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RELIS  作者: 孤独
友達編
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自分操作


水羽の"死屍姫"は不死身に近い耐久力と二重人格を持つ能力である。



本気で戦う際に現れる別人格は、水羽であって水羽ではない。存在する性格は戦闘狂の塊であり、水羽の肉体的な繫がりはない。

元々、水羽の肉体がそれだけ強靭であり、タフであること。

さらに表に出ている戦闘狂の性格は、水羽の甘さと感覚をリンクさせていない。




「あひゃはははははははは!?いひひひひひ!!」



デタラメな戦い方だがメチャクチャ強い。

いくら藺と山羊波、レモンの3人が、水羽からでは確認できない位置で戦っているにも関わらず、勝てる要素をまるで見出せなかった。



「消耗戦は望んでるのですが……」



水羽の別人格は疲労と痛みを理解できない。小さすぎるダメージとはいえ、まったく怯まず、圧倒的な物量の差と毒に包まれてもそれを理解しない。

痛みなど感じずに、水羽の体を戦うために操作するだけ。



「あれは私達と同じ目ですね」

「同じ目ですか?」

「自分がその場で戦っていない」



第三者の介入がある戦い方。

真剣勝負の場や何かを賭けている状況を知りながらも、そのリスクを何も感じずに行なえる動き。ある程度の不安や緊張があっても、それらがあまりにも陳腐であり、楽しさしか感じない。贅沢な位置にいる者の動き。



「テレビゲームで、主人公キャラを操作する、もう1人の主人公の存在って感じですかね」

「て、テレビゲーム……?」

「私なりに分かりやすい例えなんですがね。レモンちゃん達には分からなくてもいいですよ」



"超人"の王くんでもあれには勝てないでしょうね。メテオ・ホールさんは朱里咲の足止めですし。私達でなんとかしなくてはいけないんですか。

山羊波さんの"五月病"が効きにくいとは想定外。隠れながらとはいえ、このまま私の社蓄達を失い続けるのも良くはないですね。



「山羊波さん、アメジリカの人達を使って、"アルテマ鉱石"はできましたか?」

「!藺。あるけど、何をする気……?」

「単なる保険ですよ、ほ・け・ん」


ここまで。

藺と水羽との違いに、戦闘時間の長さがあった。



「それとレモンちゃん、山羊波さんもひとまず王くんのところへ帰ってください。危ないですよ」

「え?」

「戦うのは好きじゃないんですが、良い人材を失うのはどうも私の性格がダメだって言っているんで」

「……藺は帰れるの?王が心配するんじゃない?」

「あららら、山羊波さんも心配してくれるんですね。ええ、すぐに交渉が終わったら戻りますよ」



メテオ・ホールさんの回収もありますからね。あの方も失っちゃいけない人材です。魔物とはいえね。



「ともかく、アルテマ鉱石。できるだけください」

「分かったわよ」



藺は消耗を抑えつつ、ゲリラ戦を展開して水羽まで引きづり出した。

アメジリカの人間達で失った魔力を回復していても、その底も分かる上に彼の根本である人材(社蓄)の数が水羽によって、急速に失われていることに危機を感じていた。

死ぬ可能性は低いが、損害しか残らない結果も最悪は考えていた。



少しだけ登用している人材を甘くみていた。その方が雇うことに意欲が増して嬉しくもあるが。




人材を纏める存在として、失う"だけ"という行いはしたくはなかった。

レモンと山羊波、王の安全を確保してから藺はゲリラ戦や、集団的な戦いを水羽には持ち込まなかった。

水羽を確実に洗脳するため、そして、まだ残り決まっていない人材を確実に洗脳するため。



「私のコレクションをぶつけますか」



大胆に切った4枚のカード。

水羽という怪物を相手にするには怪物しかいない。


「仕方なく、あなた方を解放しますよ」



春藍、ライラ、夜弧、アルルエラ。

この4人を強引に今の水羽と戦わせ、双方大ダメージを負った瞬間に捕らえる作戦。死者が出てもおかしくはないが手に入れられない形は作りたくない。

藺の捨て身の作戦。同時に取引のネタも考えている。





………………



「時間切れですね」


藺の異空間に囚われているライラ達。そこへ現れたのは藺、本人。



「あなたね…………」

「いやいや、私の方ですよ。ちょっと参りました」



嘘だろうと思ってくれても良い。この異空間の中はとても現実のようであり、囚われた者達がムシケラのように成り下がることを痛感する。

精神的な疲労を浴びても、かろうじて自分を保っている4人に藺は話を持ち掛けた。



「取引をしませんか?ライラさん。あなた方5人に、ちょっと巨大な怪物を仕留めて欲しいのです」


ライラ達への依頼。


「ああ。お互いに拒否権はないんですよ?ビジネスに行こうと思います。私、現実でちょっとした怪物と出くわしましてね。これにどーしても勝てなくて、あなた達に戦って欲しい」


話を一方的に進める藺。この異空間に閉じ込めている間だけなら、ライラ達よりも圧倒的に優位だからだ。藺の言葉をまったく信じなかった。する気もなかった。



「どうです?私は、あなた方が欲しがっている一つ。"アルテマ鉱石"とあなた方の自由を渡します。あなた方は、私を助ける。とても良い取引だと思いません?」




と、そーいうことをしっかりとお伝えしてから。

水野水羽と戦いください。



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