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RELIS  作者: 孤独
女性編
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謡歌の挑戦

いちお捕虜の身である謡歌。

それでも彼女が持っている、言語能力と指導能力は高く買われていた。アメジリカのナンバー2である水羽の同伴もあって、謡歌が動ける範囲は日に日に広がっていったのは事実だった。

同時に人々が謡歌の持っている技術力の高さに感嘆とし、ちゃんとした礼儀と優しさ、事実で民衆達を納得させる。


謡歌が決意して1週間の内にやった改革は5つもあった。その代案が容易に出せるのはフォーワールドの改革を間近で携わったからもある。



「安定した金融機関を作ります」


まず謡歌が失望してしまったのはアメジリカ内における、物の価値観のなさであった。

フォーワールドが資源に乏しく異世界を頼っている現状に対して、アメジリカは侵略も相まって資源は異様に豊富だった。いずれ、フォーワールドとの連携がとれればアメジリカの資源力は絶大だ。

なのにアメジリカの住民には資源の大切さが分かっていない。

そもそも金の価値をとても簡単なものと思い込んでいる。



「物資や仕事、報酬、罰、などの取引をより安定させる必要があります。お金の大切さをより知るべき時です」



管理人がいた頃は彼等がしっかりと価値を管理していたそうだ。

この現状が……いや、価値が分かっていない惨状が続けば、お金の意味はなくなり、水羽のような暴力が世界を覆う。一緒に侵略をした仲間と殴り合うというシナリオをいつか目に見えた謡歌だった。



「ちゃんとした金融機関があれば管理人に代わり、物の価値を定められます」



細かな事を実行できるほど、アメジリカの住民はできない。

むしろ、こーいった金融関係はフォーワールドでも相当な人物が管理している。スケールがすでに違うが、まずは仮の存在を作った。失敗しながら学んでいくしかないし、住民達もそれに合わせるための苦労もあるだろう。



「労働の斡旋と捕虜達を含めた、アメジリカの労働です!」


次に始めたのは労働。

基本的に政治関連は朱里咲が務めており、彼女が気付ける範囲内であればしっかりとした労働や管理を行なえたが、それ以外はほとんど手付かず。

戦闘においては指示もなく動ける存在が多い反面、雑務をやれる存在は朱里咲頼みという悲しい事実。

無法地帯となっている土地は多くあった。


「人数が必要です。今こそ、捕虜の解放を行い。土地の開拓です!」


超人の世界であり、科学はそう多くない。

謡歌は人の多さを利用し、数による開拓を推奨した。元々、捕虜がしている仕事はハッキリ言って軽すぎる。囚われている時間の方が長いくらいだ。一生懸命働いている人達の方が可哀想だ。

檻の数も限られており、食の改善も必要。



「住むところ、食べる物。自らの手でとりましょう!」



一次産業の改善。基礎中の基礎から始まった。

謡歌は現場監督のように指示するだけが手一杯であったが、それらのノウハウを持つ住民や捕虜などはいた。上手にノウハウを持つ者の技術を説明し、住民と捕虜達に教えていく。それはもう大変なことであった。

しかし、厳しい1日目を終えればすぐに慣れる者が多くいた。緊張や不安が和らぎ、肉体の負担が減った。



「時間労働制を導入します!」



フォーワールドでは当たり前なのだが、このアメジリカには存在していないらしい。簡単に説明すると、24時間世界が回るように労働を続けるというシステムだ。そうでもしないと、仕事がまったく減らないし住居を上手く回せないからだ。

2世帯1組で、同じ家を半日ごとに貸し借りすることで住居の数を半分に減らせる。一方は家で休息、もう一方は労働をする。

住居が増えればそのようなシステムもなくなるが……。仕事がなくなることはこの世界状況からいって、100年あってもなくならないだろう。

一方で労働の負担を減らすため、勤務時間の固定を徹底させるなどの配慮もとる。12時間勤務となっているが、間に休憩が3時間ごとに1時間の休息があった。


謡歌の指示を実現することによって、アメジリカは1週間の内に目覚しい発展を遂げる。これまで以上に労働者が溢れ、世界が本当に広がり始めたのは言うまでもない。



「人の適正検査を行ないます!」



土地やら労働の改革を行いながら、人材の選抜を始める謡歌。

労働によって現れる疲労を感じさせない驚異的な行動力。フォーワールドとアメジリカの、労働に対しての温度差がある事実だろう。

多くが肉体労働の素質を抱えているが、それだけでは生きていけない。戦場には限りがあるし、常に動き続ける軍隊など一体どんな状況なのだろうか?


厳しい現実であるが、人には適材適所。

軽い仕事、重い仕事。やりがいのある仕事、やりがいのない仕事。仕事を分類することは人を分別していることでもある。ゴミの分別と似たようなもの。

夢なんてない。元々、そーいった希望すら薄い異世界だった。ある意味で言えば自由過ぎるからこそ、価値を知らなすぎたのだろう。



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