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RELIS  作者: 孤独
構築編
368/634

山羊波春狩

「おほほほ」



管理人が消失し、代わりの人間が統治する流れ。フォーワールドのヒュールしかり、インターシグナルのラフツーしかり。



「管理人がいない?物資がない?それがどうしたことなのよ?ねぇ、言って御覧なさい」

「当カジノの運営はまだ持ちますが、いくつもの支店は運営が難しくなってきております」

「上客も少なく、盛り上がりにも欠けております」

「計算ではなく、山羊波様もご理解しているとは存じますが」

「この異世界は滅ぶしかありません」



現在、キングカジノを務めるオーナーにして、この異世界を取り仕切っているのは1人の若い女社長。無類のギャンブル好きであり、負けを知らない。

今、バスローブ姿でその面影はちょっと見えないが……。


彼女の名は、山羊波やぎなみ 春狩はるかる



「ならそろそろ"血祭り"を始めましょうか」

「山羊波様!それは……」

「宜しいのですわ~~」



山羊波につく常識的な知識を持つ護衛は4人。


「ちょ!言ったじゃないですか!我々のいる前で堂々と着替えをしないでください!シースルーとか変わらない!!」

「あら不満?そりゃ、私。30を超えたお体。美しさには欠けているのかもしれませんが、まだまだやれるでしょ」

「そーゆう問題じゃねぇし!!」


いい加減、いや。その


「最後ぐらいはキッチリとした身なりでいて欲しいと?当カジノの社長らしくですか?ねぇ」

「その通りでございます。常識的に考えて」

「でも、社長だなんだ言っても。ここが終わるのはもう時間の問題。私達、どうやって死ぬのかしらねぇ」


真っ当な服を重ねていく山羊波。護衛達にはなかなかお世話になった。

そーいった礼もあるのだろう。

自分専用のセンスを広げながら、仰ぎ。そして、語る。


「華のあるギャンブルをしてきた私は華のように散る。貧民の、生き続ける心理は私には理解できません。人生とはギャンブル。この地に降り立てたから、その運命は必然」



刺す志は確かなもの。言葉通り、華のある生き方かもしれない。



「派手にみんなで死にましょう」



薄々は住民達も知っているのだろう。景気の悪化。悪質なギャンブルによる憎悪の増し。イカサマの悪さがどれだけのものか。

娯楽は生きるにおいては不必要なもの。生きるに満足でき、楽しむを求めたときに必要なだけである。



コッコッ…………



キングカジノの開店と同時に入って来た藺と王、レモンの3人に詰め寄る奇妙な刺客達の罠。



「あらら?囲まれてますかね?」

「みたいだな。メテオ・ホールがいねぇのにどーするつもりだ?」



イカサマではなく、彼が完全なヤラセをしていたことは山羊波には分かっていた。

その罰を与えるつもりか。



「藺様、レモン様、王様。……で宜しいでしょうか?」

「あらら」

「随分と綺麗な姉ちゃんだ」



王もレモンも、少し驚くほどの美しさ。遊女を完璧に現している姿でお出迎えに来た山羊波。彼女は一礼をしてからだ。


「ヤラセ抜きの、ギャンブルをしませんか?藺さん」


ヤラセポーカーには限度がある。上等なイカサマを仕組むよりも手っ取り早い。交渉術に長ける藺らしい技。しかし、バレるのがちょっと早すぎた。


「遠慮いたします。あなたを引っ張り出すため、カジノで荒稼ぎする目的だったんですが。勝負まではする気ないんです」


逃げようとしたが、周りがそうもさせてくれそうにない。朝から奇妙な連中に襲われて


「あなたも私目当てですか?朝からチョッカイを出すなんて酷いですよ?」

「あなた目当てというより、あなたを負かしたらどれだけの快楽が生まれるか……気になっているところです。どーです、ここはギャンブルで手を打ちませんか?無論、ヤラセのないギャンブルですよ」

「やれやれ、困った方だ。王くん、レモンちゃん。悪いんですけど、ここで待ってもらいませんかね?」


護衛としてついていた2人に、離れろという指示。

ギャンブルの異世界であるが、戦闘力のある人間も何人か確認している。無論、山羊波もその1人であることは間違いない。

踏み倒しをされない武力、敗者を確実に陥れる勝者の強さ。


「お前1人で大丈夫か?」

「山羊波さんは私が抑えます。あとの連中はお2人に任せます」



ヤラセなしだが。イカサマなしとは言っていない。どー考えても、ギャンブラーとしてこの異世界の覇権をとった山羊波の方が数段上だ。

運とかでなんとかなる相手じゃない。


「何をするかを前に遊戯室に案内してください。ねぇー」

「ふふっ……よろしいですわ」



連れて行かれる藺と。彼を連れて行く山羊波。山羊波の護衛達は王とレモンの身柄をほぼ捕らえている状態だった。

藺と山羊波が揃って別の部屋に、まさに行こうとする時だった。



「えーーっ!お尋ねしたいことがあるんですけどーー!支配人様いますかー!」

「乱暴な突入、申し訳ございません!邪魔をしてきたのはこの方々ですので!」

「実力行使過ぎるよ、ライラと夜弧……」


キングカジノの入り口には綺麗に並べられた、罪を取り締まるべき警察共の眠った体の数々。死者はいない。


「お探し物がありまして!ここにやってきたんですけど、お話だけでもいいでしょーか!山羊波様を出してください!」




ライラ、夜弧、春藍、謡歌、アルルエラ。この5人がキングカジノの入り口を潜って中へと入って来た。

そこらへんの住民よりもまともな会話ができる警官達を逆に事情聴取して、目当ての資源がこの場所で造られていることを知り、尋ねて来たのであった。



「あらら?参りましたね」

「やれやれ。ともかく、藺さんは私の部屋まで来てもらいましょう。客人はあとでお相手いたします」


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