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RELIS  作者: 孤独
自惚編
459/634

みんなで着替えると、ただのコスプレ集団だな


「髪もちゃんとしろって事よね」


いつも軽装で済ませてしまうライラにとって、着るのが難儀なものは遠慮しがちだった。戦うわけでもないし、たまにはこんな感じの



「ドレスも悪くないかな?」



水色が中心となったドレスを着用するライラ。鏡で確認すると、自分のことだから綺麗だなって自尊する。

カーテンを開けて、みんなの前に飛び出る。



「わーっ、綺麗ですね。ライラさん!」

「でしょ?謡歌のも可愛いわね………って、朱里咲。あなた、着なかったの?」

「君達の格好を見る方が楽しいからな」

「まさか、変なのを選んでたの?あいつ。ぶっ飛ばす?」



謡歌は子供向けっぽいが、可愛らしさを重視した白と雪がデザインされたダッフルコート。スカートも短い。

一方で朱里咲は普段着の忍者衣装だった。それはそれで目を惹くだろう。ライラの質問には


「別に変でもない。しかし、やっぱり私はオシャレに興味もなかったみたいだ」

「着ないと分からないでしょ」

「その通りなんだが。若いってのはやれるんだろう。私みたいなのは、私が好きなことをするので精一杯だ……って、ライラ?」


ライラ。久しぶりに自分が若いとか言われて、嬉しそうにガッツポーズをし始めている。まだギリギリ、20代って言い張れる自分。(四捨五入したら30代になるが)


「そうよね。私って若いわよね。こんな綺麗なドレスを着れるわけだし」

「ああ、そうだな」


一方で老若の話ではなく、別の何かがあって朱里咲がしなかった雰囲気をみせていた。


『お待たせしました』

「謡歌ちゃんのは今時らしく、可愛いらしいわね」


次に出てきたのはアルルエラとNM_H。2人共、デザインこそ違えどメイド服で登場。アルルエラはメイド長のような派手さはなくても、顔と服がそのように想像できるだけのキッチリとしたメイド服。スカートは長く、白と黒のみの柄。

まぁ、元はロイやインビジブルの妻兼使用人であったからよく似合っている。

一方でNM_Hはオレンジ色と白色で作られたメイド服。とても明るい雰囲気を見せてくれる。これが、"科学"で動く生物なのか。


「メイド服、似合ってますね。大人の雰囲気で羨ましい~」

「私は昔から着慣れてますし、謡歌ちゃんもまたいつか似合う時期がきます」

『私のデザインも、メイド服着装を想定されています』



羨ましく感じで眺めてしまう謡歌。自分もあんな感じの服を着て、兄に奉仕したいと思っているのだろうか?

しかし、服装だけでは意味がなかろう。



「む~……」

「う~ん」

「イメージに合っているけど……」


そして、最後になって出てきた水羽と夜弧、広東。夜弧は三日月の仮面をとって、素顔のまま出てきた。この中で一番雰囲気が変わっており、月のヘアピンをつけ、夜空のような紺色の浴衣の姿で現れた。暗そうな色が好きそうな夜弧に気を遣う、色合いだけで明るくさせるデザイン。その代わり映えにライラは正直な言葉を飛ばす。


「誰?」

「夜弧です!!やっぱりなんかこう……私じゃない気がするよね……」


自分も鏡を見返すと変わり過ぎて、違和感が……


「でも、可愛いじゃん」

「そうだけど。これは夜弧というイメージじゃない気が……」

「仮面で顔を隠していたせいでしょ!気にしなくても、良いわよ!夜弧!」



一方で広東はキャリアウーマンというべき、スーツ姿。


「祭を楽しむ格好じゃない」

「でも、お似合いですよ!広東さん!」

「立派な社蓄じゃない」


こんなところでも仕事に徹しろと言いたげな格好に、広東は苦味を感じていた。


「僕!謡歌とお揃いじゃない!というか、僕だけファンシー感が溢れ出ている!」

「はははは」

「笑うなー!先生!なんで着替えないんですかー!」


水羽は……なんでこれを春藍が選んだのか分からない。ついでに言うと、よく着たと関心するほどだ。

なんで、可愛らしい猫耳がつけられたパーカーを被っている。その可愛い部分以外を見れば、ボーイッシュな雰囲気を漂わせるところどころ破けた青色のジーンズ。女性という印象より、男性らしい雰囲気。男らしい猫っぽい。自信を持てなかった水羽であったが、



「猫耳、可愛いね。水羽ちゃん」

「なっ!?」


着た時はかなり不安であったが、謡歌に褒められると一気に嬉しくなる。好きな女の子に告白された男の子のような恥じらいをみせる。


「か、可愛いだなんて、う、う、嬉しいなぁ。謡歌も可愛いから、凄く可愛いから」

「ありがと!」


なんていうか、危険な香りが漂う会話。謡歌も謡歌で、兄と同じく無自覚でいる。



「というか、みんな着ているんだから!朱里咲も着なさいよ」

「え?」

「そうです!自分だけズルいですよ!」

「そういうものか」


みんながこうして綺麗や可愛いに変身した格好になったわけだから、余計に朱里咲が着る服が気になる。先ほど言った事を思い返しながらも、みんなに言われてちょっと自信を持って着替えてくることにする。


「驚くなよ?」

「大丈夫よ」


一体どんな服を用意されたのか、気になりながら5分ほど待ってみる。そして、


「どうだ?」


出てきた朱里咲の姿は、この中で一番カッコイイものだった。忍者とか和装っぽいのが来るかと思ったが、その逆。凄くしっくり来たのが不思議なぐらい。


「カウガールじゃない!」

「銃は持たないが、カッコ良いだろう」


西部劇風の衣装に変身した朱里咲。ちょっと男装っぽくあるが、カッコ良い綺麗系な人という雰囲気をもたらす。


「なんだー。てっきり変な物かと思ったけど、随分良いじゃない」

「お姫様ぐらいの願望はあるもんだから、披露したくはなかったんだ」

「先生はお姫様より姐さんっぽいんじゃ……」


こうして着替えの終わった女性陣。祭を楽しむ格好というより、各々が良くなって欲しいと願われた物ばかりか。


「あれ?なんかあたし達、コスプレ集団じゃない?」

「今更?ライラ」


集団で見ると、色濃く映るコスプレ。可愛いとか綺麗とか思い上がっていたのでは?っと不安になることもある。

しかしながら、祭にやってきた人々から見れば、別嬪集団とも口々に言われる感じ。


「わー、凄い綺麗な人達だな」

「何々!?あーゆう服、どこにあるの?」

「初めて見る衣装ばかりだ!!」

「カッコイイー!」

「可愛らしいのもある!今から服を見て回ろうか!」

「メイドってホントにいるんだな!異世界の話だと思っていた!!」



試着会も実施されているため、ライラ達の衣装はかなり目を惹いて祭を盛り上げていた。衣類を取り扱う人々にとってはありがたいことであった。


「人のためになっているのね。コスプレっぽいけど」

「本格的に異世界の文化を学び、触れるには良い機会であるのは確かだからな」


ドレスを着た女と、カウガールが普通に喋っていると違和感あるなー。


「やっぱり、恥ずかしい」

「でも、可愛いですよ。夜弧」

「いや……」

「?」


浴衣のおかげで違和感はないだろうが、気付いたことがある夜弧。私、この中で一番の貧乳だった……。それが恥ずかしさとなって、悔しくもあった。この胸ぇぇ……。

そんな気持ちを理解できる者が周囲にいなかったのは幸いなのか、そもそも相手にしていないのか?


「おーー!分かりやすい格好をしてるな!」

「ライラー!夜弧ー!みんな、どんな感じだったー!」


辿り着いてみると、男達も着替えていた。

ロイは一文字の『漢』という漢字が描かれたTシャツ姿。どシンプル。服よりも鍛えられた肉体が服と言いたげな、男らしい格好。


アレクはいつも通りかつ、春藍が特別に用意した白衣。まるで変わってないとも言える格好。


クォルヴァ(ついでに若)とヒュールは広東同様にスーツ姿。社長という雰囲気をもたらせる、高貴なスーツを身につけるヒュールに。ずぼらに崩して着こなすクォルヴァ。クォルヴァの服は若干、大きめなものを渡されており、緩くしても様になる。(しゃんとする服ではない)。

山佐はサングラスをかけた男用の浴衣を着こなす。どこか危ない雰囲気と安心感を放っている。

ラフツーの服はやんちゃ爺ちゃんっぽい格好。ジジカッコイイという、白ジーンズに青ジャケット。はっちゃけ過ぎている。服だけでかなり若く見える。



「って、春藍は何も変わってないじゃない!!」

「え?だって、僕はみんなの服を選んだから」


まったく着替えていない春藍を見て、すぐに注意するライラ。こんなに周囲に気を配っておいて、自分のことは後回し。

少し悪戯染みたことを思って、即座に命令する。ドレス姿も相まって、女王様だった。


「あなたの服はあたし達が選んであげるわ!1人だけ何もしないのは許さない!」

「えーっ!?いいよ、僕はー!」


こうして、ラスト。春藍の着替えが行なわれそうだった。



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