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RELIS  作者: 孤独
構築編
367/634

前途多難


「おーっと」



5人は無事、目的地の異世界に辿り着いた。若が一度だけ行ったことがあるらしく、安全な場所にマークを入れておいてくれたらしい。

辿り着いた場所は街中の公園であった。その公園からでも人の声と、酷い騒音はかなりのものだった。



「そ、騒々しいわね」

「でも、言葉が理解できます」

「僕にも分かるからフォーワールドと似ている言語なのかな?」



否。

この異世界は多種多様な人間が行き来しており、複数の言語を学ぶことは必修とされていた。また、"文学楽園"インターシグナルから色々な言語を取り入れている。

イカサマを扱うのに言葉というのは非常に使いやすい。


春藍達が理解できるのはたまたま、標準語がフォーワールドと同じなだけであって影では色々な言葉を使うのである。


「言葉がみんな通じるなら楽なものね。全員で逸れないように情報収集しましょうか」

「おーーっ!」



アルテマ鉱石の採取のための聞き込み活動が始まった。声を掛ければすぐにだが、色んな誘いがやってくる。



「お姉ちゃん達、今晩どう?」

「良いカジノや飲み屋を知っているよ」

「今、可愛い子をバニーガールとして募集中なんだけどー」



ロクな情報はとれない。来る誘い来る誘い。


「お断りよ!」


女性4人が揃って断固拒否する。道のりは結構通そうな予感をしながら、安心できそうなホテルに入ってもう1日を終えようとする5人であった。





カランカラン



一方で、キングカジノでは波乱が起こっていた。



「持ち金、無くなっちゃいましたね」


藺兆紗が圧倒的な強さでポーカーの勝負師を圧倒。瞬く間に金をぶんどって、軍資金を増やしてしまう。


「あ。ああ……」

「大丈夫。怯えないでください。私はあなたからこれ以上、奪うつもりはありません。また対戦をお願いしますよ」


馬鹿勝ちしてすぐに席を立つ藺。いろんなお客から金を巻き上げた凄腕のポーカーの達人がいとも簡単に抑えられた。

凄まじい勝負師ぶりを発揮する藺に、お客様方も震えていた。


「すご~い……」

「どーやって勝ったんだ?藺は……」


王もレモンも、その手腕。いや、剛運では片付かない勝ち方に気になっていた。ほとんど藺のギリギリの勝利。勝負に行って確実に勝つ。それも、イカサマを感じさせない。2ペアや3ペアなどの小さい役で勝ってしまうやり口。


「ホテルで話しましょう。そこまで秘密はないしょです」


他のギャンブルには目もくれず。藺は勝ったお金を王に預けてホテルへ戻ろうと指示した。レモンも、王も、何もしていない。


「護衛だけしてくれるだけでも違いますよ。この異世界は物騒な方が多いですからね」

「わーってるよ。トランクケースは放さねぇよ」

「早くネタバレを聞きたいって顔ですね」



ホテルに到着し、無造作にベッドへトランクを投げ置く王。レモンも真摯な表情で藺のネタバレを聞きたかった。

そんな2人の表情を見るとどーしてか気まずくなってきた。


「そんなに聞きたいの?お二人共、しょーもないですよ?」

「いいんだよ!あんなに勝ってたポーカーの達人、どーやって勝ちまくったんだよ!」


2人にとても悪い気がする言葉を使う藺。



「女で買収しました。無論、昨日からの仕込みですよ」



パリーーーーーンッ



王とレモンの中で、希望のガラスが壊れたような音と衝撃。



「お金ないんで私の社蓄コレクションにいる女性を1体売って、負けるようにさせました。女性をこう扱えば金になりますから」

「お前、サイテーだな!!」

「期待していた私。馬鹿でした。なんですか、官能小説ですか?」



だから、そんな期待されても困るんですけどね~~~。


「ともかく、私は疲れたので寝てますね。明日もこの調子で軍資金を貯めて、カジノの秘密を暴きましょう。お風呂は朝に入りますから、先使っていいですよ」





両陣営の一日はこうして終わった。先に乗り込んだ藺兆紗達の方が4日ほど先に乗り込んだこと、立派な軍資金を蓄えていること。目的の達成に近いのは藺達の方かも知れない。

しかし、目的の難度ではライラ達の方がいくらか楽であるのは明白だった。




カカカカカカカカ



両陣営共、宿泊先にホテルを選んでいた。さすがにどちらも違うホテルだ。一方でどちらも激しい音に包まれていた。不思議と。



「おやおや、なんだか朝になると人が囲んでいるじゃないですかー」

「昨日、あんな馬鹿勝ちをしたからだろ?逆恨みじゃねぇの?」

「イカサマより性質の悪い、買収行為」

「ふふふっ、イカサマを使うカジノ集団は結構堕ちているところですね。現状、仕方ないですね」




藺達は昨日の馬鹿勝ちの逆恨みか、多くのならず者共が藺のいるホテルを囲んでいる状況だった。

一方で、



「お金がないの!」

「………え?じゃあ、どうやってこの部屋を借りられたんですか?」



ライラ達側はまた別である。こちらもホテルを取り囲まれている。どうやら警察のような集団だった。謡歌は初めての異世界で、こんなに状況に追いやられて不安になっていた。それをケアするようにライラが現状と方法を伝えた。


「それはね、夜弧の"トレパネーション"で店員を洗脳して宿を確保するという荒業だったのよ!」

「ちょっと待ってよライラ。あなたが先に店員を殴り飛ばして、気絶させたが先でしょう!?私はその後!」



お金という定義が怪しくなる方法。

謡歌はこの旅のやり方にとても不安な眼で見ていた。そんな謡歌に優しく肩を叩いて教えてくれる春藍がいてくれた。


「こーいったトラブルは日常だったからね」

「そ、そうなの?お兄ちゃん」

「僕達が使っていた通貨が使えないのが普通だし、この異世界で働くのもライラ達が消極的だったし。してくれればきっとこんなやり取りはなかった」


その言葉を聞いたライラと夜弧が春藍の方を向いて、ぶっちゃける。


「は~る~あ~いー……。あんた、私達に変な奴等とヤレって言いたいわけ?そこまでして金を稼ぎなさいと言いたいわけ!?」

「春藍様はもう少し、女性のことを理解してください!!」



パァンッ パァンッ 。2連打の掌打。床に倒れ込む春藍。相変わらず、ロイと違った天然馬鹿だ。言葉が聞き取れても意味が理解できない頭とはやりにくいものだ。

なんで2人に叩かれたのか分かっていない顔で謡歌を見る。



「ごめん、お兄ちゃん。私も少しライラさん達と同じ意見です」


ホッペを抓って、分かってもらいたかった。


「朝からイチャイチャ会議はそこまでです!みなさん!」

「これは違うわよ、アルルエラさん」

「1人の店員しか洗脳しなかった仇でバレたようです。捕まればタダじゃ済みません。私が代表して道を作りましょうか?」



シャドーボクシングを始めたアルルエラ。タドマールの出身だったことを忘れていた。朝から血の気がある。つーか、戦いたいのかな?


「よしなさい。逃げ切ればいいだけのこと。窓を空けて!あたしの雲で道を作って走り抜ければ余裕だわ」



タダで宿泊、タダで飯を食い……。どこまで持つか不安である。



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