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RELIS  作者: 孤独
構築編
370/634

フリーセル

さささささささ。



山羊波は自分の部屋の棚からトランプを取り出し、細かい音を立ててシャッフルし始めた。その手際の良さから相当な達人であるのは明らかだ。



「トランプを使った賭け事ですか?」

「ええ」

「ポーカーや大富豪……いや、ババ抜きとかするんですか?とても普通過ぎます。困りますね~」



真っ当な勝負では明らかに山羊波に勝てるわけがない。

ヤラセなしで相手はもうどう考えても……



「私は言いましたわ。ヤラセはなしとね」

「ですが、イカサマはありと……。あなたが随分と有利なんじゃないですか?困ったものですよ」

「いえ、同等な条件を積みましょう。私、あなたを負けさせるのが楽しいと思っております」



パァンッ



「このトランプ。普通に配り、ポーカーを始めたとしましょう。すると絶対に勝つのは私です」


そう言ってから、山羊波は2人交互にカードを表にしたまま配ってみせた。藺にはブタが。山羊波にはストレートフラッシュが揃っていた。



「あなたは降りる以外はとれないわけです。これを永遠に繰り返せばあなたは負ける以外ない」

「見事な芸当です。こりゃ勝てない」



藺には狙いがあった。

山羊波をこちらの手の者にしたい。この芸当だけでも相当であるが、本来の能力は別。人を石に変えてしまう力の方だった。

レモンを手なずけるのは楽だった。彼女は強いと言っても、1人で生きる術がない。少女というか弱い状態が幸いし、ある程度の言う事は聞く。

しかし、山羊波には権力も、部下も、自分自身の力もある。

王とレモンに、山羊波の部下と権力を抑えさせて。あとは上手い事山羊波を引き抜く。



その手筈だったんだけど、妙な連中が去り際に現れた。

爆発音なども聞こえている。となると、レモンと王が戦っている可能性が高い。



とりあえず、早いところ。山羊波を抑える必要がある。

彼等の目的が山羊波だとしたら少々面倒だ。


「賭ける勝負をそろそろ言ってくれませんかね?でも、ポーカーとかつまらないじゃないですか?」



焦っているが勝てる勝負に持ち込むべきだ。イカサマは自分だけと驕っている山羊波の隙を突く。


「フリーセル」

「は?」

「知らないかしら?」



フリーセルとは、(WIKI参照)

まずジョーカーを除く52枚のカードをよくシャッフルし、左から順に数字が見えるようにして8列に並べる。左の4列は7枚、右の4列は6枚となる。また、これとは別にフリーセル(上段左)用に4つ、ホームセル(上段右)用に4つのスペースを用意する。


プレイヤーは以下のルールに従って、一度につき一枚だけカードを移動することができる。


列の先頭にあるカードは移動することができる。他の列の先頭にあるカードと色が違っていて、番号が置こうとする列における先頭のカードの数字より1つ小さい場合、そのカードを列の先頭につなげることができる。カードがなくなった列は自由にカードを置くことができる。


フリーセルには、カードを4枚まで自由に置いたり、列に置ける場合は取り出すことができる。


ホームセルには、同じスートのカードをAから始まって数字の小さい順に重ねることができる。ホームセルに置いたカードは取り出すことができない。


52枚すべてのカードをホームセルに移動できれば勝ち、どのカードも動かせなくなった場合は負けとなる。カードが動かせても、他の列と行き来するなどの無意味な移動しかできなくなった場合は、事実上の負けである。




「一人用のトランプゲームじゃないですか!!?」


思いっきり机を叩いてしまう藺。フリーセルをマジのトランプでやるという行為がそもそもおかしい気がする。


「ふふふっ、それでも勝ちと負けがありますのよ?クリアできたら、藺さんの勝ち。できなければ私の勝ち。ポーカーなんかよりイカサマがし辛くて公平じゃないかしら?」

「手動でやるの、大変なんですけどね」

「どーです?受けませんか?私がイカサマを仕組むのはまず困難なゲームですよ?」



そりゃ、ポーカーや大富豪といったもので山羊波に勝てるわけがない。

フリーセルは一度山をセットすれば手出し無用。イカサマもおそらく困難。



「寂しいですね~~。できるように並べてくれるんですよね?」

「ええ、もちろん。そうでなければゲームじゃないでしょう?もうここで私はノータッチです」

「っていうか、並べられる根性だけでも素晴らしいですよ」



山羊波がシャッフルし、綺麗に藺の前に並べられるフリーセル。最初からカードを動かせられ、これをゲームとしてひけらかす山羊波。


「難しい問題よ。さー、頑張って」


藺が悪戦苦闘しような表情をみたいがために、真正面からとても嬉しそうに眺める山羊波。

彼女は楽しみなのだ。



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