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RELIS  作者: 孤独
友達編
409/634

知ってか知らずか

強すぎる者同士。そのどちらも戦った時。どちらも勝つ事はありえない。


『な、なぜだ………』



世界を知り、敗北を知ったのはメテオ・ホールの方だった。

"超人"を無力化できるはずの、打撃の受け流しがこの朱里咲との相手では効果がない。完全にそのコツを見抜かれ、無力化されてしまった。

回避を失ったメテオ・ホールはただのデカイ的でしかなかった。



『人間ごときが』


足止めにはなった。しかし、藺達が戦えず、逃げてしまった事実を知るのはまだ後だった。そちらの戦況を知る余裕もなかった。



ギュウゥゥッ



煙のような気体になっているメテオ・ホールは何度も朱里咲に捕まった。

彼女の体に触れるだけで気体という性質になれない。



「お前が私より弱かっただけだろう」



"軍神"によって、朱里咲は巨体で掴みにくいメテオ・ホール自身を武器として扱っていた。武器として扱い、それを大破させるだけの攻撃を繰り返してきた。

すでに拳だけでなく、蹴り、投げ、絞めなどの多彩な技を受け続けたメテオ・ホール。痛みを知り反撃の気持ちが失われかけていた。



『はっ、はっ……』

「お?」


メテオ・ホール。ようやく、心が折れたか?それとも生き残る術を求めたか?

今まで一つの煙となって朱里咲に襲い掛かったが、散り散りに分かれ始めていく。自分の体を割って逃げれば、その肉体のみでしか攻撃する取り得がない朱里咲から逃げ切れる確率は上がる。


『はぁっ、はぁっ』


藺のクソ野郎が!!我をこれほどの化け物と戦わせるとは!!



メテオ・ホール。逃亡中、藺に怨み節を何度でも言った。なんというババをやらせてくれた。もうあいつ、死ね。あいつを殺してやる。



「…………」


この判断。本人に自覚はなかったが、メテオ・ホールが逃げるタイミングとしては最適ではあった。


「勝負は預かろう。もう一度、会ったらまた手合わせをしたいものだ」

『一生するか!!』



朱里咲とメテオ・ホールの戦場からでも、事態が急変していることは朱里咲の勘が伝えていた。そして、奇妙な雲が見えてきていたのも事実。丁度、ライラが水羽と戦っていた時だ。

全力で朱里咲が踵を返すように本部へと戻ろうとしていた。




「何かヤバイことが起こっているのは事実だ」



行きよりも全力で走った。状況が見えてくれば、より速く戻るだろう。



「ホントにナイスタイミングですよ。メテオ・ホールさん。いえ、ホントにね」



メテオ・ホールの足止め時間が思った以上に短かったが、これは思った以上の争いが見られそうだった。

情報をロクに持っていないライラ達と朱里咲。藺達にとってはどちらも敵であり、手中に収めておきたい人材。



「お互い消耗してもらうのが嬉しいですね」



メテオ・ホールと朱里咲の戦場を監視する役目の奴隷も配置していたことで、朱里咲の行動をいち早く入手していた藺。ライラの"流氷群"からはなんとか難を逃れた。

仕入れる情報を吟味し、最良の立ち位置を振舞う。



「春藍と水羽がまずくたばりましたか。生きてはいると思いますが……」



扱っていた社蓄もこれで全部消した。少し休む、藺。働きっぱなし。



「奴等には情報収集を行なう能力を持つ奴はいない」


上空からの目には気をつけなければ。森や洞窟といった場所に入ってこれからをやり過ごせ。あれだけライラが派手に暴れたところを朱里咲が見れば、2人の戦いは必死。私がここを荒らしたとバレなければ良い。




ガラアァァンッ



「出てきなさーい!春藍!」

「無事ですか!?」



ライラ達は今。状況を確認しながら、"流氷群"によって埋まってしまった春藍の救助にあたっていた。アルルエラが氷塊をどかしながら、春藍が埋まったとされるポイントを探っていた。


「だ、大丈夫だよーー!でも、今。体を修復してるところだから自力じゃ無理なんだー!!」

「分かったわ!でも、世話が焼けるわね」

「ライラちゃんが言う?まったく、氷塊をどかすのは私なんですから。ね!」



順調に氷塊をどかしながら、春藍の救出を目指すアルルエラとライラ。


「夜弧ーー!何か見えないー!?」

「悪いけど、ライラ!ハッキリ言って、あなたが暴れ過ぎなせいで何も分からないわよ!この周りは森や山ばかり!藺達の姿はもちろん、人もいやしないよ!」



夜弧は氷塊の山の一番上に立ち、周囲を調べていた。


「あなたが潰したここがどうやら街っぽいところなのは確かね」

「でも、人がいないのはおかしいんじゃない!?化け物ならいたけど!」


色々と知りたいことはある。


「あの藺とかいう男は私がぶっ殺す。絶対に殺す」

「……それも目標にいれたいですが、謡歌ちゃんがいないのも心配です。やはり藺に囚われてしまったのでしょうか」

「それよりどう戻るつもり?私達、若の"ディスカバリーM"を奪われているのよ。連絡手段もないし」


藺が先手を打って街の人々を回収していたおかげもあり、自由にできる時間をライラ達は手にしていながら、情報を得られなかったのも藺にとっては都合が良かった。彼女達はまだここがどこか分かっていない。今後の進展に対しても後手後手になるのは間違いない。



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