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RELIS  作者: 孤独
"金の城下街"ゴールゥン編
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リアとインティ、登場

ライラが発生させた雲は外から見れば普通の雲に見えるだろう。

この世界の人間はほとんど、何も特別な素質がなく、音楽という一点だけを極められた人間達が多い。だが、その世界には異質な存在もいた。

静かにして、優雅に、パラソルが設けられた喫茶店でコーヒーを頂いている、高潔なお嬢様の恰好をした青と灰色が混ざったような髪色、左目だけは隠れるように伸びている前髪、毎日丁寧に整えているのが伺えるウェーブヘアの女性。

綺麗好きを現すように白い手袋を填めて、露出しているのは顔とわずかに首だけという姿だ。


「ほぅ」

「リア。あの雲が何かってのが見える?」

「ええ、見えますが?何か?だからなんですの、インティ」



リアと呼ばれる、コーヒーを飲むお嬢様。そして、尋ねた方のインティと呼ばれる少女を見て、リアは雲よりもインティを見てしまう。


「あなたのそのお暑苦しい姿の方が、ワタクシは気になって気になって溜まらないのですわ」

「!いや、その」


インティと呼ばれるこの少女の恰好はあまりにもこの街には似合わない。とんでもなく暑そうな服装だ。顔から少し汗も流れているところも、リアには気になっている。

なぜ雪も積もっていない街中でスキーウェアのような、もっさりとした防寒具を着込んでいるのだろうか?ゴーグルや帽子までつけてるし。それも赤色なんてとても暑そう。



「この世界の平均気温は22度。今は21度ね。あなたなら薄着でいいはずですわ」

「こ、この恰好はその、ウチ。鍛えているから。中の錘を見られたら恥ずかしいし」

「厚着だからこうして目立ち、コーヒーを飲んでいるワタクシにも恥ずかしさが伝わるんですわ。少しはあなたも高潔なる女性としての立場を考えるべきですわよ」

「ウチはまだ少女。それにウチが"それ"をしたら」

「まったく、ホントに忌々しいですわ。思い出しましたわ」



リアが話を切るように周りを見た。

何が起きているか分からないが、特に気に入らないのは自分達、人間達を力という"支配"で押し留めている管理人のやり方。

音楽という分野に秀でているのは素晴らしい事であるし、この街の風景もとても気に入っているリア。ただ許せないのは"管理人"というどクズな存在。



「忌々しきは"RELIS"……」

「リ、リア」

「"管理人"共の失態のせいでぇぇぇ、このワタクシがこんな目に合ったのだわ!!」



リアは椅子から立ち上がると同時に、髪がウニョウニョと動き出し、浮き上がった。さらには赤く体が点滅し始めた。



「"管理人"はぶっ殺す!撃ち殺す!全員ぶっ殺す!チンポやマンコがどこにあるかしんねぇーが、生殖機能もろとも破壊し尽くすわ!」

「言葉が汚いよ、リア。もうやるの?早過ぎじゃない!?いくら、リアが017の管理人を殺った事に自信があっても、数では不利だよ」

「怒りわね!すぐに爆発させる事に美を生むのよ!!数だろうが、管理人だろうが!!この欲求不満感は破裂させないと気がすまないわ!!」



リア達の目の前に通った敵の群れ。

どうやら、ライラが作り出した雲を追おうとしているポリスの群れ。それにリアは標準に合わせた。あれが管理人が使っている科学である事は察知している。



メギィメギィ



リアの体は変型し始め、左腕が剥き出しになると、機関銃に切り替わっていた。

背中からは空を飛び回れるジェットエンジンが搭載され、右目の近くにはライフルで使われるスコープが出現した。その姿は先ほど、お嬢様の姿から進み、暴言を発する女性の姿から進み、辿り着いた地点は完全な女の形をした怪物兵器だった。



黒リリスの一団のメンバーが2人。この世界に現れていた。



リア

スタイル:科学

スタイル名:機械運命

身体に仕込まれている銃火器、兵器を駆使する科学。人間と科学が一体化している型の科学である。



インティ

スタイル:超人

スタイル名:韋駄天

とにかく迅く、長く、移動と行動が可能な超人。




ガシャコォンッ


リアの体内で造られるエネルギー。それをぶっ放す、左腕の機関銃!


”理不尽な人生ばかりリィー・リィー・カタストロフ”ウウウゥゥゥ」



どちらも最大ボリュームで放つ。

ポリス達どころか、街全体に向けられた機関銃は四方に発射され、使われている弾丸も対象物に直撃した瞬間に爆発するという、殺傷能力が高い科学を使用している。

黒リリスの一団の1人、リア。

単純な戦闘力ならば、団長であるパイスーの次に来るほどの圧倒的な戦闘力を秘め、管理人ナンバー:017のユミサを仕留めたほどの人間兵器。

誰よりも"管理人"と"RELIS"を恨んでいる女性であった。




ドガアアアァァッッ



街全体を大きく揺らすほどの衝撃と爆発。上空にいた春藍達の耳に届くほどだった。



「な、何が起こったのよ……」

「見て、街の一部がドッカーンッて吹っ飛んでるわ。火災も起きてる!」

「い、一体なんだろうね。アレクさんじゃないよね?」

「さすがにあんな馬鹿な真似はしないでしょ?」



音楽だけの世界と思っていただけに、このリアの破壊は春藍達には衝撃が大きかった。迂闊に降りると倒されるかもしれない戦力が、この世界にあるのかと感じた。

リアが襲撃したポイントよりも大分離れた地点に、まずは降りようという決断が出たライラ達。


「ひゃはははははは、あはははははは!!サイコサイコサイコサイコサイコサイコサイコサイコウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!幸せな人間共死んでハッピーーーー☆」

「力を使いすぎだよ、リア。せめてそれは管理人と戦う時に……って聞いてないか」



リアの銃撃が終わったとき、周囲に残っていたのはインティのみで、建物も人間もポリスも一瞬で全滅した。

この衝撃のおかげでたぶん、"管理人"の目がこちらに向くだろう。それはそれで望むところとインティは冷静に考えていただろう。


「これからどこ行くインティーーー!!私まだチョー余裕☆まだまだ欲情しきれてないのよぉぉ!」

「リアはこーゆう世界の"管理人"が嫌いだもんね。なら、"ポリス"が追っていた雲の方へ行ってみようか。"管理人"もそっちに向かうだろうからね」

「うーーーーーん、超冷静な子ぉぉ!インティ、あなたの言うとおりに行くわよ!」

「リア。君のスコープは使わなくても平気だよ。力は少しでも温存しなよ。ウチにも出番をくれない?ウチの方が速いから」



唐突にインティはリアをお姫様抱っこする。

とても軽々やってのけるインティだが、機械がいくつも搭載されているリアは言っちゃ悪いが、相当重い。かなりの重量級では済まない重さ。そのリアを抱えてさらに軽々どころか、ライラに雲に追いつこうとするほど、超スピードを起こすインティの身体能力。



「いやーん!インティちゃん、チュッチュ☆」

「ほっぺにキスは止めてよ」

「じゃあ口づけするうぅぅ、舌まで入れちゃうぅぅ☆」

「そ、それも嫌だよ」

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