表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
友達編
408/634

ヒロイン、主人公を捨て駒にする

ボロボロだと見えて分かる。しかし、それを知らないでいる。水羽はただの器。



「きゃはは」


全力で動き続けられる。体内に掛かる負担を何も知らないでいいからだ。

水羽の体を強制的に動かし、全ての敵を殲滅するまでのミッション。その敵の判断は鈍いまま。



「春藍!」

「3人は下がっていて!!」


春藍の言葉を少しだけ安心して受け止められるライラ。状況は大きく変わっている。夜弧、アルルエラの2人も連れて、ライラは上空へと逃げていく。



「一旦退避!夜弧、アルルエラさん!戦況を確認してください!」

「分かりました!」

「ライラは!?」

「春藍を援護する!空中戦なら私に勝てる奴なんていないわ!」



敵正体が分からないのはライラ達も同じだ。ただ、わずか1分ほどの死闘で狙いは春藍に絞っていたこと。



「うぁっ!」


春藍。最初は面を喰らった攻撃だったが、冷静に向き合えば不気味に見える少女は怪我人。重傷者だ。相手の攻撃に付き合わず、水羽の攻撃を避けることに徹する。回避されることと防御されることには差がある。

スピードはあっても、動きは読める。



「はははははは!?」

「デ、デタラメな攻撃ばっかりだね!」


ロイの素早い連続攻撃とは違い、大振りの攻撃を連続で速く使っているパターンをとっている水羽。



ドオオォンッ



「えっ!?」


水羽。右足を大きく踏み込み、地面に太ももまで突き刺さる。これでは水羽が動けないはずだ。

予測不能のパワーが成せる常識外の攻撃。右足を主柱のように扱い、地面を素早く蹴り上げる。床をひっぺり返すような技だった。普通に両手でやれよ。春藍の両足がつく大地は崩され、彼は投げ出されていた。剥がされた地面が壁となり、春藍の目から水羽を隠した。



視界から見失った水羽。春藍は狂気の声からやってくる方向を察知する。

左から周りこむか、右から周りこむか。



「君なら」


投げ出されながら左腕からバズーカを取り出し、背中が地面につく前に構えた。

剥がされた地面は瞬間に弾け飛ばされ、春藍にも被弾していった。


「正面だよね」


水羽が蹴り上げた地面を砕き、真正面から春藍を殺そうと来た。そこへ構えていた春藍の攻撃は想定もしていなかっただろう。いろんな意味で。

"機械運命"に内臓されたバズーカが水羽をさらに焼き尽くす。圧倒的な戦闘能力を持っていても、その脅威は拳と足の間合いくらい。やや離れた距離で戦えば優位に立てる。




「いぎぎぎぎいいぃぃっ」



直撃した爆発。しかし、水羽はこれでも止まらない。体が燃えながらも春藍へと詰め寄って、左腕のバズーカを掴んだ。


「え?」


説明不能。ボロボロになっている肉体で、"科学"が壊されるという事実。



バギイイィッ



水羽は素手で春藍の左腕をもぎとった。ダメージ知らずの攻撃に春藍も、これにはキョトンとした表情を浮かべる。唖然が多い。


「あ」


その呆けを逃さず、水羽。今度は大きな口を開けて自ら、抜き取った春藍の左腕の傷口に目掛けてかぶりついた。強靭な顎の力、歯の強さ。破られる音は手で千切る紙とは違っていた。




バギイイィッッ


「っっ」

「ひゃはははは。お前もそれで生きれるの?」

「……ライラ達だったら、死んでたよ」


狙いが自分で良かったとホッとしている春藍。完全に左腕、左肩を水羽に奪われてしまった。今まで鈍かったが、死の恐怖も感じてきた。それでも冷静に、落ち伝いて相手と会話を始める春藍だった。



「君を倒して早く修理しないとね」


失われた部分を、"テラノス・リスダム"で一時的な修復を始める春藍。圧倒的な耐久力と、圧倒的な修復力で分野は違えど、お互い簡単には死なないタイプ。

気が合いそうな戦い方かもしれない。



「春藍!!巻き込むわよ!!」

「え?」

「ひゃは?」



ライラは春藍が水羽を足止めしたおかげで十分、攻撃に集中できた。援護ではなく、完全な攻撃。


「あの、僕も巻き込む気?」



"テラノス・リスダム"を起動させて修復は万全なんでしょ!?

なんとか私の攻撃を耐え切りなさい!!


「酷いや………」



覚悟を決めた感じだ。



「流氷群!!」



避けれることは不可能な氷の軍勢を空から落としていくライラ。その範囲とその威力は絶大であり、どんな存在も押し潰すだろう。積み上げられる氷の山々。


「ぎゃはははは、ははは……」


水羽も最初こそは落ちてくる氷塊を砕いていったが、すぐに力負けする。数でも圧倒的な差がある。ムシケラのように氷塊に潰される水羽の狂気の声が止んだ。



「よーし!とりあえず、倒した!」

「ライラ……あの。春藍様は無事なの……?」

「彼も直撃してましたよ」



"流氷群"が止んだ時、全てが氷に押し潰された景色が広がっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ