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RELIS  作者: 孤独
流行編
446/634

自分にしては珍しく完全なる人外同士の対決なんだが、あまり望んでいない。なぜなら人間VS人間が好きだから。


藺とファシムの対決は終わっていた。残った任務はファシムの人形から、藺の部下にさせるという任務だけ。

立ちはだかる障害は、残り2つであるのは間違いない。



「な、な、なんだあのデカイ生物は!?」



アイゼリア合衆国の軍隊を保有しているグイ軍団長もその一つ。その彼が今、見上げて恐怖している相手がいた。彼が恐怖することは、他の住民や軍人にとってはそれ以上の衝撃であるのは間違いない。



「ははははは!まだ手と頭だけだぞぉぉっ!?」



琥珀博士とアンリマンユの出現はそれだけの衝撃。


「それ!足を出すんじゃ、アンリマンユ!!」


完全なる侵略への一歩。そして、全てを壊し尽くす進撃。

異世界と異世界の狭間を物理的に破壊し、繋げて踏み出してきた左足。のっそりと動きながらも、その巨大さは異質としか言えない。


「ま、町どころの騒ぎじゃないわよ!?」

「なんですか!あの大きさ!?しかも動いているなんて!!」


足一つとっても、この城下町に城を含めても足りないほどの巨体。雲に届いている頭部。振り上げれば天を越えそうな腕の長さ。


「随分と、やはり小さいのぅぅ」

『キュインキュイン』


琥珀博士とアンリマンユの目的は、この場においては完全なアウトローである。"アルテマ鉱石"を製造できる、山羊波春狩の確保が主に任務である。しかし、その任務にダーリヤの介入はなく、完全な私情で動いている彼だ。


「話をしやすくせい」


アンリマンユを操作し、彼が目に付いた場所に攻撃をしかける。

単純な拳の一発。しかしながら、その掌ですら街一つを完全に握り潰せるほどの巨大さ。標的というより、目標という形で捉えた。アンリマンユが動き出す、



「ちょっと、嘘でしょ!?」

「まさか……」



その巨体が動くというだけで絶望感は増す。アンリマンユの広がる手が、まだ地上にいる人間の視界に捉えられていないどこかの場所を狙っていた。


「そこには街がある!」

「止めろ!!」


地理のある住民達からすれば、悲観ばかりだった。アンリマンユに狙われた街にいる人々にとっては、恐怖と発狂が繰り返されるだろう。


「やるんじゃ、アンリマンユ」


命令されれば忠実に行なう。指示されたことは地面をこの手で押し潰す事。



ドゴオオォォォォォッッ



「おおぉぉっ」

「ぎゃあああ」


震動、粉塵、衝撃、轟音、悲鳴

たった一発で街が押し潰され、その余波で大きく周囲に影響を与えた。人間すら確認できない距離の高さまで上がった掌。手にくっついた街の残骸がボロボロと地に落ちて行く光景が、助からないという決め付けになった。

場は、琥珀博士とアンリマンユが支配した。小細工など無用と伝えるやり取り。

操り人形?洗脳?嘲笑うしかない。



「おやおや、このデカさに押し黙ってしまったかのぅ?」



心を動かすのは恐怖だ。恐れから逃れるため、行動を起こす。そう伝えるようなアンリマンユの破壊力。

恐怖に押し黙ったこの世界を見て、琥珀博士はこのアンリマンユに匹敵するような巨大な声で質問した。無論、馬鹿デカイ声を発せられる科学を使用している。


「私の名は!!琥珀巨星!!そして、この最大の"科学"はアンリマンユ!!」



デカイ姿にデカイ声。

単純な威圧を真っ当に受け取ってしまう状況。琥珀博士とアンリマンユの出現にその姿と声に、全ての感覚を向けてしまった。


「ここに"アルテマ鉱石"と呼ばれる資源はあるかのぉぉぉっ!?」



その質問に反応したのは2人。特に、その資源を作り出す技術を持つ山羊波は言葉を発した。



「え?何、もしかして私を捜してるの?」

「山羊波さん。知り合いなんですか?」


レモンも尋ねるが、山羊波は当然首を横に振る。管理人がいた頃は家族もやっていたことだ。その中の顧客の1人なんだろうと解釈する。

しかしながら、



「おらぬのならば!!ここに山羊波春狩という女が来ておらぬか!?」


さすがに爺に名指しされると


「ぶはあぁっ」


山羊波も吹いた。


「"アルテマ鉱石"を製造できる人間はもう、山羊波春狩という者だけと聞く!!この女がおるのなら差し出せぇっ!さもなくば、この異世界を壊してくれよう!!」



なんちゅう脅しだ。こうやって、琥珀博士とアンリマンユは侵略していく異世界を破壊して回ったのだろう。


「さぁ、早く差し出すのだーーー!!この異世界を壊されたいのかーー!?」


しかし、この脅しにはまったく意味をなさなかった。琥珀博士とアンリマンユが絶対的とも言えるのだが、そもそもだ。



「私を名指ししてくるとはね」

「ですが、今の糞爺の声と位置が一致しませんね。おそらく」



この異世界にいる多くの人民は琥珀博士の脅しを聞くも、パニックばかりであるし



「ええーーい!!どいつもこいつも貴様等!!ワシの耳に届くくらいのデカイ声を出せんのかーーー!チビ共がーー!」


いや、アンリマンユがあまりにもデカ過ぎる上に、その頭上に琥珀博士がいるのだから声が届くわけないだろ……。脅しや要求がそもそも成立してないんだが。


「返事をするんじゃーーー!」


琥珀博士。怒声を飛ばすも、その声が大きいのだから下々にいる人間の声が届かない。


「あの生き物はヤバイですよね?」

「ただ乗っている爺はアホかボケてるみたいだけど」


声が聴こえない事をいい事に、身柄を要求されている張本人とその仲間はのんびりとした会話を始める。確かにヤバイ相手であるが、緊張感が解けてしまった。


「全身機械っぽいわね。(っていうか、科学って言ってたし)マズいわね、私の"五月病"が効くような相手じゃないわ」


対生物においては、かなりの効力を発揮する山羊波の"五月病"、春藍のような半サイボーグでも効力は変わらないが、アンリマンユのような完全な機械を相手にすればその効力は0。


精神を操作するタイプの能力は、こーゆう相手には無力になってしまう。



「おそらく、特殊な言語による操作を受けていると思います」

「あら、レモンちゃん。あの怪物を制御できるの?」


しかし、アンリマンユの天敵がいる。機械を操作するということは人と同じく、言語がそこに存在している。言語を混ぜて、命令や指令となって体が動く。

その原点を操作することができる、レモン・サウザンドの存在。



「オペラ・クルセイダース」



言語型の科学。不定形。

アンリマンユという巨大過ぎる目標があれば、この遠い地からでも解析が可能であった。アンリマンユの体内に素早く、オペラ・クルセイダースが入り、言語の解析を行なっていた。


「さすがにそう容易く、操作はできませんね。複雑な言語に侵入をブロックするシステムも数多くあります」


ハッキングを始めるレモンに対し、


「じゃあ、私は仕方ないから周りを掃除しましょうか?」



山羊波はレモンを護るため、レモンと自分の外側に広がるように魔力を拡散させ始める。2人に近づけば一気に戦意を抉り取る"五月病"。レモンのハッキングを集中させるためだった。


しかし、問題が2つある。



「なんじゃー!聴こえんなーー!!」


いやだから、お前が降りてこないと会話になんねぇーんだよ!!


「ええーい!暴れろ!アンリマンユ!!」


まず、アンリマンユを止める手立てがないことである。どんな小細工も吹き飛ばす破壊力と巨体。手のサイズが、街よりもデカイとあっては止めようがない。

人の声など、本当に聞かずに好き放題に暴れ始め、多くの土地がメタメタにされていく。



「うわああぁぁっ」

「いやだだああぁぁっ」



プレス。大地と融合するかのような、強烈な押し潰しに阿鼻叫喚の人間。その絵図を高笑っている一人の男。


「ひゃはははははは!!これがデカさの真骨頂じゃわい!!チビは潰れろ!!」


山羊波春狩に出会うという目的すら、単なる暴れる動機にしか思えないほどの戦いぶり。アンリマンユの戦闘能力の高さには本当に成すすべがない。そう思えたが、



「あ?」



だが、城下町とその城はアンリマンユの攻撃から逃れていた。巨大さを仇とさせるような、回避の仕方。


「どーいうこっちゃ?」


平地との高低差が突如生まれていた。アンリマンユの足、手が共に大きすぎるからこそ、それより小さい物を踏みつけることができなかった。



「"ジェンガ"」



アイゼリア合衆国が他と比べて低地であるのは、この男の能力に影響下にあるからであった。大地の高低差を調整できるほど、鍛えられた能力。



「ぐっ、ぐぐぐっ……」

「グイ軍団長!!」

「王子のいる城は無事か!?分からんか!?」


グイ軍団長の存在。

空間内に橋を懸けることができる能力。空間内にいる土地を変型させて、橋を作り出せる能力であり、この空間は上下にとても広くなっている。

今、一定の箇所の土地を大きく下げて、アンリマンユの踏みつけが届かないところまで運んだ。



「ぬぅっ!なんだ、この小さい穴か!?足が深く入らんのぅ!!」


踏みつけをしても、穴の奥に入っていかない。城下町と城を沈めて、アンリマンユからの攻撃から避けるというファインプレイ。逆転の発想。


「地下に作る橋で作った……。長くは持たん」

「そ、そんな!」

「持って1時間くらいだ」


結構長い!!


「今の内に王子の身柄を確保するんだ。地中に、城と繫がる橋を懸けた。急げ!」



もはや、橋という枠に収まっていないだろう。それだけ鍛え上げられた能力ということか。そして、グイ軍団長の疲れも深刻であった。これ以上の橋を懸けられる余力がなく、維持に回らなければいけない状況。


「この私が守勢に入り続けるしかないのか」


相手がどれだけ手をこまねてくれるか分からない。そして、残り時間にあのアンリマンユを倒せる手段を出さなければならない。どう攻略すればいい?

レモンが奮闘している状況を知らない彼等にとっては、神頼み状態であった。



ドゴオオォォォッ



「!?爆発!?」


そんな神頼みが通じたのか、神は民衆の前に現れたのだ。

緑色の煙がアンリマンユの足に張り付いて、大きな爆発を起こした。アンリマンユの足を浮かし、あと少しでその巨体を転ばす衝撃だった。


「な、なんじゃ!?足元から爆撃じゃと!?」



神を足蹴にすればそうなると、伝えるような攻撃であった。

アンリマンユとまともにやり合えるのは、やはり人外。怪物。あるいは神か。


『デカイからなんだ?お前は神なのか?』


その神様。現在の戦績、2戦中2敗。相手が悪すぎるとここは可哀想なことを言ってやろう。本領発揮となるか、この怪物相手に。



『神より偉大な物などおらん』


メテオ・ホール VS アンリマンユの人外同士の戦闘勃発。



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