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RELIS  作者: 孤独
流行編
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熱いロボット物の作品に気持ちがいかない。操縦者じゃなくて、ロボットを作る博士が凄くね?と思っている自分は捻くれていてすまねぇ

対峙した瞬間、心がどのように動くか。人間は昂ぶっただろう。

しかし、機械は命令を待っている。自分を造り上げてくれた博士の指示をただ待っている。耳を澄ますように、爺はまず確認したかった。


「あぁ~~~?聴こえんかったわ」


本当に耳が遠いなら、要求や脅しがあまりにも意味ないじゃーないですか。


「魔物風情が、人語を語った気がしたが?」


琥珀博士の視界にも映った、緑色の煙。それがアンリマンユの体勢を一時的に崩した正体と一目で見抜いた。



「アンリマンユ、奴を消せ。戦闘モードだ」

『了解シマシタ』


アンリマンユ、メテオ・ホール共に。同じ『』を使うから、やりづれぇだろうが。だから、テメェ等との対決を望んじゃいねぇんだよ!



『事情など知るか』



メテオ・ホールは自らの体を拡散させていき、アンリマンユの右足を囲んでいく。アンリマンユの、圧倒的な巨体には驚かされたが、ただデカイだけと判断した。

アンリマンユの前では全てが小兵となるため、致し方ないが。片側さえ潰せば脆く崩れると読んでいる。



ドオオオォォッッ



「ぬうぅっ」


アンリマンユの右足で起こる大爆発の連発。極太で超重量である足が大きく揺れ動くほどの威力。これには琥珀博士もたまらず、アンリマンユの頭上から内部に侵入することにした。


「やれやれ、振り落とされたらかなわんな」


しかし、まだ操縦席でアンリマンユを操作しない。そもそもぶっちゃけると、運転は苦手。初めから生めこんだプログラミングで戦う方が強いと判断している。サポートに徹するだけで十分だと、琥珀博士は思っている。



「やられてばかりでおるんじゃないぞ!」


檄に命令は込められていない。ただ、このままやられているわけじゃない。自分の造り上げた物なのだから。


アンリマンユは右足に纏わりつく、メテオ・ホールを振り払うように右足を高く上げた。まるで、相撲の四股をとるような動きだった。



『無駄だ』



しかし、メテオ・ホールは気体。物理攻撃にはほぼ無敵である彼を振り払おうというのは愚策であり、無謀。現時点の情報ではアンリマンユがメテオ・ホールを潰す手段はないと言って良い。

一方でメテオ・ホールの攻撃の方も、化学反応による爆撃攻撃でアンリマンユを倒そうと目論んでいるが、




シュウウウウゥゥゥ



『硬いな』


やはりこの巨体を支え、動いているだけに頑強過ぎる。

単純な爆発では大きな損傷を与えることは難しい。お互い、五分に思える戦い。アンリマンユの外側から煙しか発生しない状況。

突き上げた右足を一気に地上に振り落とすアンリマンユ。大地は激しく揺れ、震動だけで多くの家屋が崩壊していく。しかし、メテオ・ホールには当たらない。ここで琥珀博士も気付く。



「こやつ、攻撃を受け流せるタイプか!?ちっと面倒な魔物だのぅ」



今まで多くの異世界を破壊した力でも、殺すことが出来ないメテオ・ホールに備えられた耐性。気体を踏み潰すといっても、拡散していき逃げられる。おそらく、地面の中にも入っていけるタイプだと一瞬で判断する琥珀博士。



「しかし、それも学習になろう」



当たり前にやってきた攻撃手段が通じない。

その状況であっても、揺ぎなく造り上げたアンリマンユへの信頼は厚い。



『爆撃の効果は薄いか』


メテオ・ホールは元々、アレクのような超火力。あるいは桂の"雷光業火"のような、攻撃力が抜きん出ているわけじゃない。メテオ・ホールはここまで藺と共に行動し、出会ってきた強者達と見て、自身の驕りを見直した。


『ならば』


元素を操り、自らの体も元素となって様々な攻撃に対処ができる。

その利点を自らの攻撃に置き変える事で、自身の攻撃が圧倒的な力で抑え付けるものではなく、多種多様な攻撃手段で敵の防御の隙を突くというタイプであることを強く自覚した。


ただの爆発ではなく、熱でもなく、

しかしながら、焼き付くすのと同じくらいの性質を持った溶かし。



『酸で溶かされることに余裕でいられるか?』



自らの体を強酸にし、アンリマンユの体を崩しに掛かる。さらに多様に行く。



『サビるのは大丈夫か?』



様々な攻撃を駆使することで相手の対処を遅らせ、動揺を誘う。機械相手に動揺などないと思えるが、エラーは発生する。



「むっ、右足の動きがおかしい!なんの攻撃をしている!?」



爆撃であったらその衝撃でしかと琥珀博士に伝わるが、酸による分解はとても静かで強力な攻撃であった。また、体にサビを作られて、動作が1テンポ遅れていく。

圧倒的な巨体の片足が、もう少しで再起不能になる直前。攻撃されている右足以外は素早く体勢の安定のため、二足歩行から四足歩行にチェンジする。



「このままじゃマズイのぅ、格闘戦に勝ち目がないとは……」


焦りというより、気の乗らないような発言の仕方。



「ワシの戦い方じゃないが、言ってられんか」



琥珀博士がアンリマンユに命令を下す。

メテオ・ホールに攻撃されている右足を切り離そう動き始める。格闘のみで、異世界を滅ぼせるデカさとは異なる戦い方を強いられるため、琥珀博士は気が乗らない。

アンリマンユはただデカイだけではない。その中に様々な兵器が内臓されている。巨体さもあって、数多くの種類と質が詰められている兵器の数々。



「弱者を踏み潰す事に快感があったのに……」


まだ物々と、気が乗らないことを言いながら、アンリマンユを戦闘モードから兵器モードへの移行させる。


「炎か?毒か?冷気か?電撃か?ガスか?風か?光線か?」


どの兵器でメテオ・ホールを試し撃ちするか、悩みそうな顔をしてやることはいつも決まっているだろう。普通に全押し、


「全て行くんじゃ」



とりあえず、切り離した右足に搭載されている兵器を全て起動させてしまう琥珀博士。右足だけとはいえ、街よりも巨大な太さに空に届いている高さを持つ脚だ。どれほどの兵器が搭載されているか、製造者なら分かっているもんだ。



『!穴?』



アンリマンユの右足の部分に突如、無数の穴が空き始める。何かが来るとはメテオ・ホールには分かる。

しかし、分かったからとて


「大きいことはロマンよ」



あの琥珀博士が、チマチマとした兵器攻撃をするとは思えない。

爆発にすら全て巨大さを求めるだろう。



「これやると、アンリマンユも半壊するからしたくはないんじゃ」



熱い輝きを放ちながら、内側から感じられる衝動。

避けることすら不可能になるのが、大きいというロマン。



「ま、異世界は潰すからよしとするか」



大爆発の音と白くも禍々しい光がこの異世界の全てを覆い尽くした。



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