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RELIS  作者: 孤独
密林編
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アンリマンユ

ひとーつ。



この世でもっとも大きいと感じる事は何かー。



ふたーつ。



全ての生物が理解できる恐怖とは何かー。



みーっつ。



偉大な事は何かー。



「デカイだけ?結構じゃないか!!」



エメラルド・ジャングルを突如急襲した存在。脆くなった異世界を分離していた壁に黒いヒビが入った。隣の異世界から強く押せば簡単に壊れるほど、今はその隔たりが脆くなっている証拠。


魔物達は狩れる存在を狩り、生き延びてきた。それは種族の本能もあるが己を知っていることもある。弱きを挫いて生きることの何が悪い?卑怯や姑息で食い合って何が悪い?

だが、そのような生存競争はあっけなくバランスを崩す。元々、弱いだ強いだ、姑息だ卑怯だ。そーいった思考に入れるのは彼等がまだまともであった証拠。世界で生きられているという少ない証拠。




バギイイイィィィィィッ



ヒビの中から。隣の異世界から現れたのはとても巨大な手。

隔たっている壁をしっかりと掴み、破壊するほどのどデカイ手。



【なんだあれは!?】

【手か!?いやしかし……】

【あんなデカイ手など見た事がない】


次に現れた足はこの異世界に踏み込んで来た。踏んだと同時にあっという間に森の多くの一帯を踏み潰す。わずかにあった土地の高地と低地が均一になるほどの圧力。魔物の死骸など確認できないほどの、巨大な円盤状の足。

襲来した異形の前に逃げ惑う魔物もいれば、勇んで立ち向かおうという魔物で分かれた。


だが、どちらも成ってしまう結末は変わらなかった。



『ブイィィン』


機械音と共に胴体、そして、その顔までこちらの異世界に踏み込んで来たその存在。わりとスリムな体型に見えるが、圧倒的なデカさ故にあまり感じられない。球体の頭であり、全体的に丸みの多いというデザインという特徴も持つ。

高さはこのエメラルド・ジャングルの丸ごと、異世界に匹敵するようなどデカさ。まず迫力よりも、そのデカさで敵わないと悟れる。


【………ッッッ】



鳳凰を始めとする、巨大な体躯を持つ魔物達が見上げるほどだ。山頂から見上げるほどの馬鹿デカさ。ありえる巨体か!?




「どわははははははは!!小さい異世界だのぉぉっ!」


管理人最大の体長を持つ、蒲生ですら蟻のような小さいサイズとして捉われるほどの巨体であるのは間違いない。


「我がアンリマンユのデカさを超えられる者などおらぬわ!!」

『キュルルルリリン』



魔物達にとっては、アンリマンユしか認識できないだろうが……。琥珀巨星もその頭上に乗りやってきていた。

圧倒的なデカさを持つアンリマンユの特性を活かし、内臓している兵器など一切使わずに右腕のみで、大地を激しく叩き始めた。たった一発で異世界全土を揺らし、いくら走っても逃れられない手であると分からせる巨大さ。

全ての生物の戦意や希望をへし折る体躯。



逃げるも戦うも無意味と分からせるど迫力。



「琥珀め。やりすぎは気をつけろと言ったろうが?私を敵に回したいのか?」



ダーリヤは勇浪を抱えて琥珀のところへ向かおうとしていた。

圧倒的な巨大さを持つアンリマンユだが動きは鈍い。とはいえ、鈍さをカバーできるほどのデカさだ。ダーリヤが異質過ぎるだけである。



ダァンッ



ダーリヤはアンリマンユが振り回していた右腕に乗り、なおも暴れる右腕に対応しながら駆け上がっていく。


「琥珀博士!!俺を敵に回したいのか!?」

「かかかかか、苦しゅうない。お主がその程度で敗れるなんざありえん」

「それは嬉しい言葉でもあるが、限度を考えろ?」

「ふははは、悪かったのぅ」


いつか我のアンリマンユが貴様を殺す。そーいうデカイ野望もある。正攻法ではこやつに勝てんかも知れんし、ここでくたばれば自由に暴れられる。

我が全てを支配し、"無限牢"を越えるような規模を持つ存在を造り上げて見せる。前人を超えるのが現在に生きる者の役目だろう。



「以後、気をつけるんだな。何度も言っている気がするがな」


琥珀博士。私が貴様を殺さないとでも思っているのか?人類は進歩し続けなければいけない。可能性を失った者は誰であろうと処分する。

お前であっても、私であってもだ。

管理人を失った全ての異世界には今、全てを纏める一人の支配者が必要であり、人類を導く者と歩める人類の構造が必要なのだ。


異端にも禍々しく、飢えた猛者共を縛る者。


私はその力を統率し、異世界を一つにする。




ダーリヤと琥珀が合流したところでようやく、このエメラルド・ジャングルの異世界が彼等に出す答えを決めたようだった。

明らかな負け戦。無謀。それらを理解しても立ち向かうのが野生の本能。

アンリマンユに敵わずともその体躯を自慢できる魔物達は、言葉を知らずとも意志を合わせあった。災害や難敵に向かい合うことで一つになった気持ち。

抗いを続けると決意した答え。



【生きるために我々は戦う】

【自然界のルールは絶対だ】



圧倒的に強い奴がいるのなら、集団で襲い掛かることも利巧な判断。卑怯も姑息も、あったもんじゃない。強さとデカさを前にしたらなんだって生きてやろう。自分らしく。



「無駄じゃのぉぉっ~」

「琥珀博士。あんたが始末を付けるんだぞ」



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