ちゃん、またするなら言ってね?」

「謡歌!僕はもう、こんなことはしないぞ!」


怒り方も可愛く。本当に似合っている。


あと2時間くらいしたら、決められている仕事がある春藍達。この服はもらって、昨日着ていた服に着替えに行くところだった。昨日でコリゴリしていたのに、今日もこんな格好で出かける。

可愛いくて綺麗な女性達が集まっていたら、ナンパのようなこともされる。しつこい輩はいなかったが、丁寧に春藍も断っていく。


「あと少し、あと少しで終わり……」


ぶつぶつと、ほんの少しでも早くこのドレスから抜け出したいことを呟く春藍。そんな春藍の気持ちを踏み弄るような、女好きが現れてしまった。


「お、おい!ライラ!誰だ!?そこの隣にいる可愛い子は!」


デカイ声を出して、「君、可愛いよ」なんて言われたら虐めなのか、褒めているのか分からない。言葉を受け取った春藍は背筋が凍りかけた。


「ロイ!……っと?」

「誰ですか?隣の方は」


ロイとバードレイに遭遇した春藍達。それも真正面からの出会いであり、春藍はライラの後ろに隠れるように後ずさった。

ライラ達がバードレイの存在に気になったことよりも、ロイは強く問いただす。


「お前の隣にいる可愛い子を教えるのが先だろ!」


まったく気付いていない。これは知らない振りじゃない。

ライラと夜弧はそのことを少しおかしく、春藍を無理矢理ロイの前に立たせる。


「あっ、やっ」


そんな声を出したら、さらに女らしいと。謡歌や水羽は思った。

ロイにしかと女装中の春藍を鑑賞させる。


「うーん、かなり若い。将来有望だ」


いや、女装男子に将来とかないし!!どんな罰ゲームだ!?


一方でライラと夜弧は分からないロイの反応に満足しながら、答えを教えてあげる。


「こいつはね」

「あの春藍様ですよ」

「ほーっ…………はぁぁっ!?」


一瞬だけ、納得しかけた頷きをしたロイだが、すぐさま驚愕してしまった。


「お前等には悪いけど、春藍が一番可愛い女になってんじゃねぇか!!」

「本当に失礼ね」

「今ので、春藍様はかなりのショックを受けているようですけど」



その場でしゃがみこんで、地面に手悪戯をして落ち込む春藍。


「どうせ、僕は男らしくないですよ……」


そーゆういじけ方を人前で晒せる当たりがもう、男じゃないと思える。


「?なんです?そこの可愛いのは女性ですよね?」

「俺の仲間。紹介しようとは思ってたが、ちょっと今。待ってやってくれ。初対面だと勘違いするよな?」


ロイの隣にいるバードレイは興味津々に春藍の姿を凝視していた。男だと言われて、納得できる格好ではない。そして、なんだこの可愛い生物は?


「というか、ロイ。そっちは誰よ?」

「ああ。彼女はバードレイ。さっきまで俺と一緒に遊んでいた子だ」

「申し遅れました。バードレイです」


なんともテキトーに、ライラ達には頭を下げながら挨拶をし。すぐさま、春藍の姿を見て周るバードレイ。


「本当にこの人、男なんです?」


やっぱり、納得できない。そう伝えたい顔をロイに向けながら確認をするバードレイ。続けざまに


「この人が男でしたら、多くの女性達が嫉妬しますよ。私はその1人になってもいいので、認めません」


春藍を女子と認めるかのような発言をする。その決め付けに春藍は大きなショックを受け、凹む。そして、さすがにこうまで言われたら、黙っていないのが1人。


「い、いきなりなんです!?」

「あら?」

「そんなにお兄ちゃんを、女っぽく言ったら!私のお兄ちゃんがお姉ちゃんになっちゃいます!それは認めません!!可愛いのは認めますけど!!」


春藍を援護しているのか、していないのか。どうにも中途半端な発言をしたのは、謡歌であった。やや見上げる感じに注意した。

謡歌の言葉を静かに受け止めて、考えるバードレイはやっぱり納得がいかない。


「でしたら、この嫉妬するような可愛い服とお化粧を解いてくれませんか。私、自分が納得できないことは納得しません。事実が欲しいです」


頑固な人とも言える一面だった。それはお互いに


「分かりました!お兄ちゃん!着替えよう!」

「凄く着替えたいです……」


謡歌に引っ張られるような形で春藍は着替えに向かった。2人を待っている間、当然ながらライラと夜弧はバードレイに尋ねた。


「あなた、私達といる?」

「!ロイさんが私を誘ってくれたので、お邪魔でなければご一緒させてもらいます。確か、ライラさんと夜弧さんでしたっけ?報道は観てましたよ」


2人が感じたバードレイの印象。

若いんだろうな……。胸、ちょっと大きいなぁ……。


「お前、謡歌が優しいから許してやるが!ちょっかい出したら、僕が制裁するぞ!」

「あなたは男の子ですか?」

「僕は女だーー!謡歌の友達だーー!」


水羽はバードレイに対して、妙な対抗心を出していた。


「あ、そうだ」

「はい?」


ライラはバードレイの姿と、堂々というか物怖じしない気持ちを見て。それからもう自分達もいい加減降りたい気持ちを込めて。


「バードレイ。あなた、私の代わりにアナウンサーをやらない?」

「アナウンサーですか?」


なんというか、押し付けのような感じだった。そして、夜弧がライラを止めた。


「ちょっと!交代するなら私が先です!ライラ!」

「何言ってんのよ。あたしが最初に言ったのよ!それに彼女の承諾も必要でしょ?ねぇ、どう?」


個人的なところもあったが、ずっとアナウンサーをやっているほどライラと夜弧も、暇ではない。むしろ、異世界に飛び回るべき2人だ。


「アナウンサーですか。丁度、募集をかけていましたね」

「いいんじゃねぇか?バードレイ。アナウンサーなら色々な物を眺めて、伝える職業だ。楽じゃないが、お前が生きる目的には最適なとこじゃないか?」


バードレイは普通の感性ならば、NOというだろう。適正はあっても、性格が合っていないというのが、彼女の姿であるからだ。

思考に使う時間と、呼吸の回数は短くライラ達に返答した。


「やりますわ」


しかし、一つの条件を加えた。


「とはいえ、募集に参加するという一点だけです。私はやってみたいというまだ軽い気持ち。そのためだけ選ばれるとしたら、夢を持つ人が可哀想です」

「当然、それでも良いわよ!」

「むしろ、私達だってそんな簡単に降りられませんし」


そんなこんなでバードレイが女子アナウンサーを目指す話をだいたいしていると、ようやく。男の姿として、ちゃんとした男として姿を現した兄の春藍と、妹の謡歌。


「どーですか!お兄ちゃんは男でしょ!」

「いや、そうなんだけど?」


バードレイは春藍の本来の姿を確認する。


「いや、本当に男性なんですか?服を変えて化粧を落としただけじゃないんですか?」

「ええええぇぇっ!?」


普段通りの姿だとしても、男とは思えないほどの童顔ぶりに対して正直な言葉を述べるバードレイだった。変な意地を張ってるかのような言葉。


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