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RELIS  作者: 孤独
友達編
407/634

春藍達 VS 水野水羽


長い悪夢を見ていた。

良い夢よりも悪夢は頭にこびりつく。執拗にこびりつく。



「かはあぁっ!?」

「ぷはっ!?」



水の底。水圧に潰され続けた気分。そして、急浮上し体がパンクしながら空気を取り込んだような。



「はっ……はぁっ……」



春藍慶介、ライラ・ドロシー、夜弧、ジャン・アルルエラ。帰還。

死んだ場所から生き返ってきた。


「はっ……はっ……ライラ、無事?」

「あ、当たり前でしょ」


体の自由と、無力感から解放された。そして、自分の体にしっかりと備わっていた力。あの場所では使えなかった本来の能力が戻っている実感。


「"ピサロ"が使える」


しかも、見上げればライラの土俵である外。やられた借りは必ず返す。立ち上る雲と暗黒の殺意はすぐさま、



「藺とかいう男!!必ず、まだこの近くにいる!!私の"ピサロ"で絶対にぶっ殺す!!!」



屈辱と恥辱は殺しても収まりきれないものだった。



「お、落ち着いて!ライラ!」


夜弧もまた乱れた気持ちも作ったが、最後に言っていた藺の言葉を覚えている。


「私達の今を確認するのが先!!あの人、藺は何かがいると言っていた!」

「ええっ!?なに!?それが!?」


ライラは激昂。今、この場にいる誰もが言葉を投げかけても止められそうにない怒り。その気持ちは良く分かっている春藍達でもある。

だが、そのライラの剥き出した殺意が怪物を呼び寄せるきっかけとなったのは確かだった。



「かっっぎゃぎゃぎゃ」


ライラの頭上から突如、四つん這いで跳びかかって来た獣のような存在。



「!」

「危ない!ライラ!」


その存在にライラよりも早く気付いた春藍が、襲い掛かってきた水羽を蹴り飛ばし、攻撃を防いだ。冷静になって水羽と対峙した春藍。遅れてライラ、夜弧、アルルエラ。



「ひゃはははは!?強い、強い、匂う、臭う!」



少女の形を保ちながらも、畏敬な表情を作り出している水羽。


「この子は、強いよ!」

「なに!こいつ!?」

「構えましょう!」

「致し方ありませんが……」



4人が戦闘体勢をすぐさまとった。水羽がなんなのか分からず、戦うという選択をとらされた。そして、水羽も情報をやり取りできる精神状態になっていないため。出会った存在には問答無用に襲い掛かっていた。



「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」



だが、水羽には微力ながら制約が掛けられていた。

敵の数と正体を確認してまず最初に狙ったのは、



「!僕!?」


春藍からであった。これはアメジリカが女性の異世界であったからこその経験からだった。4人の中で唯一、男であった春藍が一番目の抹殺対象と性格と経験がそうさせていた。



バギイイィッ



「!!」


ロイとアルルエラさんと同じ"超人"。物凄くスピードで、パワーもある!


「うあっ!」


水羽の拳を両腕できっちりと守ったかに見えたが、リアの"機械運命"が簡単に軋むほどのパワー。春藍は水羽の拳に堪えきれず後方へと弾け飛んで、地面に転がった。



「春藍!」


吹っ飛ばされた春藍をすぐに追いかける水羽。そして、あまりに速い動きに反応するだけで精一杯のライラと夜弧。



「ひゃはははは!?」


水羽はライラ達をまったく意識しないで春藍を殺そうとしていた。数で不利もあるだろうが、それよりも男をぶっ殺すという意識が強い。地面に転がる男など殺すのは容易い。



「ひゃ!?」



しかし、それは今まで水羽が出会ってきた男がそうだっただけだ。

春藍の両腕は素早く変型し、銃火器へ。女性だろうと容赦せずにその攻撃を放った。


「ごめん!」


水羽に対して一言。謝罪を伝えた後に。捻りもなく向かってくる彼女を撃ちまくる春藍。大量の血が水羽が吹き出ていく。


「ぎゃばばはははは」


水羽は狂う笑みを見せながら、キツイ弾幕の中を平然と突き進んだ。痛覚を理解できない性格だからこそ、一切怯まずに春藍に速く近づいていく。寝転がりながら銃を乱射している春藍を止めるというより、彼を玩具の如くゾンザイに扱うような蹴りで宙へと弾き飛ばす。



「っっ!」



水羽の蹴り、拳。モロに直撃しながらも耐え切れている春藍の肉体。



リアの体を自分に使っていなければ、もうあの世行きだった。

こんな攻撃。並の肉体じゃ受け止め切れない。強い。今まで喰らった打撃の中で一番強い。



「今、助けます!春藍様!」



と言葉を出し、夜弧が水羽の脳天に向かって弾丸を撃ち込んで見せるも、まったくそれを気にもしない水羽の強さ。


「え!?」


急所に弾丸をぶち込んでも倒れない、タフさが凄いとかそんな次元じゃない。

夜弧を意識もしない水羽。春藍の命が止まるまで、春藍への攻撃を止めない。



「落雷!」


ライラの"ピサロ"から放たれる稲妻も、完全に直撃。宙に舞っている春藍へ足が届かずも、地に転がってからすぐに起き上がる水羽。少し黒ずみ、体にいくつも銃弾によってできた穴があっても、ライラと夜弧には意識しない。


「ひゃはははははは」

「な、なんなのこいつ!?」

「ゾンビ?」

「ですが、相当強い!」


春藍もまた宙に浮いた状態から、上手に地面に着地する。2発しか攻撃を浴びていない春藍の方が消耗している表情を作っていた。水羽は狂気的に笑っているだけであった。




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