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RELIS  作者: 孤独
自惚編
457/634

金は全ての存在を計れる物であるため、別になくても良い


『3週間、0円生活です!!』


時系列としては再び戻ってきた。ダーリヤ達がまだやってくる前のところからである。



電子カードの配布、及び全面的な導入に当たって、これまで存在していた金の売買を全面的に廃止しなければならない。

本来ならば緩やかに変わっていくべきであったが、そうもいかない社会の歯車があった。



「フォーワールドを支える財政がもう素寒貧だ」



これまで多くの土地の改革、移民達の人件費及び生活費、唐突に別の異世界へと繫がることによる調査費、防衛費。などなど……むしろ、今までよくぞここまで持ちこたえたと讃えて良いものだ。普通なら財政でこの異世界は転覆していた。


アレクが財政改革のため、電子カードを導入したかったのは触れただろう。


電子カードによる金銭取引が全面的に導入できれば、財政の操作はかなり柔軟になる。容易に仮想の金銭を生み出せ、これまで不払いとなっている全ての金を支払うことができる。


「仮想の金銭とはいえ、金は金だ。ちゃんと払える」


とはいえ、その仮想の金銭がちゃんと金にならなければ価値にならない。通貨と紙幣と同じなのだ。あんなもの、分からない奴がいたら、ただのコインとただの紙切れにしかならない。


「ちゃんと移行できればな」


フォーワールドの存在にする通貨と紙幣が完全撤廃される当日。

ここから3週間は、電子カードの全面導入を行なうため、全ての金がなくなる期間でもある。


行なわれる労働の賃金などの後払いのものは、電子カードが導入されると同時に入るのだが。金の価値がなくなっている状況下で行なわれる取引においては、多大な影響が及ぶ。



「ちゃんと支払いが行なわれるのか?」

「金の価値がないんじゃ、労働の価値も生めない」


土木のような建築や工事、商品の製造、人材の育成、情報伝達など。そういった労働はこの期間、かなり縮小された労働状態になっていった。


「たまにある休みと思えば良いかもしれない」

「ですな」


そのことで休暇という形にもなり、労働でのトラブルは比較的には少なかった。

一方でこの金の価値がなくなったことで、少しだけ喜んでいる労働があった。これからその形がちゃんと成せることは約束され、腕に力が入る。



『あと2時間です。あと2時間で"祭"を開始いたします』



ライラと夜弧など、情報伝達を行なう者達も協力し、全ての住民の耳には入ったことだろう。フォーワールド全体で開催される祭がもう少しで開かれようとしていた。



「ちょっとはしゃぎすぎじゃないか?」

「あんたは嫌いなのか?俺は好きなんだぜ」



農地を開拓するため、人員の護衛の任務をしていたロイと朱里咲もやってくる。二人が狩った魔物をいくつか運んで……



「こちら釣り同好会!現在、新鮮な魚を運び中です!!」

「こっちは採れたてのキノコだよー!」



魔物だけではない。海から、山から、沢山の食材が一堂に集まろうとしていた。祭だからかもしれないが、祭という名前を借りての試食会及び、試乗会である。

農業、漁業などの1次産業に乏しかったこの異世界が、様々な資源と人の手によって開拓された。その出来とその信頼を広めようとこの期間に始めたのであった。



「みんなにはタダ飯と、良い宣伝になるからね」

「焼きトウモロコシ、オイシー」



ライラと夜弧は一足先に祭を堪能。報道という名目で美味しそうな食べ物を漁っていく。アナウンサーとしてどうかと思うが、役目はちゃんとこなしているのであろう。この祭のスタートはかなり良い。

移民達にとっては、ただ客として参加するだけでなく、自分を売るために自分の腕を披露し始める。釣り人であれば海で獲って来た魚を、農業家であれば山で栽培した野菜を、狩人であれば危険な魔物を……。料理人であれば、それらの食材を活かしてキチンとした料理に。工芸を作る職人であれば、料理の皿や箸、さらには椅子までと幅広い。



全てが無料であるが、だからこそ、みんながそれらを堪能し吟味し合う。



「おー、ライラと夜弧が一番乗りか」

「まぁね。ロイと朱里咲が2番」



ライラ達も初日くらいは羽目を外すというか、住民の様子を探るためでもある。フォーワールドを動かしてきた人物も今日、全員がここに集まる予定。

ロイと朱里咲が来たあとは、30秒ほどの間隔でやってくる。


「おやおや、もう来ておられたのであるか」

「まだ全員ってわけじゃないわよ」


ヒュール、山佐、広東、ラフツー。フォーワールドの政治や労働、教育、記録などに大きく携わっている4人。


『皆様、お待たせしました』

「私も自分で歩ける程度には回復しましたわ。これもクォルヴァ様と、春藍くんのおかげね」

「"超人"である君の生命力も立派だよ」

「!良かった!アルルエラも大分回復したのか!いや、良かったー!」

「ロイ様も。大変でしたのね」

『僕もいるからな!若もいるからな!』


アルルエラ、クォルヴァ、若、NM_H。影ながらライラ達やこのフォーワールドの全体を支えてきた4人。



「うわ~~!?」

「ど~!僕の方が早いでしょー!」


とても困った声と、自慢げに高らかな声でみんなの前に飛び降りてきた。おそらく、色んな建物の上とかを走って、跳んでやってきたのだろう。


「僕達がいちばーん!」

「いや、大分遅いぞ。水羽。それと謡歌」

「せ、先生!!山に行っているから遅いって言ってたのに!!」


2人共、この中では幼く小さい。しかし、秘めている可能性は未来に影響を与えてくれそうな雰囲気。謡歌と水羽もここにやってくる。

あと2人。



「2人は来れるの?忙しいんでしょ?」

「誘いを作ったのはアレクであるぞ。であるから、……信じたいのであるが」

「難しいかもね。それに彼は研究ごとに没頭するタイプでしょ?ポセイドンもそうだったよ」



チャキィッ



クォルヴァの背後に向けられる、砲口。ドッキリにしちゃ、かなり本気を出している。



「さすがに来るぞ。クォルヴァ」

「なんで、私の背後をとっているのかな?怖いなぁ~。若の体が焼けちゃうよ」

「もし、俺がこの中で戦うことになるとしたらお前だろうから。その予行演習だ」

「怖いなぁ~」


完全に後ろをとってから、アレクは白衣のポケットにあるタバコを取り出して一服。


「冗談だ。単にお前の実力をちっと調べたかっただけだ」

「あはははは、そうでしょ。冗……」



ドゴオオォォォッッ



アレクの"紅蓮燃-℃"がクォルヴァの半身以上を瞬時に焼き飛ばした。冗談と言った部分は



「予行演習をする気はねぇ」

「アレクーー!あんた、何やってんの!?」

「テメェ、また裏切る気か!相手するぞ!」


ライラもロイも、他もビックリしてしまった。ロイはすぐに動こうとしたが、クォルヴァがすぐに止めた。半身が確実に焼け飛んだはずであるが、超高速再生する。


「ふぅ。私の実力を、皆が知って欲しいと……いうわけですか?」

「うわぁっ!?」

「ええええぇぇっ!?」


打たれ強いとか、回復力のあるとか。

そーいう話じゃないほどの力を持っているクォルヴァ。裏方に徹していたが、アレクの行動によってその実力を知らされてしまい、少々照れた表情を晒す。


「とまぁ、詳しくことは後で言いたい」

「そーかい」


なんだかんだで、最後にやってきたのは大きな袋を4つほど抱え、息を切らしながらやってくる。


「アレクさんも、水羽ちゃんも、謡歌も早すぎるよ~」

「春藍!あんたが1番遅いなんて……」

「というか、何を持ってきたのですか?」



春藍が謎の大荷物を持ってきたのであった。




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