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RELIS  作者: 孤独
勉強編
364/634

告白の文


年甲斐もなく、悪戯してみる。誰も見ていないだろう自分のノートに記述する。

ラブレターの練習か。


「…………」


何やってんだ、あたし。


春藍達が使っている言葉で恋文を作ってしまったライラ。恥ずかしくなって、すぐに消してみる。どんな文だったか、忘れてしまった。恥ずかしいだけは忘れないってのが痛いところだよね。



「けど、よーやく。春藍の言葉が分かるんだね」


難しいことはよく分からないけどさ。

文法さえ分かればなんとなく言葉の意図は掴める。ライラはそこまでなんとか辿り着いた。ちゃんと、春藍の言葉を聞けるようになるのは嬉しい。



「本当に嬉しそうですね、ライラ」

「!あっ、当たり前でしょ!夜弧!」



ライラと夜弧は個別指導でメキメキと言葉を覚えていった。2日あればフォーワールドの言語も、タドマールの言語も覚えてしまう。

日常会話程度ならできるようになった。



「だけど、会話だけしかできません。少し不安です」

「?何?」


夜弧もまた、ライラと同じように何か手紙を書いたようだ。それを大胆にもライラに見えるようにしていた。


「このお手紙。春藍様に読んでもらいたいです。私の文がちゃんと届くか、気になります」

「っ………!?」



いっ、一体その手紙の中身ってなんなの?言葉が分かると、そーいったいけない好奇心が溢れてくる。


「中身はなんなのよ!?」

「ライラさんみたいな、お年じゃちょっと無理ですね」

「なっなんですってーー!?」


自分もだが、馬鹿みたいなことを夜弧が考えている!?


そうとしか思えなくなって、ライラは夜弧を年のことを言われたことすら気付かずに手紙をぶんどろうと手を動かした。



「見せなさい!」

「女性の個人情報を見ようなんて変態ですよ!」

「コラーー!夜弧ーー!」



言葉が通じ合えるだけで騒がしくなる。心が温まってくる。夜弧を追いかけるライラは言葉が通じ合えたからこそ、できたこと。


「春藍様ーーー!私達の言葉が分かりますかーー!」

「手紙は渡すなーー!」


実験室に楽しそうに乗り込んできた2人。そこには両足が外れた春藍が何かを造っている風景と、両足を弄っているアレクが真剣な顔でいた。

夜弧が春藍を見て、少し油断したのだろう。その隙にライラは夜弧が書いたと思われる手紙をぶんどった。


「あっ!?」

「見せなさい!なんて書いてあるの?何を春藍に読ませる気!?」


怒りの形相で見た夜弧が作った手紙。


『僕、春藍慶介は夜弧との交際を始めます』


「あんた古典的なトラップを作るなーー!言わせた後で破る気だったでしょー!?」

「童心に帰ったっていいじゃないですか!?」

「こんな手紙は私がビリビリに破くわ!」

「あああーー」


実験室での大騒ぎ。その声も大きいが、言葉も分かるとなると


「なんだ、うっとしい。言葉が分かると空気が読めてないと知れて苛立つぞ」

「お取り込み中なの?」



上手い事いっていないアレク。一方で春藍はマイペースな顔で挨拶してくれる。


「ライラ!夜弧!僕達の言葉を喋っている!」

「勉強したからね。春藍達の言葉はわりと分かってきたから」

「褒めてください」

「調子に乗るな、夜弧!」


言葉がようやく通じ合えて、本当に元気な2人だと春藍は見ただけで理解できた。本当に良かったとホッとした。

2人の言葉を聞きたかったのは春藍も同じである。とても温かい。



「そうだった。2人に教えておきたいことがあるんだ」

「え?そっちから?」

「うん。2人の意見が聞きたいんだ」



このタイミングで春藍は自分の体の改造について語った。


「今ね、リアの体を僕の中に埋め込むつもりなんだ。科学と人間の合体を僕自身の体に施す。そうすればきっと、ライラ達にも追いつけるくらい強くなれる。リアも……きっと、悪いとは言わないと思う」



言葉を知れた後にこんな重たい言葉を聞くと、喜びがキツイ。分からなきゃ良かったと少しだけ、ライラと夜弧は思っただろう。



「両足はともかく。全身をほぼ変えるってこと?あなた、それがどーゆう意味か分かってるの?アレクもなんで簡単に了承したのよ!」


ライラはさほど怒ってはいなかった。きっと、春藍が必死に考えた結果の回答だと感じたからだ。



「俺は春藍の親じゃない。仲間だ。春藍が決めたことに反対する気はない」

「大丈夫!その点は僕と、アレクさんを信頼してよ!」

「ああ。任せろ、ライラ」



腕は確かに信頼しているけれど、春藍がリアの体を使うってことは。


「お、女になるわけ……」

「え、それはさすがに私もちょっと、……」

「違うよ!!そこまでしないよ!!リアの、"機械運命"を僕の体に埋めるだけ。リアの力を僕が使えれば強くなれると思う!」



確かにリアの強さは相当だった。あの能力を春藍が受け継げるというのなら、


「変な気はないでしょうね!」

「そうです!」

「?どーゆうこと?」


いやいや。いや、……さすがに春藍にその機能はたぶんないか。男が女になると言った日には苦労を知らないでとか言いたいし、



「あーもぅ!」

「そーですね!」


ライラと夜弧が思うところは同じだっただろう。


「いいんじゃない!?好きにすれば!!」

「私もライラと同じです!」

「な、なんで怒ってるの?」

「……心配するな、そこまで外見も心も、人間だって止めさせねぇからよ」



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