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RELIS  作者: 孤独
友達編
411/634

強さか群か

雨が当たった人の体温。



「敵がいる。1人だけね」



雨に混ぜた自分の魔力で、敵の数と大まかな位置を特定するライラ。


「1人!?」

「雨の届く範囲内だけでよ。安心しないで。まだいるかもしれない」

「いえ、安心ではなく……」

「さっきの子と同じく、強いってことでしょ」


数で上回っていてもそれに緩みはない。夜という時間、ライラ以外は視界の悪さが懸念される雨という環境。障害物と大地の高低差。


「敵が地理に詳しいと厄介ね」


ま、だからといって天候まで詳しいわけないでしょ。

隠れながら戦うなんてズルイ奴。そーゆう奴、メチャクチャ好物。



雨は決してライラの驕りを悟られないよう小降りのまま。しかし、膨れ上がり始める雷雲が朱里咲の上空で発達していた。暗闇の中、前後左右の確認に気がいる状況で空への警戒は薄くなる。



速攻かつ閃光。



「"飛雷雨"」



稲妻の雨が、朱里咲の周囲を覆いつくし木々を焼き払う。光った瞬間にはもう終わっていた。

気付けない奴はこれで終わる。



「!まだ生きてる!」


手応えを感じられなかった。完全にタイミングを読まれていたと、発動後。皆に伝えるライラ。4人との間合いはかなりあったが、予想以上のスピードとライラの雨には触れず、接近してくるルートも最善を通る。



「危ない!」


アルルエラが目の端で捉える。鋭く尖ったいくつもの小枝がこちらに向かってくる。正確にライラと夜弧の急所を狙っており、相手にはしっかりと我々の姿が確認されていたことを証明している。

自分と同じ、"超人"。飛んできた小枝を全て無傷で掴み取り、仲間を守ってみせるアルルエラ。



「家政婦は違うか」



朱里咲が今一度ハッキリと、敵を眼前に捉える。

4人が固まり、背を合わせていた。基本通りのチームプレイ。だが、飛び道具でアルルエラの位置をずらした。



「!はやっ」



夜弧の左から出現した朱里咲。それも目を疑うほど、這っているような超低空の姿勢からの突進だった。拳銃を構えていても、発砲すらできない。



バギイイィッ



「くっ!」

「ほぉーっ」



拳銃を盾に朱里咲の蹴りから守るも、その威力に苦悶の表情を作る。

自ら突っ込んできてからこの攻撃。メチャクチャ速い。動作が洗練されている事が分かる。



「意外だ。女だったのか?」

「そっちもね!」


唐突の接近を許した。いくら屋外とはいえ、この距離では"ピサロ"の使用は難しい。味方を巻き込む。……さっき、春藍を捨て駒にしたって?気のせいだ。

ライラも負けん気で朱里咲の顔目掛けて、拳を振り抜いたが。

完全に見てから避ける動作に移り、あえて振り切ったところで。朱里咲はライラの顎を跳ね上げるアッパーをかました。

その一発だけでライラは宙へと浮き、一回転、二回転と縦に周る。


「!」


春藍の右腕が銃火器へと変型。殺意を出し、朱里咲に向ける。彼の動きは、まだ遅い。目をやったのは事実だが……。

朱里咲の顔は飛び道具をキャッチしたアルルエラをまったく見ていない。彼女の攻撃をサポートするための、春藍なりの陽動。アルルエラはお返しとばかり、先端が尖った小枝を背後から投げつける。



見えていないし、見る気もなかった。



朱里咲の右腕が滑らかで、水のように動いているところをアルルエラは恐ろしく感じ、見てしまった。

投げられた武器を見る事もなく、朱里咲と出会うまで掴むことすらできない姿勢ながら掴み取る。背中に目があるのかと確認したいほどの神業。



「っっ!!」



この存在が発している強さ。ハッキリと異常。そして、彼女の間合いにいる自分達は死地だった。たまらず、怯えるようなローキックを繰り出したアルルエラ。



グニャアァンッ



「えっ!?」


春藍が一瞬、朱里咲を見失った。さっきまでそこにいたはずの存在。



「いかんなぁ、サービスのし過ぎだ」


柔らかいというレベルじゃない。物質じゃないと言った方が良いレベルの軟体。アルルエラが放ったローキックの足に、体全体が絡み付いている朱里咲がいた。

自分の間合いに入った瞬間、全ての敵を支配するような強さ。



メギイィッ



「!!うあぁっ……」

「同性は殺さない主義だ。しばらく、寝ていてくれたまえ」



足の骨を瞬間に極められ、折られるアルルエラ。同時に朱里咲は素早く立ち上がり、春藍と向き合った。瞬間が遅いくらいの攻防。この人は、先ほど戦った存在よりも


「強いですね。いきなし反則です」

「メカに興味はない」


奇妙にも左腕が再生していっているところをしっかりと捉えている朱里咲。そのしっかりは、春藍にとっては一瞬過ぎるもの。

防御を行なうよりも速く、すり抜けるように自分の顔面に突き刺さった朱里咲の拳。水羽の拳と同じく弾き飛ばされる。



「顔はやはり生身か」


春藍の傷口の跡。おそらく、水羽の攻撃だろう。つまり、こいつか。それともこいつ等が水羽を倒したか?



「くっ……頭が……」

「大丈夫?」



当然、水羽と交戦した存在が弱いわけがない。奇襲、急戦でボロボロと崩れる奴等ではないことは分かっている。数で勝っていたからこそ、全員が生き延びたと言えるだろう。


朱里咲を囲むように陣取った4人。だが、朱里咲からすれば各個撃破が容易い陣形。彼女が攻撃によってそう仕向けた以上、彼女の有利は確実。



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