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RELIS  作者: 孤独
言語編
359/634

翻訳者


とりあえず、会議室に集まる首脳陣達。



「言葉が通じないとここまで不便だとはな」

「アレクさんの結論が話し合いなんですね」



ここに来た連中は8人。

春藍、アレク、ヒュール、謡歌、ロイ、クォルヴァ(若)



「1274476y81!」

「328992171!」

「ライラ、夜弧。お前達の言葉は理解できないから、あまり喋らないでくれ」

「2132567!」

「今、アレクは君達は喋らないでくれと言っていたよ」



クォルヴァだけが言葉を理解できる状況であるため、全員の意見が分かるように伝えるのは大変だった。



「クォルヴァ。一体この異常現象はなんなんだ。説明しろ」


もし、クォルヴァがいなかったら絶対に乗り切れなかった想定外。アレクはこの会議で解決策を知れる奴を尋問するしかなかった。


「無限牢は色んな異世界を隔離しているシステムだ。そこには色んな文化があったのは知っているだろう?」

「ああ」

「文化の違いは致し方ないし、それによって君達が使っている言語はそれぞれ違っていた」



クォルヴァによると、無限牢には人々の会話をすみやかに理解できる機能があるそうだ。

異世界がいくつもあれば使っている言葉が違うのも当然。その翻訳機能がどの異世界に存在したからこそ、今まで問題なく会話が成立していた。


「音波を読み取って、人々に理解できる情報に変えている機能がある」

「それ凄いな」

「それがきっとやられたんだと思う」


翻訳機能だけではない。


「ライラ。何か文字を書いてみてよ」

「2143?」

「そうだな。"おはよう"って書いてみてよ」


クォルヴァに言われ、ライラは紙の上に字を書いてみんなに見せるが。その単語はまったく読めない落書きのようなものだった。そうアレク達には見えるのだ。


「なんて書いているんだ?」

「あれでおはようと読む」

「嘘だろ!?」

「892718!?」


ライラは普通に書いたつもりであるが、アレク達にはまったくそれが見えない。

言われなくても状況が分かったライラはとても苦い表情を出した。


「光もそうだ。人が理解できるように無限牢が、全人間に分かるように変化させている。ポセイドンのテラノス・リスダムが無限牢の亜種で生まれているわけだし」

「音だけじゃなく、光までが」

「つ、つまり!ライラ達にはもしかすると文字すら読めなくなってしまうと言うのであるか!?(実際は言語違いだろうけど)」


今のところ、そこまでの被害は出ていないが。時間の問題というのが現状のようだ。そーなればライラと夜弧は……いや、ロイ達までどうなるか分からない。



「これが世界中に広まれば最悪だな」

「もしかすると、すでに広まっているかもしれませんね」

「解決する方法はあるのでしょうかな?」



言葉が人を繋ぐという理由がよく分かる状況だ。


「勉強しかないな」

「勉強だと?」

「言葉の勉強をするしかないよ。確かに慌てているけど、ライラも夜弧も、ロイ達だって周りの言葉を理解できるように勉強すればいいんだ」


できないことはできるように努力すればいい。ただそれだけのことであるが、


「しかし、まったく俺達の言葉を理解できていないぞ。ヒュールや謡歌はどうだ?」

「私共も……ライラさん達の言葉を理解できていない状況では教えようがないんですけど」

「その通りである」


人材育成を得意とする2人がお手上げ状態だ。言語の壁の厚さは相当なものである。謡歌達も勉強が必要だ。


「私が教師をしてもいいけど」

「それはダメだろ。お前の力がなきゃ、流通が止まってしまう。交渉面は言葉が通じ合えるお前しかいない」

「だよね」


できる手はもう一つある。いや、結局は勉強でしかないが。



「じゃあ、異世界から言語学に詳しい人を連れて来る選択肢しかないな」

「言語学ってなんです?」



理系の言葉が文系に分からないように、文系の言葉を理解できない理系もいる。



「その通り、様々な異世界の言語を勉強している者達だ。翻訳業を生業としている異世界の人々がいる」

「変わった連中なんだな」


それは向こうから見ればアレク達もそうだ。


「彼等なら日ごろから勉強をしているから、様々な言語に精通しているはずだ。彼等を招聘して見るのはどうだろうか?」

「できるのでしたら、その専門家に来てもらうのがベストであるな」

「私達も学んで覚えれば、様々な人々と言葉を交わせます」



クォルヴァの案に反対するものなどいない。それしかないと、ほとんどが分かっただろう。そうなると、



「じゃあ、誰がその異世界に行っていいんでしょうか?」

「俺と春藍、クォルヴァは確定だが……」

「待て欲しいですぞ!アレク!クォルヴァ殿がいないと、翻訳できる者がいなくなる!彼は残ってもらいたい!」


選定が難しくなる。若の能力を持つクォルヴァはなくてはならない。



「仕方ないな。なら私を半分に割ろう」


クォルヴァは自分の胸を3度叩いて、自らの体を若と分離させた。おおっと全員が驚いたのは当然だ。



「やったーー!僕も自由の身だーー!」

「これなら若、春藍くん、アレクで行けるだろう」

「助かる」

「あれ?」



この時、起きた異変に気付けたのは意外にも春藍が最初だった。



「なんで僕はまたこいつ等と旅をするんだよ!」

「仕方ないだろ。付き合うしかないぞ、若……って」

「若の言葉が僕達にも分かる!?」


春藍の言葉でみんながやっとその事実に気付ける。普通なんだけど、普通じゃない状況なのがよく分かる。


「私の半身を若に貸したからね。というわけで誰か、私に体を貸してくれ。動き辛いんだ」


そう言いながら、許可なく近づく相手を選んでいたクォルヴァ。若の言葉をライラも理解できて、唖然としてしているところを強引に融合させてもらった。



「きゃあああぁっ!?ああぁっ!?」



クォルヴァがライラと融合する。これでクォルヴァもこの異世界に残れることができた。


「よーし!オッケー!私もライラを借りて仕事ができるよ」

「今度はライラがクォルヴァさんに……」

「大丈夫なのか?」


ライラの気持ちはとりあえず、言葉が分からないと冷たく言っておこうと春藍達は思った。夜弧は自分が選ばれなくて良かったとホッとした息を吐いていた。


「あの!」


その時、メンバーが決まりかけたところで申し出が出た。


「私もお兄ちゃんと一緒に行きたいです!」


春藍謡歌からの提案であった。



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